保険医の生活と権利を守り、国民医療の
向上をめざす

神奈川県保険医協会とは

開業医の保険医の生活と権利を守り、
国民の健康と医療の向上を目指す

TOP > 神奈川県保険医協会とは > 私たちの考え > 2022/3/14 政策部長談話 「金パラ価格改定 『逆ザヤ』累積は必至 有事対応との二段構えを併せ根本的改革を」

2022/3/14 政策部長談話 「金パラ価格改定 『逆ザヤ』累積は必至 有事対応との二段構えを併せ根本的改革を」

金パラ価格改定 「逆ザヤ」累積は必至

有事対応との二段構えを併せ根本的改革を

 

神奈川県保険医協会

政策部長  磯崎 哲男

 


 

4月公定価格も、既に「逆ザヤ」状態

 22年診療報酬改定に際し、34日に歯科用材料の金銀パラジウム合金(金パラ)の基準材料価格が1g3,149円と告示され、「歯冠修復 大臼歯 全部金属冠 1,108点」など手技部位ごとの材料点数が通知で示された。基準材料価格は従前の1g2,951円より6.7%増となる。しかし、ロシアのウクライナ侵攻(2/24)以降、素材金属の価格は上昇基調にある。既に市場実勢価格は1g3,583円(A社:3/4時点)と、公定価格を超過しており、金パラの材料「逆ザヤ」の大幅累積は必至である。この有事への限定的な対応をはじめ、「逆ザヤ」解消の根本的な価格ルール改革を改めて強く求める。

 

7月随時改定でも現行ルールでは乖離幅拡大は解消しない

 金パラの素材金属の価格は3/10現在、2月との対比でパラジウムは22.8%増と高騰、銀8.7%増、金6.1%増である。素材価格による金パラの理論値も2月の2,748円から、3/10現在3,220円へと17.2%増となっている。3,149円の基準材料価格は4月から適用となる。今後、随時改定が素材価格の変動幅の多寡に関わらず年4回実施となるが、現在のルールだと次回7月改定では3,613円程度にしかならず、現在の市場実勢価格3,583円近傍で今後の急騰に届かない。公定価格は素材価格の一定期間相互の平均の上昇幅分が従前のそれに上乗せになるためである。昨年7月~12月の素材価格は平均2,513円。これに対し今年1月~4月の素材価格の平均を算出し、その変動した「差分」が従来の公定価格に乗る。12,721円、22,748円であり3月現時点が3,220円で、4月も同程度とすると現時点の平均は2,977円。2,513円との差の464円が4月の基準材料価格にプラスとなる。低位平準化された差分の反映のため、市場実勢の価格との乖離が、価格上昇局面で埋まらないのである。

 

点数化される「平均使用量」も不透明 懸念される減量調整

 金パラは歯科医療機関が使用したグラム量を、公定価格に積算し請求する方法は、とっていない。手技部位ごとに厚労省が内部的に定めた「平均使用量」を基準材料価格に積算し「点数」化され、この点数をもとに請求をしている。当然ながら、患者の歯牙の形状や大きさにより、本来は個体差がある。厚労省の考える「標準量」より金パラを使用する例もあるが、この点も長年不問とされている。

 ただ、それ以上にこの平均使用量は厚労省から、一切、明らかにはされていない。点数と告示価格(基準材料価格)から、割り出すことは可能なので201910月の随時改定以降、試算すると別表のようになる。端数処理の関係はあるが、ほぼ一定で点数設定がされてきたことが分かる。

 しかし、例外もあり、平均使用量が「減量」となっているものが存在する。具体的には①「ポンティック」(注:銀歯のダミー)の小臼歯が204月改定で▲7.2%の減量となっている。また②「コンビネーション鉤(1個につき)」(注:残存歯に掛ける、義歯を安定させる為の装置)の「前歯」「犬歯・小臼歯」「大臼歯」が、204月改定で▲4.3%~▲3.9%の減量、更に214月改定で▲20.0%~▲16.0%と減量、累計で▲24.0%~▲20.0%と減量調整されている。

 参考までに、歯科用貴金属やフィルムなど歯科医療費の中の、総材料量に占める個々の金パラ材料点数の占める割合を表中に示した。これら減量調整されたものは、ウエイトとしては1%程度と低い。

しかし、「金属歯冠修復(1個につき)」の「全部金属冠」のように、材料料20.8%を占めるもので減量調整がなされると影響度が大きい。今後の金パラの市場実勢価格の高騰局面で、減量調整がないよう釘をさすとともに、この平均使用量の公開は今後の根本的なルール改革の議論に必須と考える。

 現行の矛盾をはらんだ公定価格決定ルールの改革とともに、当座、ウクライナ危機での金パラ高騰に即応するため、有事限定で審査支払機関から、20%程度の急上昇分の補正を診療報酬の支払いで行うほか、ひと月単位で素材価格の1.2倍程度を支払い分にのみ適用するなど、医療現場と患者の治療への影響が最小に止まる方策は講じないと立ち行かなくなると考える。

 歯科医療を守る叡智と、機動的な施策の実施を、関係方面に強く求める。

2022年314

 

【参考】※画像をクリックすると拡大表示されます

金銀パラジウム合金の基準材料価格(公定価格)と平均材料使用量の推移

作成:神奈川県保険医協会・医療政策研究室

20210314danwa-01.png

1)使用材料量は、手技部位ごとの材料項目点数を告示価格で除した試算値。

2)厚労省は平均使用材料量を基に点数設定しているが、明示はされていない。

3)材料費割合は「平成2年診療行為別統計」の歯科医療費の総材料費1,485,005,890点に対する比率。

4)表示数字は端数処理をしたもの。

 

