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【緊急要望】 RSウイルス感染症に対する「シナジス」注射の薬剤コストについて出来高算定を認め、小児科診療所に「原価割れ」強いる仕組み改善を!

厚生労働大臣 小宮山 洋子 殿

厚生労働副大臣  辻 泰弘 殿

厚生労働副大臣  牧 義夫 殿

【 緊 急 要 望 】

RSウイルス感染症に対する「シナジス」注射の薬剤コストについて

出来高算定を認め、小児科診療所に「原価割れ」強いる仕組み改善を!

 

                                                     神奈川県保険医協会     

                                                     理事長 池川 明      

                                                     理事  藤田倫成(小児科医)

 

 RSウイルス感染症に関して、冬場の大流行の懸念が各方面より出ています。同感染症は、ほぼ全ての子どもが罹患する一般的な呼吸器感染症ですが、新生児・乳幼児では肺炎等の原因になるなど重症化し易い感染症でもあります。特に、早産児や先天的な心疾患・呼吸器疾患など持病のある子どもは重症化リスクが高く、入院加療が必要な事例も少なくありません。その一方、効果的な治療薬がないのが実情で、罹患しないよう発症予防すること、発症しても重症化を防ぐことが非常に重要になります。

 その有効かつ唯一の対応薬として、「シナジス(パリミズバブ)」注射が公的保険で認められています。本剤の注射は、早産児などハイリスクの新生児・乳幼児に月1回、流行時期が終わるまで毎月投与が必要です。高い効果の反面、非常に高価な薬剤として有名です。1回の注射投与につき、薬剤費のみで最低約8万円(子どもの体重に応じて増加)のコストが発生し、それが毎月となります。

 

 多くの小児科診療所は「小児科外来診療料」という公定価格である診療報酬点数を届出・算定しますが、検査や注射・投薬等の治療内容(コスト)に係らず「定額(包括)」設定です。初診時で「5600円(560点)」、再診時では「3800円(380点)」と一律に決められています(いずれも院外処方の場合)。また、患者ごとに算定の有無を選択することも、ルール上出来ません。

 つまり、「シナジス」注射をしても、その対価として小児科診療所に支払われるのは、最大「5600円」のみ。言い換えれば、患者さんにとって必要かつ効果的な治療をする度、約7万5千円も赤字が発生<注射薬剤費80,000円-公定価格(薬剤費込み)5600円>、実際に使用する薬剤分のみで収支はマイナスです。当然、注射に対する手技料など、医師や従事者の関連医療行為の評価もゼロとなります。

 厚生労働省は過日の医療課長通知(10月17日付)で、入院患者に限定していたRSウイルス抗原検査を、乳児や「シナジス」適用患者につき小児科診療所(外来)にも拡大しました。その一方で、該当患者に必要な「シナジス」注射をしても、最低限のコスト評価もなく赤字負担を強いるのは不合理です。

 

 公衆衛生上かつ医療経済上の観点からも、RSウイルス感染症に対する注射薬「シナジス」の薬剤コストに関して、「小児科外来診療料」の包括項目から外し、出来高算定を認めるよう強く要望いたします。例えば、入院点数であるDPC算定病院にて、抗ガン剤など高価な薬剤の出来高算定(包括除外)が認められており、実情からも技術的にも可能なはずです。何よりも、患者さんの必要な治療機会を奪うことなく、その皺寄せ・負担を小児科診療所に転嫁することのないよう、早急な制度改善を求めます。

2011年10月20日

 

一、「シナジス」注射の薬剤費に関して、「小児科外来診療料」の包括項目から除外、出来高

   算定を認め、小児科診療所に原価割れ(赤字)を強いる制度構造・仕組みを早急に改めること。

以上 

厚生労働大臣 小宮山 洋子 殿

厚生労働副大臣  辻 泰弘 殿

厚生労働副大臣  牧 義夫 殿

【 緊 急 要 望 】

RSウイルス感染症に対する「シナジス」注射の薬剤コストについて

出来高算定を認め、小児科診療所に「原価割れ」強いる仕組み改善を!

 

                                                     神奈川県保険医協会     

                                                     理事長 池川 明      

                                                     理事  藤田倫成(小児科医)

 

 RSウイルス感染症に関して、冬場の大流行の懸念が各方面より出ています。同感染症は、ほぼ全ての子どもが罹患する一般的な呼吸器感染症ですが、新生児・乳幼児では肺炎等の原因になるなど重症化し易い感染症でもあります。特に、早産児や先天的な心疾患・呼吸器疾患など持病のある子どもは重症化リスクが高く、入院加療が必要な事例も少なくありません。その一方、効果的な治療薬がないのが実情で、罹患しないよう発症予防すること、発症しても重症化を防ぐことが非常に重要になります。

 その有効かつ唯一の対応薬として、「シナジス(パリミズバブ)」注射が公的保険で認められています。本剤の注射は、早産児などハイリスクの新生児・乳幼児に月1回、流行時期が終わるまで毎月投与が必要です。高い効果の反面、非常に高価な薬剤として有名です。1回の注射投与につき、薬剤費のみで最低約8万円(子どもの体重に応じて増加)のコストが発生し、それが毎月となります。

 

 多くの小児科診療所は「小児科外来診療料」という公定価格である診療報酬点数を届出・算定しますが、検査や注射・投薬等の治療内容(コスト)に係らず「定額(包括)」設定です。初診時で「5600円(560点)」、再診時では「3800円(380点)」と一律に決められています(いずれも院外処方の場合)。また、患者ごとに算定の有無を選択することも、ルール上出来ません。

 つまり、「シナジス」注射をしても、その対価として小児科診療所に支払われるのは、最大「5600円」のみ。言い換えれば、患者さんにとって必要かつ効果的な治療をする度、約7万5千円も赤字が発生<注射薬剤費80,000円-公定価格(薬剤費込み)5600円>、実際に使用する薬剤分のみで収支はマイナスです。当然、注射に対する手技料など、医師や従事者の関連医療行為の評価もゼロとなります。

 厚生労働省は過日の医療課長通知(10月17日付)で、入院患者に限定していたRSウイルス抗原検査を、乳児や「シナジス」適用患者につき小児科診療所(外来)にも拡大しました。その一方で、該当患者に必要な「シナジス」注射をしても、最低限のコスト評価もなく赤字負担を強いるのは不合理です。

 

 公衆衛生上かつ医療経済上の観点からも、RSウイルス感染症に対する注射薬「シナジス」の薬剤コストに関して、「小児科外来診療料」の包括項目から外し、出来高算定を認めるよう強く要望いたします。例えば、入院点数であるDPC算定病院にて、抗ガン剤など高価な薬剤の出来高算定(包括除外)が認められており、実情からも技術的にも可能なはずです。何よりも、患者さんの必要な治療機会を奪うことなく、その皺寄せ・負担を小児科診療所に転嫁することのないよう、早急な制度改善を求めます。

2011年10月20日

 

一、「シナジス」注射の薬剤費に関して、「小児科外来診療料」の包括項目から除外、出来高

   算定を認め、小児科診療所に原価割れ(赤字)を強いる制度構造・仕組みを早急に改めること。

以上