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医療者の人権で医療問題研究会 「法の義務は必ず人権侵害を伴う」

20121012.jpg 神奈川県保険医協会・政策部は2012年10月12日、「医療者の人権~法と倫理の相違~」のテーマで浜松医科大学医学部「医療法学」教授の大磯義一郎氏を講師に招き医療問題研究会を開催。当日は24名が参加した。大磯氏は医師と弁護士のダブルライセンスを持ち現在、教鞭をとっている。
 大磯氏は権利義務の理解において「誰の誰に対する権利(義務)」なのかの把握が肝要と説き、憲法の基本的人権は国民の国に対する権利であると強調。国に医師免許を付与された医師の権利義務も同様の関係性にあるとし、法律上の義務は必然的に医師の人権侵害と裏表の関係にありたたかうべき相手は国だと指摘。また「適法」に行われたナチスの非人道的人体実験にみる国家権力の暴走から患者を守るために、世界医師会は職業的判断の自由の行使のため、医療者の人権、自治権の確立のためプロフェッショナルオートノミーを提唱したと詳述。患者の権利の陥穽や応召義務が対国のスローガン規定であることに触れ、焦眉の無過失補償制度は紛争の防止が本旨なのに医療に門外漢の弁護士が議論に参画するのでおかしくなると断じた。個人情報、情報開示の問題にも言及され、内容の濃い時間となった。


(神奈川県保険医新聞2012年11月25日号より抜粋)