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解説:共通番号制を斬る(その1) 「実は、政府・財界の巨大なデータベース」

実は、政府・財界の巨大なデータベース

maynumber-nagarezu.jpg 政府は2011年8月12日、社会保障・税「一体改革」の工程表となる当面のスケジュールを関係閣僚間で確認。医療・介護の基盤整備、国保広域化、受診時定額負担、税制改革など、今年度末の法案提出に向けて、同年9月から議論が本格化する。

 

 その中、先陣を切るのが社会保障・税の「共通番号制度(以下:番号制)」だ。今秋には番号法案を提出、年明けより関連する個別法案を順次提出する予定となっている。

 番号制の導入に向けた議論は、昨秋から政府や財界を中心に議論が本格化。2011年1月31日には基本方針が閣議決定。3・11の震災による混乱時においても、与謝野・前経財相を中心に粛々と議論を重ね、同年4月28日には要綱、6月30日には大綱を閣議決定した。

 また番号の名称も「マイナンバー」に決定。2011年7月にはパブリックコメントを募集するなど、秋の法案提出に向け着々と準備が進められている。

 

 大綱では、番号制導入に向けた今後のスケジュールが明示。2014年6月から個人・法人に番号を交付し、15年1月より本格稼働させる予定となっている(図を参照)。

 また、番号制導入に向けた議論・準備と同時並行で、政府は地方新聞社との共催で全国リレーシンポを実施。これは番号制の周知と国民の意見集約を目的としており、2011年5月の東京開催を皮切りに、2012年度末までに47都道府県すべてを回る計画だ。

 

番号制は政府・財界の共同インフラ

 一体改革のなかで、番号制の議論・準備は際立って先行している。それは、番号制が一体改革の成否を左右する 「肝」 となるからだ。

 

 番号制とは、単に国民一人ひとりに番号を付すというものではない。医療・介護や年金、税などあらゆる個人情報をデータ化、共通の番号を付し、各情報を「名寄せ」「データマッチング」し、国や地方自治体が当該個人情報を一元管理するというもの。また、大綱では民間事業者の活用など、将来的な利用範囲の拡大も示唆している。

 このように、番号制とは国や自治体、企業等が個人情報を管理・利活用するための巨大な「ネットワーク・データベース・システム」と同義なのである。

 

 一体改革は社会保障の変質・矮小化を策し、社会保障の機能強化は有名無実。財政再建、医療・社会保障費の抑制、医療・社会保障の産業化など新成長戦略の推進―等、真の狙いは「社会保障の給付抑制と市場化」にある。そのためには番号制というデータベースシステムが必要不可欠であり、政府・財界にとっては是が非でも完成させたい共同インフラなのである。

 

(2011年9月15日号 神奈川県保険医新聞 掲載)