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医療問題研究会 ビッグデータ時代のプライバシー危機の実相に驚愕 プライバシー権は「尊厳」の上に

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 神奈川県保険医協会・政策部は2017年9月11日、「プライバシー・個人情報をどう守るか?―ビッグ・データ時代の陥穽―」をテーマに中央大学総合政策学部准教授・宮下紘氏を講師に医療問題研究会を開催、会員や一般、朝日新聞・元編集委員、赤旗論説委員、埼玉協会役員など19名が参加した。

 宮下氏はGPS捜査、自衛隊による情報収集活動、検索結果削除請求の最高裁などの判例やスノーデンの告発、共謀罪への国連特別報告者の書簡への政府見解などこの間のプライバシー問題の動向を仔細に紹介。Suicaの再識別化の余地のある匿名化、大阪駅の顔認証カメラ実証実験の反対やベネッセの個人情報漏洩、名簿販売業者の実態に触れ、個人情報保護法制の世界と日本の動向や国内での自治体条例の先行整備、個人情報保護法への過剰反応の愚を振り返り、目的は個人の権利利益保護と個人情報の有用性の均衡を図ることとし、民間・国・独法・自治体の分離法制と番号法の関係性も説明。H27法改定による個人情報へ指紋・旅券番号など個人識別符号の追加や、要配慮個人情報(医療情報は同意なしに第三者提供できない)、個人情報の第三者提供の際のトレーサビリティの確保にふれ、匿名加工医療情報作成事業者を法定化した次世代医療基盤法、マイナンバーの目的理念、利用範囲拡大やマイナンバーカードの保険証利用、マイナポータル、医療IDにも触れ、韓国での民間解放による膨大漏洩の失敗に学び「官」に限定すべきとした。

 またセキュリティー問題にも話題を転じ、年間165件のマイナンバー法律違反、国税庁関連が主の情報漏洩の実態、漏洩の賠償額5,000円、日本年金機構の漏洩問題から得るべき教訓、提携130社に個人の行動半径(購買日時・場所)情報を提供している「Tポイントカード」を公立図書館で利用する問題性―貸出し履歴が思想、信条、宗教の情報収集となる、米国で購買品4点でコンピューターが解析し女子高生の妊娠をあてクーポン券を送付するサービスや、facebookの「いいね」履歴とグーグルのサジェスト機能を使い英国のEU離脱とトランプ大統領勝利をあてたデータ分析会社の存在、データ分析で殺人者予備群と被害者予備群をリスト化しているシカゴ警察の背筋の凍る実話も披露。プライバシー権の未来として、オプトインの欧州とオプトアウトの米国の尊厳と自由の哲学の衝突、ナチスのパンチカードによる効率的なユダヤ人の選別の負の遺産、欧州で認められたネット上からの「忘れられる権利」の世界的な確立や日本での主要政党間でのプライバシー権の憲法への明記の不一致の状況など詳述。濃密な内容を明晰に、構造的に俯瞰し問題の本質、深淵を縦横無尽に話された。

(神奈川県保険医新聞2017年10月5日号より抜粋)