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2021/12/3 政策部長談話 「『自然増』を問題視する財政審の『マイナス改定』論へ反対する 診療報酬プラス改定は医療再生、コロナ禍の地域医療に必須」

「自然増」を問題視する財政審の「マイナス改定」論へ反対する

診療報酬プラス改定は医療再生、コロナ禍の地域医療に必須

 

神奈川県保険医協会

政策部長  磯崎 哲男

 


 

財務省の我田引水、作為的数字やロジックの詐術のオンパレードに唖然

 財務省は118日、財政制度等審議会・財政制度分科会に、医療費の総圧縮のため作為的数値や論理の歪曲など夥しい数の資料を提出。診療報酬の大胆なマイナス改定と医療提供体制の改変に向け、強硬な姿勢を見せている。「自然増」の否定など社会保障費に関する、関係者の前提を反故にし、このコロナ禍に地域医療の脆弱化、医療の再生産に背を向け、医療崩壊に一瀉千里の危険さえある。

 われわれは、以下に反論をするとともに、医療水準のコロナ禍前の回復を期せる「プラス改定」を財務省に強く望む。

 

自然増は義務的経費で他動的なもの、本来不可侵

骨太方針2021で改定率▲1.5%

 社会保障関係費の「自然増」は、医療等の社会保障給付に要する経費であって、義務的な性質を有するもののうち、人口の高齢化等の他動的な要因による前年度当初分からの増加分である。これに関し、過去増加分を単純平均した増額分の範囲に収めるよう、2015年度の「骨太方針」以降、予算編成で貫徹されてきた。

 次年度の自然増分の概算要求は6,600億円(医療分3,600億円)である。今年6月の「骨太の方針2021」は、202224年度の社会保障関係費について、「実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針」とされ、目標値は示さず1921年度の方針を踏襲している。

19~21年度は第二次世界大戦の影響で高齢化の伸び率が0.5%程度で推移し、21年度予算は自然増分の概算要求4800億円が3,500億円へと圧縮となった。次年度以降は伸び率が4%台で推移していくため、18年度迄と同等の5,000億円程度への圧縮削減(6,600億円から5,000億円へ)が濃厚と見られる。

 この圧縮額1,600億円は改定率換算で約▲1.5%となる(1,600億円×4÷(42.2兆円×1.019):現時点の伸び率実績を踏まえた当年度医療費推計で試算)。薬価は毎年改定となり毎回▲1.0%程度となっているので、診療報酬改定で全て吸収するとすれば、診療報酬本体で約▲0.5%が必要となる。

 高齢化の増加相当分をどの程度に見積もるかにもよるが、▲1.5%改定となれば平年度の伸び率1.3%(2016~2019年度の平均)さえも凌駕し医療費はマイナスとなる。いわんやコロナ禍が収束もせず、20年度概算医療費が19年度比▲1.4兆円(▲3.2%)(当初想定比▲2.2兆円)と大幅下落をしている下、診療報酬本体のマイナス改定の断行となれば、医療の再生産はおろか、地域医療体制に甚大な支障をきたすことになる。

 コロナ禍の中、診療報酬プラス改定が道理である。財務省の再考を求める。

 

自然増は丸々が医療機関の収益にはならない

賃上げ2.5%のウソ

 11月8日の財政制度等審議会・財政制度分科会の資料は、看過できないものが多く、後顧の憂いのないよう、主なものに反論をしておきたい(*以下の【】は該当ページ)。

 財務省は医療費の「自然増」について、22年度の社会保障関係のうち医療分が概算要求で3,600億円(国庫ベース)となったことを捉え、これが医療費ベースで14,100億円であり、改定率換算で+3.0%要求だと言及。また、この内訳の機械的試算とし、診療報酬(本体)部分5,400億円、薬価部分8,700億円と示し、仮に診療報酬改定が±0%の場合でも、5,400億円が医療機関の収入として増加するので、全ての医療従事者(医師等含む)への2.5%の賃上げができる原資が確保されていると言い募っている(2.5%=5,400億円÷医師等の人件費約22兆円)(【12頁】)。

