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政策部長談話 「たばこ対策論議の前に まず問われるべきは国の責任」

たばこ対策論議の前にまず問われるべきは国の責任

 

                          神奈川県保険医協会

                         政策部長  森 壽生


 11月17日、自民党厚生労働部会は、たばこ税の税率を上げ税収を生活習慣病にあてる要望を党税制調査会に出すことを決定。14日の政府・与党医療改革協議会でも公明党からたばこ税を増税し健康増進対策にあてることが提案されている。日医などで作る「国民医療推進協議会」も価格引き上げを政府に要望している。

 一方、禁煙指導を来年度より医療保険の対象にすることを11月9日、厚生労働省は中医協に提案した。

 喫煙により発生する医療費は1兆3千億円、病気による労働力損失5兆8千5百億円で計7兆1千5百億円もの社会的損失を招いている(医療経済研究機構調査)。たばこが肺がん、心筋梗塞をはじめ、数多くの疾病の危険因子であることは、もはや論をまたない。たばこ税増税、禁煙の保険給付化は、確かに禁煙に資するものとなる。

 しかしながら、それ以前に大事なことが見落とされている。

 それは国の責任である。専売公社時代を含め現在に至るまで国、厚生労働省は、たばこの健康に対する有害性を知りながら、それを国民に周知させる努力をせず、社会的損失を拡大させてきた。民間会社のJTとなった今も、たばこが社会的損失を発生させているかどうかは明言できないと、過日11月8日に厚労省の審議会に公式見解として資料の提出もなされている。

 この状況こそが、問題にされるべきことである。

 たばこ税の増税について、政府内で課税の公正さを欠くとの意見があるが、既にたばこは課税されており、自家撞着である。百歩譲って公平論でいうなら、健康保険料は公正さを欠くことになる。有害性を知りながらたばこを吸っている喫煙者の疾病に対し、非喫煙者が保険料を負担しているからである。

 米国では同様な事例が裁判となり高額な和解金を支払い決着しているが、それを知りながらJTは、米国のたばこ会社を買収している。

 これらのことへ何らメスが入れられないことこそが根本問題である。

 保険給付化も、この国の無作為の責任を医療保険に押し付けるものである。

 われわれは、国、日本たばこ産業株式会社(JT)の責任を厳しく指摘するとともに、この対策と医療的措置については、責任を明確にした上で、JTの財源負担と公費で早急に対応することを強く要望する。

2005年11月24日