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2009/5/7 医療運動部会長談話「笑止千万 無責任な素人論議に終止符を、道理ある『5分ルール』の即刻廃止を求める」

笑止千万 無責任な素人論議に終止符を

道理ある「5分ルール」の即刻廃止を求める

神奈川県保険医協会

医療運動部会長 池川 明


 4月18日、中医協は外来管理加算「5分ルール」の調査結果に関し、診療側の藤原委員 が、影響額の大幅乖離が実証されたことを踏まえ撤廃を要求したのに対し、支払側は「基本診療料全体の議論の中で考えるべき」と議論をすりかえた。5分ルー ルをめぐっては、データ流用、診療と診察の作為的変更、影響額試算の誤り、と虚偽が次々と明るみになり、導入の正当性が問われてきたが、そのたびに支払側 と厚労省は強弁をし、糊塗し続けてきた。ここには患者の視点も医療現場を改善しようという姿勢もない。医療現場を一顧だにせず、一切の責任を負わないこの 素人論議にわれわれは辟易している。おりしも豚インフルエンザのパンデミックが非常に懸念されている。豚インフルエンザだけでなく一般のインフルエンザ、 麻疹、風疹など感染の疑いがあり短時間に診断を終了すべき患者が受診する可能性のある一般診療に、感染の機会を増やす時間を要件とする5分ルールは誰の目 にも荒唐無稽である。5分ルールの即刻廃止と、支払側委員の罷免、厚労省官僚の厳正な処罰を求めるものである。

 今回緊急に行われた中医協での「5分ルール」の調査とは、これに関し、虚偽や作為や過大な財政影響が次々と発覚し、問題化したため、急遽、改定検証部会の調 査項目に異例の形で、通例を破り盛り込まれ実施されたものである。よって、その調査目的、「医療機関への影響の把握」が為された段階で、これに特化して対 応すべきものである。調査結果から日医は804億円、保団連は1,013億円と診療所の影響額を試算した。厚労省の試算240億円を大きく上回っているこ とは歴然としている。これは厚労省統計の「医療費の動向」からも数値的に乖離(▲2.5%)が裏付けられている。診療所で診る「診療」時間から、医師に限 定した「診察」時間へと、中医協議論とは違って通知段階で狭義の短い時間を5分要件の指標としたため、影響額が大幅に乖離するのは、そもそも当然の話であ る。

 しかも、今回のこの乖離が実証されるやいなや、影響額は若人部分を示したと、とってつけたウソを支払側と厚労省は言い放っており、 笑止千万である。08年1月30日の中医協で当時の原医療課長が明確に「240億円」と述べており、議事録にもきちんと残っている。これは診療所から病院 への財源移転をどうするかの議論のくだりであり、当然ながら、高齢者と若人を分けて数値はあげていない。

 仮に高齢者分を差し引いても乖離幅が大きいことは変わらず、藤原委員は現場の混乱と疲弊を説き早期見直しを求めたが児島・対馬の支払側委員は譲らず、逆に「外来管理加算を再診料に含めてはどうか」と提案をするなど、医療現場を愚弄した姿勢すら見せている。

 検証部会の調査では、患者の6割が「5分ルール」を不要としており、医師の説明内容は9割が変わらないとしている。医療機関の算定回数が激減し、経営"体力"が奪われただけである。この結果に、遠藤会長は再検討に値するとしているが、予測の範囲内であり自ら素人と公言しているに等しい。

 どこまでの費用削減に医療機関が耐えられるかというような素人のチキンレースは危険きわまりない。

 医療の無知から時間要件を強要し、その失態のために調査費用をかけ、その結果に真摯に向き合わず、第一線医療の疲弊、空白の出現にも無関心の、この無責任な支払側委員と厚労省は犯罪的である。

 しかるべき、処分とともに、即刻「5分ルール」の撤回を改めて求めるものである。

2009年5月7日

 

笑止千万 無責任な素人論議に終止符を

道理ある「5分ルール」の即刻廃止を求める

神奈川県保険医協会

医療運動部会長 池川 明


 4月18日、中医協は外来管理加算「5分ルール」の調査結果に関し、診療側の藤原委員 が、影響額の大幅乖離が実証されたことを踏まえ撤廃を要求したのに対し、支払側は「基本診療料全体の議論の中で考えるべき」と議論をすりかえた。5分ルー ルをめぐっては、データ流用、診療と診察の作為的変更、影響額試算の誤り、と虚偽が次々と明るみになり、導入の正当性が問われてきたが、そのたびに支払側 と厚労省は強弁をし、糊塗し続けてきた。ここには患者の視点も医療現場を改善しようという姿勢もない。医療現場を一顧だにせず、一切の責任を負わないこの 素人論議にわれわれは辟易している。おりしも豚インフルエンザのパンデミックが非常に懸念されている。豚インフルエンザだけでなく一般のインフルエンザ、 麻疹、風疹など感染の疑いがあり短時間に診断を終了すべき患者が受診する可能性のある一般診療に、感染の機会を増やす時間を要件とする5分ルールは誰の目 にも荒唐無稽である。5分ルールの即刻廃止と、支払側委員の罷免、厚労省官僚の厳正な処罰を求めるものである。

 今回緊急に行われた中医協での「5分ルール」の調査とは、これに関し、虚偽や作為や過大な財政影響が次々と発覚し、問題化したため、急遽、改定検証部会の調 査項目に異例の形で、通例を破り盛り込まれ実施されたものである。よって、その調査目的、「医療機関への影響の把握」が為された段階で、これに特化して対 応すべきものである。調査結果から日医は804億円、保団連は1,013億円と診療所の影響額を試算した。厚労省の試算240億円を大きく上回っているこ とは歴然としている。これは厚労省統計の「医療費の動向」からも数値的に乖離(▲2.5%)が裏付けられている。診療所で診る「診療」時間から、医師に限 定した「診察」時間へと、中医協議論とは違って通知段階で狭義の短い時間を5分要件の指標としたため、影響額が大幅に乖離するのは、そもそも当然の話であ る。

 しかも、今回のこの乖離が実証されるやいなや、影響額は若人部分を示したと、とってつけたウソを支払側と厚労省は言い放っており、 笑止千万である。08年1月30日の中医協で当時の原医療課長が明確に「240億円」と述べており、議事録にもきちんと残っている。これは診療所から病院 への財源移転をどうするかの議論のくだりであり、当然ながら、高齢者と若人を分けて数値はあげていない。

 仮に高齢者分を差し引いても乖離幅が大きいことは変わらず、藤原委員は現場の混乱と疲弊を説き早期見直しを求めたが児島・対馬の支払側委員は譲らず、逆に「外来管理加算を再診料に含めてはどうか」と提案をするなど、医療現場を愚弄した姿勢すら見せている。

 検証部会の調査では、患者の6割が「5分ルール」を不要としており、医師の説明内容は9割が変わらないとしている。医療機関の算定回数が激減し、経営"体力"が奪われただけである。この結果に、遠藤会長は再検討に値するとしているが、予測の範囲内であり自ら素人と公言しているに等しい。

 どこまでの費用削減に医療機関が耐えられるかというような素人のチキンレースは危険きわまりない。

 医療の無知から時間要件を強要し、その失態のために調査費用をかけ、その結果に真摯に向き合わず、第一線医療の疲弊、空白の出現にも無関心の、この無責任な支払側委員と厚労省は犯罪的である。

 しかるべき、処分とともに、即刻「5分ルール」の撤回を改めて求めるものである。

2009年5月7日