 しかし、これは、暴論である。自然増は高齢者増による受診増を反映したものであり、当然、費用支出が生じ、丸々、収入にはならない。しかも、本体への包括評価を整理したと脚注にはあるが、診療報酬(本体)部分5,400億円、薬価部分8,700億円は比率で38.3%:61.7%であり、通常の73とは大きく異なっている。73で試算し財務省の理屈を当てはめると4.5%賃上げ可能となり、錯覚誘導させる数値として現実感を欠くため、意図的な操作を重ねた感が強い。

 

医療費はコロナ禍前の水準には戻っていない、+1.9%が真実

酷い数値を使ったトリック

 医療費動向について、2016年度から20年度の年次の対年度比と、21年度の月次の対前々年度(=19年度:コロナ禍前)対比を示し、コロナ禍前の水準を回復し上回っているとし、補助金を含んでいない数字だと念押しをしている。確かに表中の数字は、医科は19年度+2.0%に対し20年度月次は+4.7%~+10.5%、同様に歯科は+1.9%に対し、+3.4%~+10.4%、総計は2.4%に対し、+4.6%~+9.1%となっており、指摘が妥当のように錯覚させる(【16頁】)。

 しかし、21年度の数字は支払基金分「のみ」の数字である。脚注のとおり国保連合会分を含んだ4月~8月迄の平均で19年度対比は+1.9%であり、19年度の+2.4%を下回っている。「医療費動向」の概算医療費は支払基金分と国保連合会分との合計である。明らかな作為により情報操作を図っている。

 われわれは毎月、両者のデータをウォッチしており、+1.9%であることを確認しているので、違和感を持ち気づくが、多くはこのようなことをされたら、完全にミスリードされてしまい看過できない。

 なお、支払基金の高い数字のプラスは小児等の診療報酬の特例の影響が大きいと推測され、国保や後期高齢者は依然と19年度水準に及ばない。受診件数は支払基金や国保連合会とも19年度水準には回復しておらず、診療報酬の特例が殆ど廃止となった10月以降の医療費の下落は確実視されている。

 

大胆すぎる推計は、過大すぎる 伸び率2.5%計算はやりすぎ

補助金は支出額想定にすべき

 更には21年度の補助金と医療費を「大胆に試算すれば」とし、47兆円程度が確保されるので「医療機関の経営実態は近年になく好調」としたが(【17頁】)、これも疑問符がつく。医療費44.7兆円は、19年度の43.6兆円から+2.5%の伸び率となり、既に見た1.9%より高く過大推計である。補助金も繰り越し分を含んだ数字だが、昨年実績にみるように計上額はイコール支給額とはならない。昨年の実績は4兆円に対し2.5兆円と大幅に低い。あまりにも「大胆」にすぎる。先の中医協の医療経済実態調査の数字にみるように医療機関経営は「窮状」にあり、「好調」というのは絵空事である。

 11月29日の自民党の社会保障制度調査会では、厚労省幹部より、医療経済実態調査の結果に関し「仮に新型コロナウイルス感染症関連の補助金がなかった場合、医療機関の状況は従来と比較して著しく悪い」とあり、コロナ関連の補助金を受けているのは一部の医療機関にすぎず、「補助金を受けていない医療機関は経営状況が非常に悪い」との認識も示されている(MEDIFAXweb2021.11.29)。

 

医療費の底上げなしに、近視眼的な分配論は医療界の分断を招来する

 看護師等の賃上げの「公的価格評価検討委員会」関連での看護師給与(2039.4万円)と全産業等との推移比較に、医師給与(20100.8万円)が載っている(【24頁】)が、これは意味深長である。また看護師の非正規比率は24.5%に対し介護分野は50.5%と高く、全産業の非正規率37.2%(20年)を軸に賃金格差は歴然だが、実は看護師は夜勤手当を含んでおり除外すれば29万円程度でしかない。

