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「救える命が救えなくなる」 医療体制守る「診療報酬単価補正支払い」の実現を 厚労省で記者会見を行いました

20200804kisyakaiken.JPG 神奈川県保険医協会は2020年8月4日、診療報酬の「単価補正支払い」の実現を求めて、厚生労働省で記者会見を行いました。協会からは池川理事、磯崎政策部副部長が赴き、共同通信、時事通信、読売新聞、朝日新聞、産経新聞、東京新聞など10社が参加しました。

 

記者会見で配布した資料(PDF 4.9MB)

 

 はじめに磯崎政策部副部長より、全国の都道府県の減収状況を地図で示した医療経営の窮状に触れ、このままでは「救える命が救えなくなる」と概括説明を行いました。その上で、医療機関経営の窮状打開のため、診療報酬の「単価補正支払い」を提案するとし、支払基金の4月診療分データを示して全体で▲13%、小児科・耳鼻咽喉科は▲40%前後、コロナ陽性者の発生率に因らず全国で減収、東京・神奈川など高率発生地域の減収はより顕著なことを詳述。公立病院、大学病院、診療所とすべてが経営難であり、当協会調査で9割の医療機関が減収状況にあり、各団体調査も同様だとしました。

 この資金繰りが大変な現状を踏まえ、「迅速」で「確実」な減収分の「補填」策が喫緊であり、それに適うものとして「単価補正支払い」を提案していると強調しました。具体的には、減収医療機関の対前年同月比の減額分の逆数値補正の単価支払い(例:8/10なら10/8×10円=12.5円を1点単価とする)とし、患者負担は1点10円のままで、時限的特例的措置とすれば、既存の審査支払システムのままで、減収分の補填が可能。「これは減収分の減少策であり、予算措置ずみの医療保険財政の範囲で可能で新規財源は不要。これで減収分を数%台に抑える事ができる」と理解を求めました。また、この提案は医療経済学の第一人者、二木立・日本福祉大学名誉教授も評価していると付言しました。

 急浮上した奈良県知事の単価引き上げの地域別診療報酬の導入発言にも触れ、全国適用の緊急避難的措置の「単価補正支払い」とは別物と指摘。そもそも「医療費適正化計画」と連動の枠組みで第三期計画の期中で設定自体不可能と論建てて説明しました。

 今後の展望として、健保連の新会長が皆保険を守るため全力を尽くすと表明していること、日医が患者負担に影響を与えず診療報酬での解決を模索していることなどを紹介。最後に医療は国民の安全保障であり、「社会的共通資本」であることを強調しました。

 

「効率化」至上主義が脆弱さ露呈 医療費抑制から「余裕」ある医療へ

 

 質疑では、記者から

(1)今後の要請行動

(2)単価補正支払の仕組み

(3)国の支援策の評価

(4)保団連要望との協同

(5)奈良県提案の実現性

――など多数の質問が寄せられました。

 

 これに対し、協会は

(1)会見後、厚労大臣あてに要望書を提出する

(2)「単価補正」は審査支払機関からの「支払い」のみに適用

(3)2兆円の追加支援もコロナ患者対応施設偏重で、税金での対応は煩瑣な手続きや時間で迅速性を欠き個別・確実ではない

(4)保団連は災害時の概算請求要求の準用で大臣が難色、今回の提案は神奈川県保険医協会のオリジナル

(5)地域別報酬は奈良県知事が強硬主張しても法的枠組みは超越できない

―と返答しました。

 

 池川理事は、医療機関の経常利益率が1~3%未満であり、「単価補正支払い」で減収が数%台に緩和できても、経営的にはギリギリ凌げるかどうかの分水嶺の水準と補足。磯崎政策部副部長は、効率優先の医療費抑制策により、医療資材の最低限の在庫や、病床数の縮小で「余裕」のない状況となっており、突発的な事態に対応できなくなっており、この面での構造的な方向転換も求められていると結びました。