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医療運動部会長談話 「ルールある資本主義と企業の社会的責任の全うを日本経団連に望む」

 ルールある資本主義と企業の

社会的責任の全うを日本経団連に望む

 

神奈川県保険医協会

医療運動部会長 野本 哲夫


  民主、社民、国新の三党連立の新政権が発足し、政治と行政のあり方が変わりはじめている。市場原理主義、規制改革との訣別を公約に掲げた民主党の、総選挙での圧勝は、政官癒着や利益誘導政治への国民の忌避感、拒否感の発露であり、多くが指摘をするように日本の社会全体の古いシステムの崩壊の始まりである。

 このことは、労働法制や社会保障など、企業利益を最優先した構造改革を、経済財政諮問会議を舞台にこの間主導し、格差社会の深刻化をもたらしてきた財界と政治の関係においても同様である。

 

 9月15日、日本経団連は早くも「新内閣に望む」と題し、"税・財政・社会保障制度の一体改革が急務""安心で持続可能な社会保障制度の確立、社会保障番号の早期導入、消費税を含む税制改革・財政健全化"などを盛り込んだ意見書を発表した。

 しかし、これらは、個人の負担と給付を直結・一元化を念頭にした「税・財政・社会保障制度の一体改革に関する提言」(08年10月2日)、保険料負担を廃止し消費税17%を唱えた「国民全体で支えあう持続可能な社会保障制度を目指して」(09年2月17日)を、踏襲したものである。つまり、構造改革の文脈の中での提言の範疇を超えておらず、そこには企業責任の放棄に対する反省や、社会保障の市場化への罪過への悔恨、労働市場や家庭力の脆弱化への慙愧などは微塵もない。新政権の中核、民主党は企業献金・団体献金の廃止を掲げており、今後、その実行を着実に進めることになる。構造改革の権化、"欲張り村の村長"と揶揄された経済財政諮問会議は廃止となる。

  

 社会保障は、日本経済にとってお荷物ではない。将来不安の解消は、冷え込んだ消費の回復には有効であり、社会保障の充実は新たな民生需要を創出することになる。経済効果、経済波及効果は公共事業などより抜群に高いことは、もはや論を俟たない。また、生活や労働環境への社会的責任から企業の保険料負担が義務付けられているのであり、これを蹂躙する姿勢は、CSR(企業の社会的責任)に悖るといわざるを得ない。過日、「新内閣に望む」意見書の発表と時を同じくし、9月15日に「企業の社会的責任に関するアンケート調査結果」を公表、94%が社会貢献を掲げているだけに、広い視野に立ったその実践は道理である。

 日本経済の再生のためには、非正規・派遣化による使い捨ての労働市場政策を転換し、正規雇用中心、最低賃金の底上げと遵守などによる健全な労働市場の形成がまず第一であり、その上で、医療・介護・教育などの民生内需を中心にした内需拡大への転換が急務である。企業の保険料負担逃れのための非正規社員化と大量のリストラによる大手企業の戦後最大利益の確保は、いつまでも続かないことは世界の現実が証明している。

 

 民滅びて国はない、のである。政治のパラダイム転換にあたり、財界は財界としての矜持と節度をもち、ルールある資本主義の確立に、その社会的役割の発揮をするよう強くもとめるものである。

2009年10月7日