 財務省は、診療報酬(本体)のマイナス改定をしても自然増により処遇改善の原資があるにもかかわらず、「必要な課題の実現に向けて」、分配のやり方を変える議論がなかったとし、病院と診療所の分配など改定財源の分配の「見える化」が必須としている(【26頁】)。いわば医療の縮小再生産と選択と集中の精緻化だが、本来の問題は診療報酬の底上げであり、ベクトルが逆転している。

 

フェアな議論を正面から行うべき

 医療は、医薬品や医療材料、医療機器等の「モノ」と、医師や看護師等の医療従事者の「技術と労働」により成立し、薬価と診療報酬(本体)は一体である。モノについては薬価基準や治療材料基準が定められているにすぎず、医療費は診療報酬請求等に基づき、一体で把握されてきた。公益サービスの公的医療は、「市場価格」運営ではなく「公定価格」運営である。よって、資本主義社会の市場経済に載るモノは、医療機関の経営努力で値引き交渉がされ経営原資に回ってきた。一般社会と同様である。薬価差はフィクション(【11頁】)でなく、リアルに医療の再生産に資するものである。

 今回、財務省は「診療報酬は、補助金等よりも政策目的実現の実効性に劣る」とし、「安易に財政支援に頼ることや、その手段として診療行為の点数や算定要件の改定という手法に依存することは慎むべき」とした(【14頁】)。昨年11月の財政審「建議」の「診療報酬による対応に軸足を移すべき」は、もはや放棄し、税金や診療報酬でのコロナ禍の支援策をともに否定しており、支離滅裂である。

 矢野康治・財務事務次官が文藝春秋11月号に乾坤一擲の手記を掲載し、「給付増=負担増」に向き合わない政治に頂門の一針としたが、これに倣い議論は、フェアに堂々とすべきである。

2021年12月3日

 


 

【参考】 ※画像をクリックすると拡大表示されます

「自然増」が丸々、収入となり賃金アップ可能だとする資料

2021.11.8財政制度等審議会財政制度分科会より)

20211203danwa_01.png

 

21年度医療費は支払い基金分のみ表示し、医療費水準が回復したと錯覚させる資料

2021.11.8財政制度等審議会財政制度分科会より)

20211203danwa_02.png

 

「自然増」を問題視する財政審の「マイナス改定」論へ反対する

診療報酬プラス改定は医療再生、コロナ禍の地域医療に必須

 

神奈川県保険医協会

政策部長  磯崎 哲男

 


 

財務省の我田引水、作為的数字やロジックの詐術のオンパレードに唖然

 財務省は118日、財政制度等審議会・財政制度分科会に、医療費の総圧縮のため作為的数値や論理の歪曲など夥しい数の資料を提出。診療報酬の大胆なマイナス改定と医療提供体制の改変に向け、強硬な姿勢を見せている。「自然増」の否定など社会保障費に関する、関係者の前提を反故にし、このコロナ禍に地域医療の脆弱化、医療の再生産に背を向け、医療崩壊に一瀉千里の危険さえある。

 われわれは、以下に反論をするとともに、医療水準のコロナ禍前の回復を期せる「プラス改定」を財務省に強く望む。

 

自然増は義務的経費で他動的なもの、本来不可侵

骨太方針2021で改定率▲1.5%

 社会保障関係費の「自然増」は、医療等の社会保障給付に要する経費であって、義務的な性質を有するもののうち、人口の高齢化等の他動的な要因による前年度当初分からの増加分である。これに関し、過去増加分を単純平均した増額分の範囲に収めるよう、2015年度の「骨太方針」以降、予算編成で貫徹されてきた。

 次年度の自然増分の概算要求は6,600億円(医療分3,600億円)である。今年6月の「骨太の方針2021」は、202224年度の社会保障関係費について、「実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針」とされ、目標値は示さず1921年度の方針を踏襲している。

19~21年度は第二次世界大戦の影響で高齢化の伸び率が0.5%程度で推移し、21年度予算は自然増分の概算要求4800億円が3,500億円へと圧縮となった。次年度以降は伸び率が4%台で推移していくため、18年度迄と同等の5,000億円程度への圧縮削減(6,600億円から5,000億円へ)が濃厚と見られる。

