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2022/2/14 政策部長談話 「歯科材料・金パラ公定価格ルールの継続的検討と根本的解決へ向け材料調査での『乖離率』明示を」

歯科材料・金パラ公定価格ルールの継続的検討と

根本的解決へ向け材料調査での「乖離率」明示を

 

神奈川県保険医協会

政策部長  磯崎 哲男

 


 

一歩前進も根本的な解決には未だ遠く

 1月19日の中医協で歯科材料・金銀パラジウム合金(金パラ)の公定価格改定ルールの変更が了承された。「随時改定」による補正を年4回(3カ月毎)、「変動幅」に関係なく行うとした。その際、市場価格の「代替指標」である、素材金属の価格を基に組成比で試算した「理論値」(「平均素材価格」)を用い、3カ月毎の「差額」で補正することは変更がなかった。いわば「マイナーチェンジ」である。

 金パラは素材金属が国際価格の影響を受けるため、市場価格が上昇し公定価格を上回る、材料の「逆ザヤ」が頻発、恒常化し歯科医療機関経営に深刻な影響を与えている。この解決、公定価格改定ルールの根本解決は積年の悲願であり、昨年7月の中医協で「抜本的な制度構築」が焦点となっただけに竜頭蛇尾の感が強い。われわれは根本解決に向け継続的な検討と関連データの透明化を求める。

 

変更ルールでは「後追い」、「差損の補填なし」

 ルール変更は近く通知発出となるが、この4月の金パラの基準材料価格は、昨年9月の材料価格調査の数字に理論値による補正と一定幅4%を加えて設定となる。調査での市場実勢価格は不明なので日本歯科医師連盟による9月の購入価格の調査結果(全国平均86,127/30g:日刊歯科通信2021.12.24)を用いて、当協会で試算すると、13,056円(推定)となる。

 この数値は現時点の市場価格とほぼ同程度であり、今後、市場価格が上昇局面に入ると、「逆ザヤ」問題が顕在化する。今後、変動幅に関係なく随時改定で補正を行っていっても、「後追い」であり、市場価格の上昇局面では公定価格はそれには追いつかない。過去の「逆ザヤ」分の補填もされない。以前の変動幅の高低を補正実施の要件としたルールから矛盾は緩和されるものの、解決になっていない。

 材料価格の歴史的推移を顧みれば、市場変動で生じる逆ザヤ分は下降局面での利ザヤ分で充当相殺がなされてはおらず、差損分は制度上、償還もされてきていない。この事実へ向き合うべきである。

 

乖離率の明示は、解決の議論に必須

 医科の薬価と同じく、歯科では材料の歯科用貴金属の診療報酬へのウエイトが大きい。薬価は調査で市場実勢価格は公表されないが、公定価格との「乖離率」は発表される。しかも、薬価は内服、外用、頓服の服用別に加え薬効群別にも公表となる。しかし、金パラなど歯科用貴金属は公表されない。

 この乖離率の公表について牧山ひろえ参議院議員が昨年12月に国会に提出した質問主意書で質したが、この1月の答弁書では、公正な競争の阻害等を理由に、乖離率の公表はできないとしている。

 しかし、薬価は、メーカーや卸が類推できる薬効群別まで公表されており、理由にはなっていない。

 以前当協会の照会に理由とした調査回収率は、薬価調査の方が高いとの指摘で既に破綻している。

 少なくとも乖離率が判明すれば、市場価格と公定価格、素材価格(理論値)との比率は明らかとなり、素材価格に倍数を積算し、近似値を公定価格に設定することは可能となる。

 当協会の調査では、平均素材価格の1.2倍で近傍となると想定しているが、厚労省は解決ルール策定への議論の材料として、乖離率の公表に踏み切るべきである。

 金パラの公定価格は計算式が示されているものの仔細は長年不明なままであった。が、歯科界や保団連、当協会など懇談等で得た事実を発信する中、「変化」も見せてきた。21127日の中医協には、初めて随時改定の平均素材価格の「平均値」と「対象期間」が明示された。また、211222日には随時改定の「実施」と「判断」「周知」の各時期と、「平均素材価格」の対象期間との「関係図」が示され、随時改定「未実施」の際の対象期間の「キャリーオーバー」も含め理解を促す改善も図られている。これを更に進め、「乖離率」など関連データの透明化を期待したい。

