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混合診療問題ニュース7 「厚労省 混合診療『全面解禁』反対 “療養の給付”原則は崩さない!」

支離滅裂な要求には反論済み 改革会議もHPに掲載!?

 10月28日、協会・保団連は混合診療解禁の撤回を求める要請を厚労省に行い、協会の稲木政策部長が会員ファックス要請書475名分を提出した。

 また、厚労省懇談では医療課課長補佐ら5名と忌憚のない意見交換を行い、混合診療解禁への厚労省の立場を再三にわたり追及。全面解禁のための“療養の給付”から“療養費の支給”への法律改定はしない、「療養の給付原則は崩さない」と明言がなされた。また、首相の指示の下、どのような終着点とするかは「これから検討」とした。

 厚労省の強調する「特定療養費の拡充で対応」に関し、協会・保団連側は、大臣がリスクをとる“解禁”や金持ちへの“解禁”を認める発言をし、従来と厚労省の考え方が変化していること、その一方でポジティブリスト提出を「拒否」した内保連が特定療養費の運用について将来的な保険導入から、「過渡的措置」へと、限定的な運用にすべきと見解が変化している点を指摘。厚労省もこの認識はあると頷いた。

 また、規制改革会議やマスコミでの乳房再建術の負担軽減など、間違った主張へは的確な反論をすべきとの要請に対しては、厚労省も昨年の夏と今年10月と具体的資料で反論し、それが改革会議のホームページにも掲載されている。マスコミにもレクチャーしているが報道が是正されないと、厚労省なりの努力の一端を紹介。保団連からは、情報提供があれば宣伝すると申し入れた。

規制改革会議の為にする論を解く

 上記の懇談では規制改革会議の説く解禁や自由診療は「正直わからない」と厚労省も困惑していると吐露。とにかく解禁ありきで、為にする議論を展開すしているとの認識を表にした。右の表は、この間の改革会議の要求の間違いと内容を、協会がまとめたもの。議論の混乱・混同を解くことが肝要である。

■ 規制改革会議の要望する解禁事項の「誤解・間違い」と本来の「解決策」

 

解禁を求めている項目

現  状

(規制改革会議の「誤解と間違い」のポイント)

解決策

A.予防措置・保険適用回数制限のあるもの

 1)ピロリ菌の除菌(3回目以降の除菌)

 2)腫瘍マーカー検査(月1回を超える検査)

 3)入院中の検診

1)同一薬剤処方では3回以降は除菌効果が乏しい

2)現行は確定診断までに1回

3)実態が不明?通常はない検診は医療保険とは別物

1)別の薬剤処方の際の保険適用

2)医学的に必要なものは保険適用すべき

3)対応不要

B.患者の価値感に左右されるもの

 1)乳房の再建術

 2)舌がん摘出後の形成

 3)自動縫合器での痔の治療

1)乳がん摘出後(疾病治療:保険診療終了)⇒乳房再建(形成外科医療:自由料金)で、医療保険と峻別<混合診療とは別の話>

2)保険診療から形成外科医療への移行疾病治療とは別物<混合診療とは別の話>

3)保険点数なし<本質は技術の保険導入のための評価>

1)国民、医療者の双方から保険導入の要求が強い。保険導入で負担軽減すべき

2)同上

3)医学的評価の定まった治療法は保険導入すべき

C.診療行為に付帯するサービス

 1)外国人への通訳

 2)国基準を超す医師、看護師配置

1)規定なし

2)手厚い配置は医療保険の「加算」で対応

 それ以上の看護師配置は個室を条件に差額ベッドが全室で可能(通常は病室の5割)<形を変えたヒト差額>

1)保険外として費用徴収の明示で対応可能

2)人員比例で点数化し医療保険で対応すべき

D.特定療養費制度で未認定のもの

 1)抗がん剤の適応外使用

 2)放射線がん治療・免疫細胞療法と抗がん剤の併用

 3)未承認の医療材料の術中使用

1)04年1月に制度導入

2)放射線は保険適用

3)<本質は未承認材料・薬剤の速やかな保険導入>

1)<実施済み>

2)特定療養費で対応可能

3)医療上必要なものは保険適用すべき

 (2004年11月5日)