金パラ価格改定 「逆ザヤ」累積は必至

有事対応との二段構えを併せ根本的改革を

 

神奈川県保険医協会

政策部長  磯崎 哲男

 


 

4月公定価格も、既に「逆ザヤ」状態

 22年診療報酬改定に際し、34日に歯科用材料の金銀パラジウム合金(金パラ)の基準材料価格が1g3,149円と告示され、「歯冠修復 大臼歯 全部金属冠 1,108点」など手技部位ごとの材料点数が通知で示された。基準材料価格は従前の1g2,951円より6.7%増となる。しかし、ロシアのウクライナ侵攻(2/24)以降、素材金属の価格は上昇基調にある。既に市場実勢価格は1g3,583円(A社:3/4時点)と、公定価格を超過しており、金パラの材料「逆ザヤ」の大幅累積は必至である。この有事への限定的な対応をはじめ、「逆ザヤ」解消の根本的な価格ルール改革を改めて強く求める。

 

7月随時改定でも現行ルールでは乖離幅拡大は解消しない

 金パラの素材金属の価格は3/10現在、2月との対比でパラジウムは22.8%増と高騰、銀8.7%増、金6.1%増である。素材価格による金パラの理論値も2月の2,748円から、3/10現在3,220円へと17.2%増となっている。3,149円の基準材料価格は4月から適用となる。今後、随時改定が素材価格の変動幅の多寡に関わらず年4回実施となるが、現在のルールだと次回7月改定では3,613円程度にしかならず、現在の市場実勢価格3,583円近傍で今後の急騰に届かない。公定価格は素材価格の一定期間相互の平均の上昇幅分が従前のそれに上乗せになるためである。昨年7月~12月の素材価格は平均2,513円。これに対し今年1月~4月の素材価格の平均を算出し、その変動した「差分」が従来の公定価格に乗る。12,721円、22,748円であり3月現時点が3,220円で、4月も同程度とすると現時点の平均は2,977円。2,513円との差の464円が4月の基準材料価格にプラスとなる。低位平準化された差分の反映のため、市場実勢の価格との乖離が、価格上昇局面で埋まらないのである。

 

点数化される「平均使用量」も不透明 懸念される減量調整

 金パラは歯科医療機関が使用したグラム量を、公定価格に積算し請求する方法は、とっていない。手技部位ごとに厚労省が内部的に定めた「平均使用量」を基準材料価格に積算し「点数」化され、この点数をもとに請求をしている。当然ながら、患者の歯牙の形状や大きさにより、本来は個体差がある。厚労省の考える「標準量」より金パラを使用する例もあるが、この点も長年不問とされている。

 ただ、それ以上にこの平均使用量は厚労省から、一切、明らかにはされていない。点数と告示価格(基準材料価格)から、割り出すことは可能なので201910月の随時改定以降、試算すると別表のようになる。端数処理の関係はあるが、ほぼ一定で点数設定がされてきたことが分かる。

 しかし、例外もあり、平均使用量が「減量」となっているものが存在する。具体的には①「ポンティック」(注:銀歯のダミー)の小臼歯が204月改定で▲7.2%の減量となっている。また②「コンビネーション鉤(1個につき)」(注:残存歯に掛ける、義歯を安定させる為の装置)の「前歯」「犬歯・小臼歯」「大臼歯」が、204月改定で▲4.3%~▲3.9%の減量、更に214月改定で▲20.0%~▲16.0%と減量、累計で▲24.0%~▲20.0%と減量調整されている。

 参考までに、歯科用貴金属やフィルムなど歯科医療費の中の、総材料量に占める個々の金パラ材料点数の占める割合を表中に示した。これら減量調整されたものは、ウエイトとしては1%程度と低い。

しかし、「金属歯冠修復(1個につき)」の「全部金属冠」のように、材料料20.8%を占めるもので減量調整がなされると影響度が大きい。今後の金パラの市場実勢価格の高騰局面で、減量調整がないよう釘をさすとともに、この平均使用量の公開は今後の根本的なルール改革の議論に必須と考える。

 現行の矛盾をはらんだ公定価格決定ルールの改革とともに、当座、ウクライナ危機での金パラ高騰に即応するため、有事限定で審査支払機関から、20%程度の急上昇分の補正を診療報酬の支払いで行うほか、ひと月単位で素材価格の1.2倍程度を支払い分にのみ適用するなど、医療現場と患者の治療への影響が最小に止まる方策は講じないと立ち行かなくなると考える。

 歯科医療を守る叡智と、機動的な施策の実施を、関係方面に強く求める。

2022年314

 

【参考】※画像をクリックすると拡大表示されます

金銀パラジウム合金の基準材料価格(公定価格)と平均材料使用量の推移

作成:神奈川県保険医協会・医療政策研究室

20210314danwa-01.png

1)使用材料量は、手技部位ごとの材料項目点数を告示価格で除した試算値。

2)厚労省は平均使用材料量を基に点数設定しているが、明示はされていない。

3)材料費割合は「平成2年診療行為別統計」の歯科医療費の総材料費1,485,005,890点に対する比率。

4)表示数字は端数処理をしたもの。