保険医の生活と権利を守り、国民医療の
向上をめざす

神奈川県保険医協会とは

開業医の保険医の生活と権利を守り、
国民の健康と医療の向上を目指す

TOP > 神奈川県保険医協会とは > 私たちの考え > 2021/12/13 医療情報部長談話 「新マイナポイント事業は国民を愚弄する"人参ぶら下げ"政策 マイナカード普及ではなく、『暮らし』『人』へ重点配分した補正予算を求める」

2021/12/13 医療情報部長談話 「新マイナポイント事業は国民を愚弄する"人参ぶら下げ"政策 マイナカード普及ではなく、『暮らし』『人』へ重点配分した補正予算を求める」

新マイナポイント事業は国民を愚弄する"人参ぶら下げ"政策

マイナカード普及ではなく、「暮らし」「人」へ重点配分した補正予算を求める

 

神奈川県保険医協会

医療情報部長  藤田 倫成

 


 

 1213日より2021年度補正予算案の国会審議が始まった。政府が閣議決定した補正予算案は、過去最大の総額35.9兆円となる。22兆円もの国債発行、つまり借金頼みの財政運営には不安があるものの、今が非常時であることは間違いない。財政規律を厳しく追及するつもりはないが、問題は配分である。コロナ禍対策とは無関係な政策への配分が多すぎる。

 

 特に目立つのは、マイナンバーカードの新規取得者らに最大2万円分のポイントを付与する「新マイナポイント事業」だ。約9500万人(人口の約75%)への給付を想定し、約1.8兆円もの予算が計上されている。一方で、「看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方々の収入の引上げ」には2,600億円と、新マイナポイント事業と比べて7分の1程度にとどまる。看護師に至っては、新型コロナ対応の医療機関に勤務する者のみが対象で、引き上げ額も月4,000円にとどまる。岸田政権の掲げる「成長と分配の好循環」には程遠い予算配分だ。

 マイナンバーカードは2016年から交付が開始されたが、昨年9月の段階で普及率は2割に満たなかった。政府は普及策として、昨年9月から5,000円分のポイント付与事業を1年以上継続しているが、それでも普及率は4割にとどまっている。その要因は、利便性の皆無、情報漏洩・悪用等の懸念など、様々ある。こうした国民の実感や不安に応えることなく、鼻先に人参をぶら下げてカード取得を煽るようなやり方は、国民を愚弄した所業と言わざるを得ない。

 

 マイナンバーカードの保険証利用、つまりオンライン資格確認システムの本格運用が10月末より始まった。オンライン資格確認とは、電子カルテ等の医事システムをネットワークに接続することを前提としたシステムである(電子カルテ等をネットワーク接続しなくても運用は可能だが、事務処理の効率化は図れない)。しかし、同システムを導入・実施している医療機関は現時点で1割にも満たない。

 その要因は、全国的な医院経営の悪化やカード紛失等による患者トラブルの懸念など様々ある。とりわけ、徳島県つるぎ町立半田病院のランサムウエア感染による電子カルテデータの消失、その被害規模や機能不全の様子は医療界を震撼させている。半田病院に限らず、医療機関を狙ったサイバー攻撃は世界で多発しており、我々開業保険医にとって対岸の火事ではない。こうした状況を鑑みれば、患者の医療・健康情報という極めてセンシティブな個人情報を扱う医療機関として、オンライン資格確認の導入・実施に消極的なのは当然である。

 保険証利用以外のマイナンバーカードの使途は一部の行政手続きにとどまり、利用頻度は低い。仮に"人参ぶら下げ"政策によってマイナンバーカードが広く普及したとしても、大多数の医療機関では使えず、利便性を実感できない。そればかりか、オンライン資格確認を導入・実施しない医療機関への不満が生まれる恐れがある。患者・国民と医療機関を分断させるような政策には断固反対する。

 