 この圧縮額1,600億円は改定率換算で約▲1.5%となる(1,600億円×4÷(42.2兆円×1.019):現時点の伸び率実績を踏まえた当年度医療費推計で試算)。薬価は毎年改定となり毎回▲1.0%程度となっているので、診療報酬改定で全て吸収するとすれば、診療報酬本体で約▲0.5%が必要となる。

 高齢化の増加相当分をどの程度に見積もるかにもよるが、▲1.5%改定となれば平年度の伸び率1.3%(2016~2019年度の平均)さえも凌駕し医療費はマイナスとなる。いわんやコロナ禍が収束もせず、20年度概算医療費が19年度比▲1.4兆円(▲3.2%)(当初想定比▲2.2兆円)と大幅下落をしている下、診療報酬本体のマイナス改定の断行となれば、医療の再生産はおろか、地域医療体制に甚大な支障をきたすことになる。

 コロナ禍の中、診療報酬プラス改定が道理である。財務省の再考を求める。

 

自然増は丸々が医療機関の収益にはならない

賃上げ2.5%のウソ

 11月8日の財政制度等審議会・財政制度分科会の資料は、看過できないものが多く、後顧の憂いのないよう、主なものに反論をしておきたい(*以下の【】は該当ページ)。

 財務省は医療費の「自然増」について、22年度の社会保障関係のうち医療分が概算要求で3,600億円(国庫ベース)となったことを捉え、これが医療費ベースで14,100億円であり、改定率換算で+3.0%要求だと言及。また、この内訳の機械的試算とし、診療報酬(本体)部分5,400億円、薬価部分8,700億円と示し、仮に診療報酬改定が±0%の場合でも、5,400億円が医療機関の収入として増加するので、全ての医療従事者(医師等含む)への2.5%の賃上げができる原資が確保されていると言い募っている(2.5%=5,400億円÷医師等の人件費約22兆円)(【12頁】)。

 しかし、これは、暴論である。自然増は高齢者増による受診増を反映したものであり、当然、費用支出が生じ、丸々、収入にはならない。しかも、本体への包括評価を整理したと脚注にはあるが、診療報酬(本体)部分5,400億円、薬価部分8,700億円は比率で38.3%:61.7%であり、通常の73とは大きく異なっている。73で試算し財務省の理屈を当てはめると4.5%賃上げ可能となり、錯覚誘導させる数値として現実感を欠くため、意図的な操作を重ねた感が強い。

 

医療費はコロナ禍前の水準には戻っていない、+1.9%が真実

酷い数値を使ったトリック

 医療費動向について、2016年度から20年度の年次の対年度比と、21年度の月次の対前々年度(=19年度:コロナ禍前)対比を示し、コロナ禍前の水準を回復し上回っているとし、補助金を含んでいない数字だと念押しをしている。確かに表中の数字は、医科は19年度+2.0%に対し20年度月次は+4.7%~+10.5%、同様に歯科は+1.9%に対し、+3.4%~+10.4%、総計は2.4%に対し、+4.6%~+9.1%となっており、指摘が妥当のように錯覚させる(【16頁】)。

 しかし、21年度の数字は支払基金分「のみ」の数字である。脚注のとおり国保連合会分を含んだ4月~8月迄の平均で19年度対比は+1.9%であり、19年度の+2.4%を下回っている。「医療費動向」の概算医療費は支払基金分と国保連合会分との合計である。明らかな作為により情報操作を図っている。

 われわれは毎月、両者のデータをウォッチしており、+1.9%であることを確認しているので、違和感を持ち気づくが、多くはこのようなことをされたら、完全にミスリードされてしまい看過できない。

 なお、支払基金の高い数字のプラスは小児等の診療報酬の特例の影響が大きいと推測され、国保や後期高齢者は依然と19年度水準に及ばない。受診件数は支払基金や国保連合会とも19年度水準には回復しておらず、診療報酬の特例が殆ど廃止となった10月以降の医療費の下落は確実視されている。

 