 

ICT化の時代に相応しい、リアルタイムな反映と支払いの「補正」は可能

 今後、3カ月毎の改定へ変更となるが、不十分性は否めない。平均素材価格の計算は毎月単位で可能であり、その反映は技術的にも可能である。医療機関請求の実務に負担をかけずに、審査支払機関の支払いの際に毎月「補正」を行っていけばよいだけである。

 実際、14K金合金などの歯科用貴金属の随時改定を2010月に本来行うべきものを行わなかったことが後に判明し、21125日に通知が出され、審査支払機関から「補正」支払いが3カ月分にわたり行われている。その際、医療機関からの再審査請求は不要としている。

 この方法を適用すればよい。患者負担への影響も抑えられる。更に援用すれば、診療報酬は診療月の2カ月後に支払われるので、平均素材価格の差額反映を「後追い」ではなく、「支払い時点の適用」とすれば、市場実勢との差は埋まることになる。既述の「乖離率」はその際の指標として重要である。

 

改定ルールの根本的解決へ百家争鳴の議論を

 当協会は昨年、この問題の根本解決へ基準材料価格を現行の1.5倍などの高値設定の上で随時マイナス補正をし、金パラの材料「逆ザヤ」が生じない方法論を提言した。次善策としての購買価格請求や、事後精算補填など他のアイディアも発信し、新ルール策定の議論を呼びかけてきた。

 ここに来て、長崎県保険医協会からは現行式に公定価格と素材価格の差額を加えて反映する「Z方式」や、それらも踏まえた保団連内での考案議論もなされている。

 根本解決に向け、善後策や前進策も含め、多角的に多様な検討を行う枠組みを中医協に設け、今後も検討を継続し、歯科界が望む終着点となることを強く求める。

2022年214

 


 

参考「歯科用貴金属価格の随時改定について」の資料の「変化」

* 画像をクリックすると拡大版(PDF)が表示されます

20220214danwa_01.png

 

歯科材料・金パラ公定価格ルールの継続的検討と

根本的解決へ向け材料調査での「乖離率」明示を

 

神奈川県保険医協会

政策部長  磯崎 哲男

 


 

一歩前進も根本的な解決には未だ遠く

 1月19日の中医協で歯科材料・金銀パラジウム合金(金パラ)の公定価格改定ルールの変更が了承された。「随時改定」による補正を年4回(3カ月毎)、「変動幅」に関係なく行うとした。その際、市場価格の「代替指標」である、素材金属の価格を基に組成比で試算した「理論値」(「平均素材価格」)を用い、3カ月毎の「差額」で補正することは変更がなかった。いわば「マイナーチェンジ」である。

 金パラは素材金属が国際価格の影響を受けるため、市場価格が上昇し公定価格を上回る、材料の「逆ザヤ」が頻発、恒常化し歯科医療機関経営に深刻な影響を与えている。この解決、公定価格改定ルールの根本解決は積年の悲願であり、昨年7月の中医協で「抜本的な制度構築」が焦点となっただけに竜頭蛇尾の感が強い。われわれは根本解決に向け継続的な検討と関連データの透明化を求める。

 

変更ルールでは「後追い」、「差損の補填なし」

 ルール変更は近く通知発出となるが、この4月の金パラの基準材料価格は、昨年9月の材料価格調査の数字に理論値による補正と一定幅4%を加えて設定となる。調査での市場実勢価格は不明なので日本歯科医師連盟による9月の購入価格の調査結果(全国平均86,127/30g:日刊歯科通信2021.12.24)を用いて、当協会で試算すると、13,056円(推定)となる。

 この数値は現時点の市場価格とほぼ同程度であり、今後、市場価格が上昇局面に入ると、「逆ザヤ」問題が顕在化する。今後、変動幅に関係なく随時改定で補正を行っていっても、「後追い」であり、市場価格の上昇局面では公定価格はそれには追いつかない。過去の「逆ザヤ」分の補填もされない。以前の変動幅の高低を補正実施の要件としたルールから矛盾は緩和されるものの、解決になっていない。

