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政策部長談話 「貧乏人は死ね、ってことか? 本質を隠す『ペイ・アズ・ユーゴー原則』を問う」

貧乏人は死ね、ってことか?

本質を隠す「ペイ・アズ・ユーゴー原則」を問う

 

神奈川県保険医協会

政策部長 桑島 政臣


 いま、ぺイアズユ―ゴー原則が幅を利かせはじめている。10月28日の厚労省の介護保険部会は、この原則の下、介護度が低い者の利用者負担引き上げや生活援助の給付縮小、ケアプラン作成への利用者負担導入などの検討を求めた。新たな制度拡充には負担増や給付減で対応すると、厚労省はしている。詰るところ、「貧乏人は死ね」といっているに等しい。社会保障施策へのペイアズユーゴー原則の導入は、社会保障のもつ理念・哲学、普遍主義(ノーマライゼーション)と相いれない。われわれはこの原則の導入に反対するとともに、本質をごまかす「ペイアズユーゴー」という言葉の使用をやめるよう強く求める。

 

 国や行政機関がカタカナ用語、和製英語を使うときは要注意である。いまやリストラという言葉は定着してしまったが、本来はリストラクチャリング(Restructuring)、再構築という意味である。しかし、おおかたの国民にとって、リストラは首切りとしてのみ理解されている。増産や業務内容の転換のためのリストラもあるのだが、一様の意味しかなくなってしまっている。言葉とは非常に重要であり、なんのことはない、「首切り」と直截的にいうと反発が強いので、カタカナを使用しごまかしたにすぎない。

 

 ペイアズユーゴー(pay as you go)も同じ危険を孕んでいる。この言葉は本来、「現金払い」「その都度払い」や、「賦課方式」を意味している。米国では一般に飲み会でおごらない上司を皮肉ったり、自腹をきったりする際に使われている。決して「原則」(Principle)という言葉とは結びつかないものである。

 政府はこの「ペイアズユーゴ-原則」を6月に閣議決定し、施策を拡充する際は恒久的な歳出削減や歳入確保で財源を確保する、減税要求に見合いの財源案を同時に求める、などをその意味としている。一般の国民にとって、このペイアズユーゴーは何をいっているか、あやふやでわからない。そのなかで言葉の意味は移ろっていく。社会保障においてそれは、「サービスを受ける際に自己負担は当然」ということになり、社会保障の諸給付が一般商品サービスと同列化され、自腹で購入することが当然視される社会へと変質していくことは想像に難くない。詰るところ、「貧乏人は死ね」となる。

 

 社会保障は必要十分原則のもと、応能負担原則で国が提供するものである。このことは憲法25条の生存権保障の中で国の責務として規定されている。

 

 ごまかしで、何が何だかわからない造語、「ペイアズユーゴー」の言葉の使用をやめ、この原則なるものを社会保障に導入しないことを、われわれは強く求める。

2010年11月22日