大胆すぎる推計は、過大すぎる 伸び率2.5%計算はやりすぎ

補助金は支出額想定にすべき

 更には21年度の補助金と医療費を「大胆に試算すれば」とし、47兆円程度が確保されるので「医療機関の経営実態は近年になく好調」としたが(【17頁】)、これも疑問符がつく。医療費44.7兆円は、19年度の43.6兆円から+2.5%の伸び率となり、既に見た1.9%より高く過大推計である。補助金も繰り越し分を含んだ数字だが、昨年実績にみるように計上額はイコール支給額とはならない。昨年の実績は4兆円に対し2.5兆円と大幅に低い。あまりにも「大胆」にすぎる。先の中医協の医療経済実態調査の数字にみるように医療機関経営は「窮状」にあり、「好調」というのは絵空事である。

 11月29日の自民党の社会保障制度調査会では、厚労省幹部より、医療経済実態調査の結果に関し「仮に新型コロナウイルス感染症関連の補助金がなかった場合、医療機関の状況は従来と比較して著しく悪い」とあり、コロナ関連の補助金を受けているのは一部の医療機関にすぎず、「補助金を受けていない医療機関は経営状況が非常に悪い」との認識も示されている(MEDIFAXweb2021.11.29)。

 

医療費の底上げなしに、近視眼的な分配論は医療界の分断を招来する

 看護師等の賃上げの「公的価格評価検討委員会」関連での看護師給与(2039.4万円)と全産業等との推移比較に、医師給与(20100.8万円)が載っている(【24頁】)が、これは意味深長である。また看護師の非正規比率は24.5%に対し介護分野は50.5%と高く、全産業の非正規率37.2%(20年)を軸に賃金格差は歴然だが、実は看護師は夜勤手当を含んでおり除外すれば29万円程度でしかない。

 財務省は、診療報酬(本体)のマイナス改定をしても自然増により処遇改善の原資があるにもかかわらず、「必要な課題の実現に向けて」、分配のやり方を変える議論がなかったとし、病院と診療所の分配など改定財源の分配の「見える化」が必須としている(【26頁】)。いわば医療の縮小再生産と選択と集中の精緻化だが、本来の問題は診療報酬の底上げであり、ベクトルが逆転している。

 

フェアな議論を正面から行うべき

 医療は、医薬品や医療材料、医療機器等の「モノ」と、医師や看護師等の医療従事者の「技術と労働」により成立し、薬価と診療報酬(本体)は一体である。モノについては薬価基準や治療材料基準が定められているにすぎず、医療費は診療報酬請求等に基づき、一体で把握されてきた。公益サービスの公的医療は、「市場価格」運営ではなく「公定価格」運営である。よって、資本主義社会の市場経済に載るモノは、医療機関の経営努力で値引き交渉がされ経営原資に回ってきた。一般社会と同様である。薬価差はフィクション(【11頁】)でなく、リアルに医療の再生産に資するものである。

 今回、財務省は「診療報酬は、補助金等よりも政策目的実現の実効性に劣る」とし、「安易に財政支援に頼ることや、その手段として診療行為の点数や算定要件の改定という手法に依存することは慎むべき」とした(【14頁】)。昨年11月の財政審「建議」の「診療報酬による対応に軸足を移すべき」は、もはや放棄し、税金や診療報酬でのコロナ禍の支援策をともに否定しており、支離滅裂である。

 矢野康治・財務事務次官が文藝春秋11月号に乾坤一擲の手記を掲載し、「給付増=負担増」に向き合わない政治に頂門の一針としたが、これに倣い議論は、フェアに堂々とすべきである。

2021年12月3日

 


 

【参考】 ※画像をクリックすると拡大表示されます

「自然増」が丸々、収入となり賃金アップ可能だとする資料

2021.11.8財政制度等審議会財政制度分科会より)

20211203danwa_01.png

 

21年度医療費は支払い基金分のみ表示し、医療費水準が回復したと錯覚させる資料

2021.11.8財政制度等審議会財政制度分科会より)

20211203danwa_02.png