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2022/5/26 理事会声明「唐突かつ拙速な『オンライン資格確認の原則義務化』方針案の撤回を求める」

唐突かつ拙速な「オンライン資格確認の原則義務化」方針案の撤回を求める

 

 厚生労働省は5月25日に開かれた社会保障審議会医療保険部会で、データヘルスの基盤となるオンライン資格確認の導入目標を達成するための更なる対策として、「2023年4月から保険医療機関・薬局におけるシステム導入について原則として義務化する」との方針案を示した。療養担当規則の改定で対応する方向で、中医協で議論を進めるとしている。突如湧いて出てきた強権策に、われわれは驚きを隠せない。

 現状でも医療機関に対し、顔認証付きカードリーダーの無償配布やシステム導入の補助金支給など、オンライン資格確認の普及に向けた経済誘導策が進められている。それでも医療現場でオンライン資格確認の導入・運用が進まない理由は、院内でのマイナンバーカード紛失の懸念、サイバー攻撃の危険性など、様々なリスクが想定されるからだ。

 とりわけ、医療機関へのランサムウエアによる感染・被害は近年増加している。多額の身代金の要求、長期間にわたる通常診療の停止等の被害報告もあり、医療現場は重大な問題だと受け止めている。オンライン資格確認によって、医事システムを常時オンライン接続することになれば、ランサムウエア感染をはじめとするサイバー攻撃のリスクは各段に上がる。すべての医療機関が高度なデジタル技術やセキュリティ体制等を構築できるものではない。患者の医療情報の漏洩リスクが高まるシステムの導入・運用に医療現場が消極的なのは当然のことである。

 

 また、この方針案は「2024年度中をめどに、保険者による保険証発行の選択制の導入」、「将来的に保険証を原則廃止にすること」がセットで提案されている。つまり、医療機関の設備・体制の構築を梃子にして、国民にマイナンバーカードの取得、所持、利用を強要するというものだ。

 同カードの取得は義務ではなく任意だが、保険証が廃止となれば国民は同カードの取得、所持、利用を余儀なくされる。同カード(電子証明書)はあらゆる個人情報へのアクセスキーであり、紛失等による不利益、被害の規模は保険証の比ではない。こうしたリスクを知らせず、最大2万円分の「新マイナポイント」付与で取得を誘い、保険証の廃止という強権策まで敷こうという。"アメとムチ"で振り回すような政治手法は、国民を愚弄した所業だと言わざるを得ない。

 加えて、「同カードの保険証登録が進まない要因は、オンライン資格確認の運用医療機関が少ないから」という趣旨の報道をするマスコミに対しても憤りを覚える。医療機関の実態や判断、同カードの所持、利用のリスク等を伝えずに、国民と医療現場の不和、分断を生むような報道は厳に慎むべきである。

 

 われわれ医師、歯科医師をはじめとする医療者は、患者の医療情報という、とりわけ機微性の高い個人情報を扱っている。医療者には診療で知り得た患者の個人情報の守秘義務が法律で課せられているが、それだけではない。古くから継承される職業倫理(ヒポクラテスの誓い)により、日頃から徹底した医療情報の管理、保護に努めている。

 その職業倫理をもって、患者のプライバシーを軽視し、医療機関にオンライン化を強要する「オンライン資格確認の原則義務化」の方針案に対し、我々は断固抗議するとともに、同方針案の撤回を強く求める。

 

2022年5月26日

神奈川県保険医協会

第30期第17回理事会

 

唐突かつ拙速な「オンライン資格確認の原則義務化」方針案の撤回を求める

 

 厚生労働省は5月25日に開かれた社会保障審議会医療保険部会で、データヘルスの基盤となるオンライン資格確認の導入目標を達成するための更なる対策として、「2023年4月から保険医療機関・薬局におけるシステム導入について原則として義務化する」との方針案を示した。療養担当規則の改定で対応する方向で、中医協で議論を進めるとしている。突如湧いて出てきた強権策に、われわれは驚きを隠せない。

 現状でも医療機関に対し、顔認証付きカードリーダーの無償配布やシステム導入の補助金支給など、オンライン資格確認の普及に向けた経済誘導策が進められている。それでも医療現場でオンライン資格確認の導入・運用が進まない理由は、院内でのマイナンバーカード紛失の懸念、サイバー攻撃の危険性など、様々なリスクが想定されるからだ。

 とりわけ、医療機関へのランサムウエアによる感染・被害は近年増加している。多額の身代金の要求、長期間にわたる通常診療の停止等の被害報告もあり、医療現場は重大な問題だと受け止めている。オンライン資格確認によって、医事システムを常時オンライン接続することになれば、ランサムウエア感染をはじめとするサイバー攻撃のリスクは各段に上がる。すべての医療機関が高度なデジタル技術やセキュリティ体制等を構築できるものではない。患者の医療情報の漏洩リスクが高まるシステムの導入・運用に医療現場が消極的なのは当然のことである。

 

 また、この方針案は「2024年度中をめどに、保険者による保険証発行の選択制の導入」、「将来的に保険証を原則廃止にすること」がセットで提案されている。つまり、医療機関の設備・体制の構築を梃子にして、国民にマイナンバーカードの取得、所持、利用を強要するというものだ。

 同カードの取得は義務ではなく任意だが、保険証が廃止となれば国民は同カードの取得、所持、利用を余儀なくされる。同カード(電子証明書)はあらゆる個人情報へのアクセスキーであり、紛失等による不利益、被害の規模は保険証の比ではない。こうしたリスクを知らせず、最大2万円分の「新マイナポイント」付与で取得を誘い、保険証の廃止という強権策まで敷こうという。"アメとムチ"で振り回すような政治手法は、国民を愚弄した所業だと言わざるを得ない。

 加えて、「同カードの保険証登録が進まない要因は、オンライン資格確認の運用医療機関が少ないから」という趣旨の報道をするマスコミに対しても憤りを覚える。医療機関の実態や判断、同カードの所持、利用のリスク等を伝えずに、国民と医療現場の不和、分断を生むような報道は厳に慎むべきである。

 

 われわれ医師、歯科医師をはじめとする医療者は、患者の医療情報という、とりわけ機微性の高い個人情報を扱っている。医療者には診療で知り得た患者の個人情報の守秘義務が法律で課せられているが、それだけではない。古くから継承される職業倫理(ヒポクラテスの誓い)により、日頃から徹底した医療情報の管理、保護に努めている。

 その職業倫理をもって、患者のプライバシーを軽視し、医療機関にオンライン化を強要する「オンライン資格確認の原則義務化」の方針案に対し、我々は断固抗議するとともに、同方針案の撤回を強く求める。

 

2022年5月26日

神奈川県保険医協会

第30期第17回理事会