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2008/1/15 医療運動部会長談話「情報操作駆使した、再診料引き下げ誘導に断固抗議する」

情報操作駆使した、

再診料引き下げ誘導に断固抗議する

 

神奈川県保険医協会

医療運動部会長  池川 明


 昨年末、年始と診療所の再診料引き下げ報道が連続している。昨春より繰り広げられている厚労省によるこのキャンペーンに当協会は適宜、問題点を指摘してきたが、あまりにも情報操作が目にあまる。第一線医療を崩壊させる再診料引き下げの策動にわれわれは断固抗議する。

 

 12月30日、神奈川新聞はじめ地方紙に一斉に「診療所再診料引き下げ 厚労省方針 勤務医の負担減図る」と報道された。記事では再診料が病院570円、診療所710円の格差があり、「このため、再診料が安い病院に患者が集中、多くの勤務医が疲弊して病院を辞め、開業医に転身、勤務医不足を生じさせたとの指摘もある」と紹介。政管健保の国庫負担分の健保組合による肩代わりについても「会社員の中には、医療保険料が上がる人もおり、『これが医師の技術料をプラス改定に導いた』(厚労省幹部)」面もあることから、診療所の再診料を引き下げて開業医にも痛みを分かち合わせる」とし、あたかも診療所の再診料引き下げが道理であるかのような世論誘導となっている。

 これは厚労省の説明だけを基に報道しており、その内容はあきらかにおかしい。

 

 診療所と病院の再診料金の格差は140円で、実際の患者負担の格差はその3割分42円に過ぎない。これが理由で病院に集中しているのではない。医療機関選択の理由は交通アクセスなどの近接性や、医療機器・設備、病状によるのであり、病院集中は患者の病院志向によるものである。実際、外来の患者1人あたりの患者負担は診療所3,345円、病院4,446円(月額:平成18年度社会診療行為別調査より試算)、と病院が高いのであり、再診料の格差は理由にならない。

 また、政管健保の国庫負担の肩代わりも、社会保障費2,200億円削減の捻出策として夏の段階で考案されたものであり技術料のプラス改定とそもそも連動していない。しかも財政状況のよい健保組合を中心に「協力金」を拠出するのであり会社員の保険料引き上げは想定されていない。更には、何ゆえ開業医が痛み分けを強いられるのか論理が支離滅裂である。

 

 ついで1月8日、日本経済新聞が「開業医再診料下げ 再提案へ 来年度改定で厚労省 健保連賛成見込む」と報道。昨秋の中医協で削除された診療所の再診料引き下げ方針を厚労省が再提案する予定で、国庫負担の肩代わりをする健保連が「強く引き下げ要求を出す」との観測の下、中医協で「改めて引き下げを主張すれば状況が変わる」との厚労省の思惑を紹介。1月6日の毎日新聞では更に75歳以上の再診料を下げて外来主治医制の包括点数の財源にあてるとも報じられた。

 これら情報源は厚労省であり、規定路線化を図ろうとの企図が透けて見える。

 

 診療所の再診料引き下げは開業医の士気を確実に挫き、経営難を一層深刻にする。第一線医療の疲弊・弱体化は、病院への更なる患者集中と過重負担を招来させ、医療崩壊を決定的にしていく。あるべきは安すぎる病院の再診料の引き上げである。

 われわれは診療所の再診料引き下げの"愚策"を改め、現場が希望と意欲のもてる診療報酬改定となることを強く求めるものである。

2008年1月15日

 

情報操作駆使した、

再診料引き下げ誘導に断固抗議する

 

神奈川県保険医協会

医療運動部会長  池川 明


 昨年末、年始と診療所の再診料引き下げ報道が連続している。昨春より繰り広げられている厚労省によるこのキャンペーンに当協会は適宜、問題点を指摘してきたが、あまりにも情報操作が目にあまる。第一線医療を崩壊させる再診料引き下げの策動にわれわれは断固抗議する。

 

 12月30日、神奈川新聞はじめ地方紙に一斉に「診療所再診料引き下げ 厚労省方針 勤務医の負担減図る」と報道された。記事では再診料が病院570円、診療所710円の格差があり、「このため、再診料が安い病院に患者が集中、多くの勤務医が疲弊して病院を辞め、開業医に転身、勤務医不足を生じさせたとの指摘もある」と紹介。政管健保の国庫負担分の健保組合による肩代わりについても「会社員の中には、医療保険料が上がる人もおり、『これが医師の技術料をプラス改定に導いた』(厚労省幹部)」面もあることから、診療所の再診料を引き下げて開業医にも痛みを分かち合わせる」とし、あたかも診療所の再診料引き下げが道理であるかのような世論誘導となっている。

 これは厚労省の説明だけを基に報道しており、その内容はあきらかにおかしい。

 

 診療所と病院の再診料金の格差は140円で、実際の患者負担の格差はその3割分42円に過ぎない。これが理由で病院に集中しているのではない。医療機関選択の理由は交通アクセスなどの近接性や、医療機器・設備、病状によるのであり、病院集中は患者の病院志向によるものである。実際、外来の患者1人あたりの患者負担は診療所3,345円、病院4,446円(月額:平成18年度社会診療行為別調査より試算)、と病院が高いのであり、再診料の格差は理由にならない。

 また、政管健保の国庫負担の肩代わりも、社会保障費2,200億円削減の捻出策として夏の段階で考案されたものであり技術料のプラス改定とそもそも連動していない。しかも財政状況のよい健保組合を中心に「協力金」を拠出するのであり会社員の保険料引き上げは想定されていない。更には、何ゆえ開業医が痛み分けを強いられるのか論理が支離滅裂である。

 

 ついで1月8日、日本経済新聞が「開業医再診料下げ 再提案へ 来年度改定で厚労省 健保連賛成見込む」と報道。昨秋の中医協で削除された診療所の再診料引き下げ方針を厚労省が再提案する予定で、国庫負担の肩代わりをする健保連が「強く引き下げ要求を出す」との観測の下、中医協で「改めて引き下げを主張すれば状況が変わる」との厚労省の思惑を紹介。1月6日の毎日新聞では更に75歳以上の再診料を下げて外来主治医制の包括点数の財源にあてるとも報じられた。

 これら情報源は厚労省であり、規定路線化を図ろうとの企図が透けて見える。

 

 診療所の再診料引き下げは開業医の士気を確実に挫き、経営難を一層深刻にする。第一線医療の疲弊・弱体化は、病院への更なる患者集中と過重負担を招来させ、医療崩壊を決定的にしていく。あるべきは安すぎる病院の再診料の引き上げである。

 われわれは診療所の再診料引き下げの"愚策"を改め、現場が希望と意欲のもてる診療報酬改定となることを強く求めるものである。

2008年1月15日