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医療運動部会長談話 「実質0%改定、医科外来マイナスに消沈 第一線の崩壊招く再診料下げは道理なし 政治合意守り、財務省から3,200億円返還を」

実質0%改定、医科外来マイナスに消沈 第一線の崩壊招く再診料下げは道理なし

政治合意守り、財務省から3,200億円返還を

 

神奈川県保険医協会

医療運動部会長  野本 哲夫


 次期診療報酬の改定率+0.19%は、財務省が薬価引下げの一部600億円を改定財源から外したため、実質+0.03%であることが明るみになっている。当会は財務省の▲3%を覆したプラス改定への転換を評価したが、この「限りなく0%に近い改定率」に意気消沈し、虚脱感さえ覚えている。

 

 プラス改定というのは、薬価引下げ分を全て技術料(診療報酬本体)に振り替え、それに加えて新たな財源投入をすることである。今次改定の正味の投入財源は100億円、つまり国庫はその1/4の25億円しか投入されていないのである。

 この実態は、政権交代前の昨夏に、医療費の自然増分を認めるとした概算要求(=±0%改定)の水準であり、財務省の掌中の範囲におさまったということである。

  

 昨年の総選挙直前、当時の与党だった自民党が診療報酬引き上げを説き、公明党も底上げを強調。当時の野党もこぞって医療費の総枠拡大を掲げ、もはや診療報酬プラス改定は全政党の政治合意の域に達していた。新政権では外来管理加算の「5分ルール」の撤廃も合意事項となった-というのがこの間の大きな流れである。しかし、この結果である。

  

 しかも、改定骨子では「選択と集中」の方針は継続され、中小病院の更なるリストラ、3ヶ月超の入院患者の追い出し、診療所・病院の系列化と地域包括化、後発品への処方変更権の薬局への付与など、医療崩壊・医療空白を加速させ、診療侵害も前回以上に色濃い内容が盛り込まれている。

  

 中医協で支払側が執拗に主張する診療所の再診料の引下げに至っては異常である。前回改定は病院入院への財源捻出のため、診療所外来を400億円下げ移転した。が、今回は外来の10倍の財源が既に充てられており、下げる理屈が立たない。外来から入院への財源移転も禁じており尚更である。病院と診療所の点数差を根拠にした「一物二価」是正論も、実は大病院「外来診療料」があり「一物三価」が現状なのに不問と矛盾している。いま、「かかりつけ再診料」の話も浮上するなか、全く道理がない。

  

 財務省は今回、後発品使用が進んでいないとし600億円を清算した。この論法でいけば前回、移転財源捻出の便法で導入された「5分ルール」による、減額見込み誤り1,000億円(実際額1,200億円-予定額200億円)の2年分の清算、2,000億円は外来に戻すのが理である。更には、財源捻出の必要性が消えたいま、5分ルールは無条件廃止、1,200億円は元に戻す、つまり合計3,200億円は改定率に載せずに、改定財源に組み入れるのが道理となる。

  

 昨年12月、民主党の予算要望の重点要望は医療であり、過日1月21日も医療費議連の櫻井会長が医療現場を踏まえた見識ある改定要望をまとめている。その姿勢を貫徹して欲しい。政争に国民は辟易している。与党も野党も医療再建に向け、財源負担問題とともに、真摯な政策競争を期待したい。医療崩壊で医療者の士気が依然、回復しない英国の二の舞は絶対に避けるべきである。

 2010年1月29日