保険医の生活と権利を守り、国民医療の
向上をめざす

神奈川県保険医協会とは

開業医を中心とする保険医の生活と権利を守り、
国民の健康と医療の向上を目指す

TOP > 神奈川県保険医協会とは > 私たちの考え > 2010/3/31 理事長談話「日本産婦人科学会と日本産婦人科医会の共同要望書を支持する 出産育児一時金『直接支払制度』を廃止し、法の本旨へ回帰を」

2010/3/31 理事長談話「日本産婦人科学会と日本産婦人科医会の共同要望書を支持する 出産育児一時金『直接支払制度』を廃止し、法の本旨へ回帰を」

日本産婦人科学会と日本産婦人科医会の共同要望書を支持する

出産育児一時金「直接支払制度」を廃止し、法の本旨へ回帰を

神奈川県保険医協会

理事長   池川 明


 2009年10月1日より、一片の保険局長通知により突如、産科の「出産育児一時金」直接支払制度が立ち上げられ、分娩費の産科医療機関への入金が出産当月から2~3ヶ月先となり、運転資金ショートにより産科医療機関の存立が危ぶまれるという事態が起きている。

 さすがに社会的問題となり、この制度の完全実施が半年間猶予されたのに続き、過日、厚労省は今年度(2011年3月31日迄)一杯の延期と制度見直しを決め、変化をみせている。

 

 この下で2010年3月31日、日本産婦人科学会と日本産婦人科医会が共同で「『出産育児一時金等の医療機関への直接支払制度』終了後の抜本的改革に関する要望書」を厚労大臣あてに提出した。

 その内容は、(1)出産育児一時金の直接支払制度を2011年3月31日で終了し、(2)健保法で規定された出産育児一時金の本旨に立ち返り、新たな制度を確立すること、(3)新制度は保険者―被保険者の間で請求と支給が完結することを原則とする、(4)事前申請に基づく受領委任払制度を可能とすること等―となっている。

 

 つまり、実質的に問題の「直接支払制度」の廃止と、従来の法に基づく対応の復活である。われわれはこの日本産婦人科学会と日本産婦人科医会との共同の要望書を積極的に支持する。

 

 この「直接支払制度」は法的根拠が何もなく、法律改定はもとより、政令や省令で規定したものでもない。保険局長通知の「実施要綱」の発出により半強制的に効力を発揮しており、立法主義を無視、逸脱した大問題であり、そのことをわれわれは一貫して指摘してきた。今回の共同要望書はこの改善に大きく資するものと考える。また、今次診療報酬改定での薬局による処方内容の変更や、領収明細書の発行義務化など法の逸脱が濃い現在進行形の類例へ、是正のための対抗力、援軍となる。

 

 厚労省は、直接支払制度に関し「あくまでも医療機関の任意の協力」を盾にし、当会の照会に際しても、「関係団体・機関間の調整・合意により局長通知を出した」としていた。今回の共同要望書により、この制度を肯定する医療機関関係団体はどこにも存在しなくなっている。厚労省は速やかに、健保法の本旨に回帰した制度確立に尽力すべきである。

 

 尚、当初より直接支払制度は2011年4月より制度見直しを予定し、オンライン請求が前提とされるなど、医療機関への強制協力と審査支払機関を介在させた出産育児一時金の「療養費化」、保険給付の一元管理など、医療保険再編に絡んだ複雑な思惑が透けている。

 そのような思惑は捨て、産科医療機関と日本のお産を守るよう、健保法を遵守した制度運用を厚労省には切に求めるものである。

2010年3月31日

 

日本産婦人科学会と日本産婦人科医会の共同要望書を支持する

出産育児一時金「直接支払制度」を廃止し、法の本旨へ回帰を

神奈川県保険医協会

理事長   池川 明


 2009年10月1日より、一片の保険局長通知により突如、産科の「出産育児一時金」直接支払制度が立ち上げられ、分娩費の産科医療機関への入金が出産当月から2~3ヶ月先となり、運転資金ショートにより産科医療機関の存立が危ぶまれるという事態が起きている。

 さすがに社会的問題となり、この制度の完全実施が半年間猶予されたのに続き、過日、厚労省は今年度(2011年3月31日迄)一杯の延期と制度見直しを決め、変化をみせている。

 

 この下で2010年3月31日、日本産婦人科学会と日本産婦人科医会が共同で「『出産育児一時金等の医療機関への直接支払制度』終了後の抜本的改革に関する要望書」を厚労大臣あてに提出した。

 その内容は、(1)出産育児一時金の直接支払制度を2011年3月31日で終了し、(2)健保法で規定された出産育児一時金の本旨に立ち返り、新たな制度を確立すること、(3)新制度は保険者―被保険者の間で請求と支給が完結することを原則とする、(4)事前申請に基づく受領委任払制度を可能とすること等―となっている。

 

 つまり、実質的に問題の「直接支払制度」の廃止と、従来の法に基づく対応の復活である。われわれはこの日本産婦人科学会と日本産婦人科医会との共同の要望書を積極的に支持する。

 

 この「直接支払制度」は法的根拠が何もなく、法律改定はもとより、政令や省令で規定したものでもない。保険局長通知の「実施要綱」の発出により半強制的に効力を発揮しており、立法主義を無視、逸脱した大問題であり、そのことをわれわれは一貫して指摘してきた。今回の共同要望書はこの改善に大きく資するものと考える。また、今次診療報酬改定での薬局による処方内容の変更や、領収明細書の発行義務化など法の逸脱が濃い現在進行形の類例へ、是正のための対抗力、援軍となる。

 

 厚労省は、直接支払制度に関し「あくまでも医療機関の任意の協力」を盾にし、当会の照会に際しても、「関係団体・機関間の調整・合意により局長通知を出した」としていた。今回の共同要望書により、この制度を肯定する医療機関関係団体はどこにも存在しなくなっている。厚労省は速やかに、健保法の本旨に回帰した制度確立に尽力すべきである。

 

 尚、当初より直接支払制度は2011年4月より制度見直しを予定し、オンライン請求が前提とされるなど、医療機関への強制協力と審査支払機関を介在させた出産育児一時金の「療養費化」、保険給付の一元管理など、医療保険再編に絡んだ複雑な思惑が透けている。

 そのような思惑は捨て、産科医療機関と日本のお産を守るよう、健保法を遵守した制度運用を厚労省には切に求めるものである。

2010年3月31日