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「医療情報が営利利用 ICカードで漏洩危機拡大」 反住基・横浜市民の会で講演しました

20120208hanjuuki.jpg 住基ネットに反対する市民団体、「住基ネットに『不参加』を!横浜市民の会」からの依頼をいただき、2012年2月8日、同会主催の番号制の学習会で講演しました。

 「社会保障における医療の問題点」をテーマに、神奈川県保険医協会・医療情報部長の田辺由紀夫氏が講師を務めました。当日は30名が参加されました。

 

 田辺氏ははじめに、医療現場の実態や自身の経験から、「患者によって求める医療は違う。医療はオーダーメイド」と言及しました。

 しかし共通番号制により医療情報が一元管理されると、抑制だけではなく医療の画一化につながり、患者さんに応じた医療ができなくなると警鐘を鳴らしました。 

 特に医療・健康情報の利活用は財界が熱望。これらの情報を梃に、米国の「管理医療」に酷似した仕組みを構築。公的給付からはみ出た医療は自費診療で民間保険が補うという、新たな市場化創出を狙っていると強調しました。

 

 また、レセプト情報が保険者の委託業者を通して製薬企業に流出、営業に使われている実態を暴露。現状でも医療情報が営利目的に利用されていることに対し、「医療情報は秘匿性の高い個人情報。特段の法的措置は勿論のこと、営利目的に使うべきではない」と強調しました。

 

 次に、番号制の施行と同時に配布される「ICカード」について言及。政府は保険証の代替として利用可能なものとしているが、医療機関は正確な保険資格が確認できるという程度で、さほど利点は無い。むしろ医療機関はネットワーク化やオンライン請求などを強要され、情報漏えい等のリスクが高まると強調しましたた。

 

 最後に田辺氏は、IT技術による利便性、効率化を認めたうえで、「要は目的と使い方の問題。番号制は国民に負担と不幸を強いるもので、断固反対」と主張。今後の運動への協力をお願いしました。

 

(2012年2月15日号 神奈川県保険医新聞より)