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医療運動部会声明 「なし崩し的な再診料の包括拡大路線をやめ 合理的指標に基づいた適正評価を求める」

 なし崩し的な再診料の包括拡大路線をやめ

合理的指標に基づいた適正評価を求める

神奈川県保険医協会

医療運動部会


  次期診療報酬改定に向け、初診料、再診料の見直し議論が中医協で既に始まっている。総選挙後の政権の形如何に関わらず確実に点数、性格、構成が変化する予定だ。日本の患者の8割は再診患者であり、その際、医療機関の対価となる「再診料」は、医療機関の経営上も、患者の受ける医療の質を規定する点でも重要となっている。これは第一線医療を担う診療所、二次医療を担う病院、双方においてである。

 しかしながら、中医協では今後を見据え、なし崩し的な解釈改定の布石が打たれており、この点を指摘し、関係方面の注意喚起を促したい。

 今年4月22日の中医協に「初・再診料について」の表題で資料が提出され、初診料、再診料等に関する「現行の診療報酬上の評価の概要」として下記の囲みの内容の記載がなされた。

 

初診料、再診料の中に含まれると考えられるもの

1 診療にあたって、個別技術にて評価されないような基本的な診察や検査、処置等

・視診、触診、問診等の基本的な診察方法

・血圧測定、血圧比重測定、簡易循環機能検査などの簡単な検査

・点眼、点耳、100平方センチメートル未満の皮膚科軟膏処置等の簡単な処置等

 

2 診療にあたって、基本的な医療の提供に必要な人的、物的コスト

・上記に必要な従事者のための人件費

・カルテ、基本的な診察用具の設備

・保険医療機関の維持に係わる光熱費

・保険医療機関の施設整備費等 が含まれると考えられる。

 

 一見、問題のない考察に見えるが、実は上記1の記載は通知で明示されているものであり、2は通知上に記載がないものである。つまり1の診療行為は明確に、「初診料、再診料の中に含まれる」と規定されているものであり、2の人的、物的コストは「含まれる」と厚労省が解釈したものであり、同列ではない。

 

 われわれは一昨年来、再診料は診療所経営の土台となる診療報酬であり、この中には施設の維持管理、光熱費、衛生・清掃、事務・管理費が含まれると、一貫して主張してきている。これは、上記の厚労省解釈を妥当とし是認したものではない。「保険医療機関において再診を行った場合に算定する」という再診料の算定原則からその性格を分析したにすぎず、現実の再診料の診療所710円(病院600円)は、これに照らし極めて低廉だと立証するためである。しかも継続治療患者の急性疾患発症の際、初診料2700円の算定とはならず、事実上、診察の経済評価がない不合理な仕組みであり、再診料は再生産費用の捻出が困難な対価構造となっている。

 

 08年診療報酬改定では、軽度の処置を初・再診料に包括し点数は据え置き、事実上の引き下げを行った。10年改定に向け、予算建議で医療費の自然増は認められたがこれはプラス改定を約束しない。早くも前回同様、診療所から病院への財源移転が報道され、外来管理加算を再診料に包括する案が支払側から主張され始めた。上記資料で「考えられる」と、通知規定も解釈も同列にし、今後、なし崩し的な包括項目の拡大さえ懸念される。しかし上記により、厚労省が公式に人的、物的コストが初・再診料に含まれると見解を出したことになる。そうであれば、質の確保のため、物件費、人件費など合理的指標に基づく再診料の適正評価をすべきであり、その義務が生じていると考える。診療所と病院の格差是正が昨今指摘され、医科歯科格差も解消されていない。これらの要求に乗じて低きに揃えるのではなく、基本診療料に相応しい評価体系の構築をすべきである。

2009年8月20日