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2006/6/13 理事長談話「いい加減な医療『改革』法案の可決に断固抗議する」

いい加減な医療「改革」法案の可決に断固抗議する

神奈川県保険医協会

理事長  平尾 紘一


 本日(6月13日)、参院厚生労働委員会で医療「改革」関連法案が採決された。異例だった衆院の審議時間40時間よりも更に短い、僅か32時間で審議が打ち切られ、総理出席の総括質問も行われず、と異例づくめの下、与党の賛成多数で可決された。審議を重ねるごとに問題点が噴出し、法案の欺瞞性や恣意性が明白になる連続だっただけに、われわれは採決に断固抗議するとともに、強い憤りを禁じえない。

 今国会審議では、後期高齢者医療制度の過重負担・矛盾点をはじめ、「介護難民」「医療難民」「出産難民」の解決や、医師不足と過重労働の解消、医療事故対策など、数多くの問題が噴出したにもかかわらず、法案はそれらに応えるものではなく、また厚労省からも、何ら有効な"処方箋"は示されもしなかった。

 それどころか、そもそもこの改革の前提、「2025年度医療費56兆円を9兆円削減」に関し、25年度医療費の推計方法を恣意的に変更して過大数値としたことが審議で明らかになり、与野党から「怪しさ」が何度も追及されているのである。つまり、「改革」の必要性、論拠が無いのである。

 しかも、(1)鳴り物入りで提案された生活習慣病対策の柱、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は根拠がないこと、(2)入院日数(在院日数)短縮のための国際比較データに長期病床を混在させる意図的操作を行っていたこと、(3)療養病床の診療報酬の大幅削減のため導入した「医療必要度」概念は調査結果を改ざん、捏造したものであり根拠のないデタラメであること―など、次々と厚労省の作為、情報操作、我田引水の調査結果の活用が暴露されている。このように、社会保障の政策立案における、これら一連の虚偽工作は国家公務員法への抵触の可能性すらあることを厳しく問わざるをえない問題である。

 極めつけは医療保険の県単位再編を提案しているにも関わらず、自らの厚労省職員の加入する医療保険を問われ水田局長は答えに窮し、しかも3つの医療保険に分かれて加入していることすら承知していなかったのである。これに象徴されるように、政策立案者としての責任、自覚は全く欠如している。

 今回の改革は、機械的な医療費削減のみありきで、安全、安心、納得の医療を実現させるための「改革」とは全く無縁である。国民の健康づくり、医療現場の経営難と患者の苦境を救済する方策は無いに等しい。

当協会は審議前より、厚労省の中堅および、政策立案幹部へに対し、現場に学び「医療政策」を作るよう繰り返し説いたが、蓄積された研究成果、医療実践を政策展開することは終になされなかった。

 今回の医療「改革」はまさに"哲学"不在であり、無責任、無自覚な官僚の官僚による官僚のための「改革」でしかない。さらに、440項目の異常な数の政省令の具体化は今後、国民の意思とは関係なく厚労省官僚の裁量に全て委ねられるのである。

 国民の命と健康にかかわる法案が、このようないい加減、杜撰な形で成立を見たことにわれわれは心底、憤りを禁じえない。

 "医療破壊"を決定づけるこの法律の撤回を強く求めるとともに、厚労省の犯罪性を今後、われわれは徹底的に追及していく。

2006年6月13日

 

いい加減な医療「改革」法案の可決に断固抗議する

神奈川県保険医協会

理事長  平尾 紘一


 本日(6月13日)、参院厚生労働委員会で医療「改革」関連法案が採決された。異例だった衆院の審議時間40時間よりも更に短い、僅か32時間で審議が打ち切られ、総理出席の総括質問も行われず、と異例づくめの下、与党の賛成多数で可決された。審議を重ねるごとに問題点が噴出し、法案の欺瞞性や恣意性が明白になる連続だっただけに、われわれは採決に断固抗議するとともに、強い憤りを禁じえない。

 今国会審議では、後期高齢者医療制度の過重負担・矛盾点をはじめ、「介護難民」「医療難民」「出産難民」の解決や、医師不足と過重労働の解消、医療事故対策など、数多くの問題が噴出したにもかかわらず、法案はそれらに応えるものではなく、また厚労省からも、何ら有効な"処方箋"は示されもしなかった。

 それどころか、そもそもこの改革の前提、「2025年度医療費56兆円を9兆円削減」に関し、25年度医療費の推計方法を恣意的に変更して過大数値としたことが審議で明らかになり、与野党から「怪しさ」が何度も追及されているのである。つまり、「改革」の必要性、論拠が無いのである。

 しかも、(1)鳴り物入りで提案された生活習慣病対策の柱、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は根拠がないこと、(2)入院日数(在院日数)短縮のための国際比較データに長期病床を混在させる意図的操作を行っていたこと、(3)療養病床の診療報酬の大幅削減のため導入した「医療必要度」概念は調査結果を改ざん、捏造したものであり根拠のないデタラメであること―など、次々と厚労省の作為、情報操作、我田引水の調査結果の活用が暴露されている。このように、社会保障の政策立案における、これら一連の虚偽工作は国家公務員法への抵触の可能性すらあることを厳しく問わざるをえない問題である。

 極めつけは医療保険の県単位再編を提案しているにも関わらず、自らの厚労省職員の加入する医療保険を問われ水田局長は答えに窮し、しかも3つの医療保険に分かれて加入していることすら承知していなかったのである。これに象徴されるように、政策立案者としての責任、自覚は全く欠如している。

 今回の改革は、機械的な医療費削減のみありきで、安全、安心、納得の医療を実現させるための「改革」とは全く無縁である。国民の健康づくり、医療現場の経営難と患者の苦境を救済する方策は無いに等しい。

当協会は審議前より、厚労省の中堅および、政策立案幹部へに対し、現場に学び「医療政策」を作るよう繰り返し説いたが、蓄積された研究成果、医療実践を政策展開することは終になされなかった。

 今回の医療「改革」はまさに"哲学"不在であり、無責任、無自覚な官僚の官僚による官僚のための「改革」でしかない。さらに、440項目の異常な数の政省令の具体化は今後、国民の意思とは関係なく厚労省官僚の裁量に全て委ねられるのである。

 国民の命と健康にかかわる法案が、このようないい加減、杜撰な形で成立を見たことにわれわれは心底、憤りを禁じえない。

 "医療破壊"を決定づけるこの法律の撤回を強く求めるとともに、厚労省の犯罪性を今後、われわれは徹底的に追及していく。

2006年6月13日