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オンライン訴訟原告団幹事長談話 「例外規定の創設ではなく、完全義務化撤回を望む」

 

例外規定の創設ではなく、

完全義務化撤回を望む

 

神奈川県保険医協会

副理事長 入澤 彰仁

(レセプトオンライン請求義務化撤回訴訟原告団幹事長)


 10月8日、長妻厚生労働大臣は、レセプトオンライン請求義務化を規定した省令第111号を見直すことを一部メディアが報道した。その中身は年間レセプト3600枚以下、その施設に勤務する医師・歯科医師が65歳以上である場合は除外するなど、高齢医師・歯科医師や小規模医療機関は義務化が一定程度回避できるものとなっている。しかし、私たちレセプトオンライン請求義務化撤回訴訟原告団が望んでいる完全義務化撤回とはなっていない内容であった。

 

 そもそもレセプトオンライン請求義務化は、裁判における私たちの訴えにあるように、日本国憲法に保障された営業の自由(憲法22条)違反、プライバシー権・自己決定権(憲法13条)違反、法律による行政の原理(憲法41条)違反という違憲状態になっており、除外規定があろうとも義務化が続く限り、違憲状態は解消されない。特にプライバシー権については、患者が自分の個人情報を守るため、オンライン請求を拒むことが想定される。この場合、オンライン請求を行う医療機関では保険請求できなくなるため、患者は自費診療を余儀なくされることになる。つまり、患者の健康保険の受給権が侵害されることになる。患者が、健康保険を利用するためには、オンライン請求を行わない除外規定対象の医療機関に受診する必要があるため、かかりつけ医が除外規定対象の医療機関でなければ、フリーアクセスを阻害されることになる。

 

 また、私たち原告団は、レセプトデータを集約・分析することで医療の標準化・医療費抑制策に利用されることに対し、警鐘を鳴らしてきた。現状のレセプトデータは、審査支払いのために提出されており、薬害の追求や疫学調査を目的としていない。

 そもそも医療費の調査であれば、社会医療診療行為別調査やメディアスがある。これらの調査を十分に活用すれば、医療政策に必要な情報を得ることができる。しかし、抽出方法に問題があったために、中医協で社会医療診療行為別調査とメディアスの乖離が問題視され、オンライン請求による全レセプトデータの集積に期待が寄せられる結果となった。しかし、調査法の精度の問題であってデータ数の問題ではないはずである。

 レセプトデータ自体はすでに審査支払機関に集中しており、その中で支払基金は希望する保険者に対してデータ変換サービスを行っている。百歩譲ってデータを活用するのであれば、審査支払機関に集中した全データを国の責任で電子化すればよいのである。当然、国民のプライバシー等に対して十分な配慮が必要なのは言うまでもない。

 

 今回の措置は一部除外規定の新設に過ぎず、オンライン請求義務化が変わりないとするならば、レセプトオンライン請求義務化撤回訴訟は、継続することになる。私たちは、医療機関がそれぞれ任意で請求方法を選択できるよう完全義務化撤回を望んでいる。

 2009年10月9日