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STOP!"くすり"の保険外し!~花粉症のお薬や湿布薬がもらえなくなるの???~

えっ?花粉症の治療薬に健康保険が利かなくなる!?

 

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 いま、薬局や薬店やネットで購入できる市販薬と、有効成分が類似の医療用の医薬品を健康保険で使えなくすることを国は年末に向け検討中です。とりわけ花粉症の治療薬が、焦点となっています。

 

 

INDEX

市販薬の購入での「自己責任」医療へ

「医療」と市販薬の服用は違います

皆保険制度は重要な社会保障 受診は権利

薬の保険外しはあぶない!医師の声

 

【チラシ】

STOP!“くすり”の保険外し

(どなたでもダウンロードできます。ぜひご活用ください)

 


  

市販薬の購入での「自己責任」医療へ

 医療用の医薬品が使えなくなると、市販薬で済ますことになります。専門家の医師によらない、「自己責任」医療となります。これまでビタミン剤、うがい薬、湿布などの一部で実施されています。

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「医療」と市販薬の服用は違います

 「医療」は医師が医療・医学知識、医療技術と臨床経験をもとに、「診察」をし「診断」し、「治療方針」を考えて、「必要」な治療薬を処方しています。その際、医学的見地から医薬品の作用機序(効き方)や効能、ほかの服用薬との相互作用や悪影響など細心の注意を払っています。これを専門家として短時間で行っています。

 

 素人判断で市販薬を服用すると、問題を生ずる場合があります。医療情報の入手が簡単な時代ですが、基礎医学の知識や臨床経験が無い素人と医療者では雲泥の差があります。医療上、「必要」な医薬品が、類似の市販薬が販売されているという理由で、健康保険から外れると、適切・的確な医療提供ができなくなります。

 

(問題例)

 風邪薬でのスティーヴンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群・重傷薬疹)や胃薬での進行性胃がんの発見遅れの他、ウェルニッケ脳症(ビタミンB1 の欠乏による重篤な神経疾患)なども指摘されています。

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皆保険制度は重要な社会保障 受診は権利

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 日本は国民全員が加入する健康保険(「皆保険制度」)により、「医療」を誰もが十分に受けられる仕組みが生存権保障(憲法25条)の下で確保されています。保険料や税金を事前に各自で負担しています。市販薬は受診より安い場合もあると主張する保険者がありますが、受診は私達の権利です。医学的にも問題です。

 

 健康保険で医療に必要な医薬品は提供できる制度でありつづけることが、制度の信頼性や十分性を高め、負担の理解を促し、よくいわれる制度の持続可能性を確固たるものにしていきます。

 


  

薬の保険外しはあぶない!医師の声

 町の開業医(当会会員)からも、薬が保険から外されることを心配する声が寄せられています。

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医学的視点での懸念の声

  • 自己判断での服薬で症状の改善がない場合やさらなる不調が生じた時、有効無効の判断や、副作用を疑っての検査等が遅れ、大きな健康被害や経済的損失が生じるリスクがある。(精神科医・50代)

  • ヒルドイドソフトなど保険外になったら、本当に必要であるアトピーや抗癌剤投与中の患者が困ってしまう。(皮膚科・40代)

  • 患者の自己判断で市販薬を服用しているうちに気管支喘息を呈しているのに気付かれていない。(小児科・70代)

  • 湿布等も、アレルギー等もありますので処方するべきと考えます。(整形外科・50代)

  • 漢方薬、ビタミン剤、花粉症薬などの保険外しは、受診をしなくても薬を購入できてしまい、決して患者の益とはならず、病気の発見の遅れにつながるものであり、最悪な施策。(内科・60代)

  • 市販薬を保険から外すと、新薬を処方する傾向が強まり、結果的に医療費の高騰を招く。(耳鼻科・50代)

 

患者さんの負担が大変!

  • 花粉症治療薬については、同じ薬品が喘息やアトピー等の治療薬として必須の薬品でもあり、これらが保険対象外となると、重症の患者さん程、負担が増える。(小児科・50代)

  • 外科、整形外科で湿布薬が保険から外されると患者さんに話すと「絶対反対です。我々はとても薬局で高い湿布薬は買えません。困った!!」と反応します。(外科・80代)

  • 花粉症予防、治療薬やヒルドイド系、ビタミン剤などを保険外診療薬にしようとしているが、患者様にとっては大きな痛手となり受診抑制なりかねない。絶対反対。(皮膚科・80代)

  • 湿布の保険外しは、お金のないお年寄りは痛みを我慢しろということ。花粉症薬と風邪薬を保険から外したら、40歳以下の子どものない世帯は保険に入っている意味がなくなる。(小児科・60代)

  • 花粉症の原因は戦後、戦時の乱伐で荒れた山林を国が安易に杉で植林した結果であり、本来国が補償してもいいもの。保険外しなど本末転倒。(神経科・60代)

 

薬の保険外しだけじゃない!患者さんが心配…

  • 最近「お金がないので、検査、お給料日の後でいいですか?」という方が増えています。貧困ぎりぎりで生活している人が病気になったらどうなってしまうのか、心配です。(産婦人科・40代)

  • 市販胃薬を内服していた50代女性が症状悪化し、来院時内視鏡検査では進行性胃癌(stageⅢB)になっていました。患者が受診しやすい医療をお願いしたい。(内科・50代)

  • DOAC(抗凝固薬)等、高薬価の為、1割負担ですら高いと先程言われました。(内科・50代)

  • 国民の医療に税金を使おう。(内科・70代)

えっ?花粉症の治療薬に健康保険が利かなくなる!?