 財政法は補正予算について、当初予算編成後に生じた災害対応等の事由に基づき、特に緊要となった経費の支出に限定している。長期化するコロナ禍での緊要な課題は生活不安の解消であり、多くの国民の願いでもある。法の原則に従い、不要不急なマイナンバーカード普及よりも「生活・暮らしへの支援」、「人への投資」等への重点配分を求める。

2021年12月13日

 

【参考】オンライン資格確認の実施状況など(厚生労働省HPより)

000694516.png

 

新マイナポイント事業は国民を愚弄する"人参ぶら下げ"政策

マイナカード普及ではなく、「暮らし」「人」へ重点配分した補正予算を求める

 

神奈川県保険医協会

医療情報部長  藤田 倫成

 


 

 1213日より2021年度補正予算案の国会審議が始まった。政府が閣議決定した補正予算案は、過去最大の総額35.9兆円となる。22兆円もの国債発行、つまり借金頼みの財政運営には不安があるものの、今が非常時であることは間違いない。財政規律を厳しく追及するつもりはないが、問題は配分である。コロナ禍対策とは無関係な政策への配分が多すぎる。

 

 特に目立つのは、マイナンバーカードの新規取得者らに最大2万円分のポイントを付与する「新マイナポイント事業」だ。約9500万人(人口の約75%)への給付を想定し、約1.8兆円もの予算が計上されている。一方で、「看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方々の収入の引上げ」には2,600億円と、新マイナポイント事業と比べて7分の1程度にとどまる。看護師に至っては、新型コロナ対応の医療機関に勤務する者のみが対象で、引き上げ額も月4,000円にとどまる。岸田政権の掲げる「成長と分配の好循環」には程遠い予算配分だ。

 マイナンバーカードは2016年から交付が開始されたが、昨年9月の段階で普及率は2割に満たなかった。政府は普及策として、昨年9月から5,000円分のポイント付与事業を1年以上継続しているが、それでも普及率は4割にとどまっている。その要因は、利便性の皆無、情報漏洩・悪用等の懸念など、様々ある。こうした国民の実感や不安に応えることなく、鼻先に人参をぶら下げてカード取得を煽るようなやり方は、国民を愚弄した所業と言わざるを得ない。

 

 マイナンバーカードの保険証利用、つまりオンライン資格確認システムの本格運用が10月末より始まった。オンライン資格確認とは、電子カルテ等の医事システムをネットワークに接続することを前提としたシステムである(電子カルテ等をネットワーク接続しなくても運用は可能だが、事務処理の効率化は図れない)。しかし、同システムを導入・実施している医療機関は現時点で1割にも満たない。

 その要因は、全国的な医院経営の悪化やカード紛失等による患者トラブルの懸念など様々ある。とりわけ、徳島県つるぎ町立半田病院のランサムウエア感染による電子カルテデータの消失、その被害規模や機能不全の様子は医療界を震撼させている。半田病院に限らず、医療機関を狙ったサイバー攻撃は世界で多発しており、我々開業保険医にとって対岸の火事ではない。こうした状況を鑑みれば、患者の医療・健康情報という極めてセンシティブな個人情報を扱う医療機関として、オンライン資格確認の導入・実施に消極的なのは当然である。

 保険証利用以外のマイナンバーカードの使途は一部の行政手続きにとどまり、利用頻度は低い。仮に"人参ぶら下げ"政策によってマイナンバーカードが広く普及したとしても、大多数の医療機関では使えず、利便性を実感できない。そればかりか、オンライン資格確認を導入・実施しない医療機関への不満が生まれる恐れがある。患者・国民と医療機関を分断させるような政策には断固反対する。

 

 財政法は補正予算について、当初予算編成後に生じた災害対応等の事由に基づき、特に緊要となった経費の支出に限定している。長期化するコロナ禍での緊要な課題は生活不安の解消であり、多くの国民の願いでもある。法の原則に従い、不要不急なマイナンバーカード普及よりも「生活・暮らしへの支援」、「人への投資」等への重点配分を求める。

2021年12月13日

 

【参考】オンライン資格確認の実施状況など(厚生労働省HPより)

000694516.png