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混合診療問題ニュース12 「混合診療解禁の本当の目的は生保・損保や大企業の利益拡大です!」

 「保険診療」と「自由診療」の混在、混合診療。いま混合診療の解禁を強く求めているのは政府の「規制改革・民間開放推進会議」(以下、規制改革会議)です。彼らは「解禁すれば、患者の選択の自由が広がる」と言っていますが、患者さんは自由診療の部分にそなえて、民間保険に入る必要が出てきます。この会議の事務局(内閣府)にはセコム、第一生命、三井住友海上、東京海上火災など保険会社が名前を連ねます。

 しかも、それだけではありません。規制改革会議の宮内議長が会長を務めるオリックスは医療のあらゆる分野に進出してきています(下記参照)。

 彼らは、企業による病院経営の解禁も強く求めており、大病院の買収やそれと結んだ事業展開の危険性も高くなっています。すでに、事業規模拡大を念頭に、自由に病床を増やせるよう(医療計画での病床規制の撤廃、といいます)要望も出しています。

 

患者の要望は医療保険の充実

 「解禁」推進派は、混合診療解禁で負担軽減がなされるとし、保険外の抗がん剤使用(月30万円)で、保険給付70万円分と合わせ100万円の自己負担となる現状が、解禁で約38万円になるとしました。しかし、これは70万円の3割負担の21万円プラス保険外30万円の計51万円を支払った後、3ヶ月後に医療保険からの払い戻し(高額療養費13万円)を受けられた場合の負担額です。これだけの立替払いを続けることは大変です。この保険外の抗がん剤が保険に導入されれば、窓口での負担は30万円(100万円の3割分)となり、高額療養費22万円が払い戻され、8万円の負担で済むのです。

 基本は未承認の抗がん剤や、検査・治療は速やかに保険に導入することです。また、これらの使用についても現行制度の手直しや、公費から医療費助成制度の創設で対応が財政的にも十分可能です。金額的にも医療費への影響度は0.01%もありません。「医療保険で全てカバーする」この基本ルールを崩し、カバーしないものを商品化していくことが混合診療の解禁です。

 3割負担となって極端に受診が落ち込んだ、患者負担の緩和や、医療保険の回数制限・給付範囲の限定などの緩和が、本当の規制緩和・規制改革です。

 

■ オリックス関連会社の医療分野への進出   ※は事業概要

 

進出事業 会社等 備 考

1.医療保険

1)入院保険「fit」=60歳以降、保障日数の3倍に延びる終身医療保険   

2)「終身医療」=定額保険料 一生涯保障

オリックス生命保険 オリックスが100%出資
2.病院経営 三菱京都病院

実質的にオリックスが所有?

注:(株)メディ・パワーのホーム・ページより

3.高知医療センター オリックス

PFI方式(公共サービスの民間運営)

※医療本体以外の一切の医療周辺・関連(検査・保守点検・医事等)サービスの運営

4.治験事業 医療産業(株)

オリックスが筆頭株主

※医薬品・医療用具の臨床開発、治験コーディネーターなど

5.診療報酬請求権譲渡ファイナンス オリックス 診療報酬債権の一部を譲渡担保とする融資

6.高齢者向け介護付き賃貸住宅

 (ヘルスケアインスティテュート)

オリックス・リアルエステート&オリックス ※介護付き住宅+クリニック誘致+コンサルタント+資金調達
7.神戸医療産業都市構想(医療特区) オリックス ※企業誘致・都市開発部門に参加

8.ソフトピアジャパン

(IT関連企業100社が集積:岐阜県大垣市)
オリックス ※医療・福祉分野の情報化を目指す国際研究開発拠点
9.患者・医療情報の管理保全 エントラストジャパン

<電子認証システム>

※オリックスほかセコム、NTTデータ、 ソニー、東京三菱銀行、住友銀行など16社で設立


  (2004年12月3日)