 

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 いま、薬局や薬店やネットで購入できる市販薬と、有効成分が類似の医療用の医薬品を健康保険で使えなくすることを国は年末に向け検討中です。とりわけ花粉症の治療薬が、焦点となっています。

 

 

INDEX

市販薬の購入での「自己責任」医療へ

「医療」と市販薬の服用は違います

皆保険制度は重要な社会保障 受診は権利

薬の保険外しはあぶない!医師の声

 

【チラシ】

STOP!“くすり”の保険外し

(どなたでもダウンロードできます。ぜひご活用ください)

 


  

市販薬の購入での「自己責任」医療へ

 医療用の医薬品が使えなくなると、市販薬で済ますことになります。専門家の医師によらない、「自己責任」医療となります。これまでビタミン剤、うがい薬、湿布などの一部で実施されています。

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「医療」と市販薬の服用は違います

 「医療」は医師が医療・医学知識、医療技術と臨床経験をもとに、「診察」をし「診断」し、「治療方針」を考えて、「必要」な治療薬を処方しています。その際、医学的見地から医薬品の作用機序(効き方)や効能、ほかの服用薬との相互作用や悪影響など細心の注意を払っています。これを専門家として短時間で行っています。

 

 素人判断で市販薬を服用すると、問題を生ずる場合があります。医療情報の入手が簡単な時代ですが、基礎医学の知識や臨床経験が無い素人と医療者では雲泥の差があります。医療上、「必要」な医薬品が、類似の市販薬が販売されているという理由で、健康保険から外れると、適切・的確な医療提供ができなくなります。

 

(問題例)

 風邪薬でのスティーヴンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群・重傷薬疹)や胃薬での進行性胃がんの発見遅れの他、ウェルニッケ脳症(ビタミンB1 の欠乏による重篤な神経疾患)なども指摘されています。

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皆保険制度は重要な社会保障 受診は権利

stop_04.png

 日本は国民全員が加入する健康保険(「皆保険制度」)により、「医療」を誰もが十分に受けられる仕組みが生存権保障(憲法25条)の下で確保されています。保険料や税金を事前に各自で負担しています。市販薬は受診より安い場合もあると主張する保険者がありますが、受診は私達の権利です。医学的にも問題です。

 

 健康保険で医療に必要な医薬品は提供できる制度でありつづけることが、制度の信頼性や十分性を高め、負担の理解を促し、よくいわれる制度の持続可能性を確固たるものにしていきます。

 


  

薬の保険外しはあぶない!医師の声

 町の開業医(当会会員)からも、薬が保険から外されることを心配する声が寄せられています。

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医学的視点での懸念の声

  • 自己判断での服薬で症状の改善がない場合やさらなる不調が生じた時、有効無効の判断や、副作用を疑っての検査等が遅れ、大きな健康被害や経済的損失が生じるリスクがある。(精神科医・50代)

  • ヒルドイドソフトなど保険外になったら、本当に必要であるアトピーや抗癌剤投与中の患者が困ってしまう。(皮膚科・40代)

  • 患者の自己判断で市販薬を服用しているうちに気管支喘息を呈しているのに気付かれていない。(小児科・70代)

  • 湿布等も、アレルギー等もありますので処方するべきと考えます。(整形外科・50代)

  • 漢方薬、ビタミン剤、花粉症薬などの保険外しは、受診をしなくても薬を購入できてしまい、決して患者の益とはならず、病気の発見の遅れにつながるものであり、最悪な施策。(内科・60代)

  • 市販薬を保険から外すと、新薬を処方する傾向が強まり、結果的に医療費の高騰を招く。(耳鼻科・50代)

 

患者さんの負担が大変!

  • 花粉症治療薬については、同じ薬品が喘息やアトピー等の治療薬として必須の薬品でもあり、これらが保険対象外となると、重症の患者さん程、負担が増える。(小児科・50代)

  • 外科、整形外科で湿布薬が保険から外されると患者さんに話すと「絶対反対です。我々はとても薬局で高い湿布薬は買えません。困った!!」と反応します。(外科・80代)

  • 花粉症予防、治療薬やヒルドイド系、ビタミン剤などを保険外診療薬にしようとしているが、患者様にとっては大きな痛手となり受診抑制なりかねない。絶対反対。(皮膚科・80代)

  • 湿布の保険外しは、お金のないお年寄りは痛みを我慢しろということ。花粉症薬と風邪薬を保険から外したら、40歳以下の子どものない世帯は保険に入っている意味がなくなる。(小児科・60代)

  • 花粉症の原因は戦後、戦時の乱伐で荒れた山林を国が安易に杉で植林した結果であり、本来国が補償してもいいもの。保険外しなど本末転倒。(神経科・60代)

 

薬の保険外しだけじゃない!患者さんが心配…

  • 最近「お金がないので、検査、お給料日の後でいいですか?」という方が増えています。貧困ぎりぎりで生活している人が病気になったらどうなってしまうのか、心配です。(産婦人科・40代)

  • 市販胃薬を内服していた50代女性が症状悪化し、来院時内視鏡検査では進行性胃癌(stageⅢB)になっていました。患者が受診しやすい医療をお願いしたい。(内科・50代)

  • DOAC(抗凝固薬)等、高薬価の為、1割負担ですら高いと先程言われました。(内科・50代)

  • 国民の医療に税金を使おう。(内科・70代)