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アルツハイマー病

 アルツハイマー病は20世紀の初めアルツハイマーが病気としての報告し、クレペリンがアルツハイマー病と名づけた初老期痴呆の代表的なものです。

 40代に始まり、徐々に進行して痴呆状態になってしまうもので、老人のボケとはやや趣を異にしています。遺伝的な要因もあるとされ、遺伝子診断と遺伝子治療の対象の一つとして研究されています。

 この病気になると大脳皮質という場所すなわち大脳の表面に特異的な老人斑が現れて、神経原線維が変性してしまいます。その結果まず、物を憶える記銘力や、それを記憶として保存する能力が落ちて来ます。過去に記憶した事は思い出せても、新しい事に対する障害が目立って来ます。病気が進行すると、はいずり回ったり徘徊多動傾向が見られるようになります。昼夜逆転が起り、夜間に無目的に行動したり、外出すると自分の家への帰り道が分からなくなって行方不明になったりすることもあります。人格が次第に崩壊して、感情の表現も衰えて、物を認識する能力がなくなってしまう失認や、物の名前を忘れて、最後に失語症になってしまう場合もあります。原因は不明ですが神経伝達物質の異常、脳内たんぱく質のアミロイド変性が関連していることが原因らしいと考えられています。レーガン元アメリカ大統領がアルツハイマー病にかかってから一般の人にも知られるようになりました。しかし、脳血管障害によって似たような症状を起こすアルツハイマー型痴呆とは原因も異なり、治療法も確立していない点で、はっきり区別されねばならない訳で、それ程多い病気でありません。

 2001年5月、アメリカ・イリノイ大学で、人間で言えば80才にあたる生後24ヶ月のラットの脳に、人間の神経のもとになる細胞を移植して、ラットの記憶力を劇的に改善することができたと報告されました。移植をうけた老ラットが若いラットと同様にプールの出口から脱出できるようになるという発見です。人間の大脳皮質から取り出した神経のもとになる神経幹細胞を培養して老ラットに移植して1ヶ月位すると、記銘・記憶力が若いラットと同様によみがえって来たというのです。

 老化した大脳細胞を若がえらすことができたら素晴らしい事と言えます。先ずアルツハマー型老人痴呆さらには、アルツハイマー病あるいはパーキンソン病という神経細胞が萎縮した病気への応用も期待されるところです。

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