 材料価格の歴史的推移を顧みれば、市場変動で生じる逆ザヤ分は下降局面での利ザヤ分で充当相殺がなされてはおらず、差損分は制度上、償還もされてきていない。この事実へ向き合うべきである。

 

乖離率の明示は、解決の議論に必須

 医科の薬価と同じく、歯科では材料の歯科用貴金属の診療報酬へのウエイトが大きい。薬価は調査で市場実勢価格は公表されないが、公定価格との「乖離率」は発表される。しかも、薬価は内服、外用、頓服の服用別に加え薬効群別にも公表となる。しかし、金パラなど歯科用貴金属は公表されない。

 この乖離率の公表について牧山ひろえ参議院議員が昨年12月に国会に提出した質問主意書で質したが、この1月の答弁書では、公正な競争の阻害等を理由に、乖離率の公表はできないとしている。

 しかし、薬価は、メーカーや卸が類推できる薬効群別まで公表されており、理由にはなっていない。

 以前当協会の照会に理由とした調査回収率は、薬価調査の方が高いとの指摘で既に破綻している。

 少なくとも乖離率が判明すれば、市場価格と公定価格、素材価格(理論値)との比率は明らかとなり、素材価格に倍数を積算し、近似値を公定価格に設定することは可能となる。

 当協会の調査では、平均素材価格の1.2倍で近傍となると想定しているが、厚労省は解決ルール策定への議論の材料として、乖離率の公表に踏み切るべきである。

 金パラの公定価格は計算式が示されているものの仔細は長年不明なままであった。が、歯科界や保団連、当協会など懇談等で得た事実を発信する中、「変化」も見せてきた。21127日の中医協には、初めて随時改定の平均素材価格の「平均値」と「対象期間」が明示された。また、211222日には随時改定の「実施」と「判断」「周知」の各時期と、「平均素材価格」の対象期間との「関係図」が示され、随時改定「未実施」の際の対象期間の「キャリーオーバー」も含め理解を促す改善も図られている。これを更に進め、「乖離率」など関連データの透明化を期待したい。

 

ICT化の時代に相応しい、リアルタイムな反映と支払いの「補正」は可能

 今後、3カ月毎の改定へ変更となるが、不十分性は否めない。平均素材価格の計算は毎月単位で可能であり、その反映は技術的にも可能である。医療機関請求の実務に負担をかけずに、審査支払機関の支払いの際に毎月「補正」を行っていけばよいだけである。

 実際、14K金合金などの歯科用貴金属の随時改定を2010月に本来行うべきものを行わなかったことが後に判明し、21125日に通知が出され、審査支払機関から「補正」支払いが3カ月分にわたり行われている。その際、医療機関からの再審査請求は不要としている。

 この方法を適用すればよい。患者負担への影響も抑えられる。更に援用すれば、診療報酬は診療月の2カ月後に支払われるので、平均素材価格の差額反映を「後追い」ではなく、「支払い時点の適用」とすれば、市場実勢との差は埋まることになる。既述の「乖離率」はその際の指標として重要である。

 

改定ルールの根本的解決へ百家争鳴の議論を

 当協会は昨年、この問題の根本解決へ基準材料価格を現行の1.5倍などの高値設定の上で随時マイナス補正をし、金パラの材料「逆ザヤ」が生じない方法論を提言した。次善策としての購買価格請求や、事後精算補填など他のアイディアも発信し、新ルール策定の議論を呼びかけてきた。

 ここに来て、長崎県保険医協会からは現行式に公定価格と素材価格の差額を加えて反映する「Z方式」や、それらも踏まえた保団連内での考案議論もなされている。

 根本解決に向け、善後策や前進策も含め、多角的に多様な検討を行う枠組みを中医協に設け、今後も検討を継続し、歯科界が望む終着点となることを強く求める。

2022年214

 


 

参考「歯科用貴金属価格の随時改定について」の資料の「変化」

* 画像をクリックすると拡大版(PDF)が表示されます

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