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2018/8/1 税対経営部長談話 「消費税分科会における厚生労働省のずさんなデータ分析に抗議する 消費税損税問題、診療報酬による補填は無理、ゼロ税率で解消を!」

消費税分科会における厚生労働省のずさんなデータ分析に抗議する

消費税損税問題、診療報酬による補填は無理、ゼロ税率で解消を!

神奈川県保険医協会

税対経営部長 馬場 一郎


 7月25日に開かれた中医協の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」において、2016年度診療報酬改定後の補てん状況の調査結果が報告された。同時に2015年11月に報告された2014年度診療報酬改定後の補てん状況の調査結果のデータに誤りがあったことも報告され、診療側委員からは昨年11月までに判明していれば2018年度診療報酬改定時に補正できた可能性も指摘された。損税負担に対する診療報酬による補てんでは限界があり、今回の厚労省のずさんなデータ分析に対して強く抗議する。

 まず今回修正された2014年の補てん状況の調査結果を見ると、病院全体で▲19.46ポイント(※102.36%→82.9%)と大きく下方修正。当時、厚労省が示した「マクロでは概ね補填されていることが確認された」との見解と食い違う結果となった。つまり、少なくとも2014年診療報酬改定以降、4年以上にわたり十分な補てんがされていない事が判明した。データの誤りに気付いたのがどの時点か不明確だが、少なくとも2018年診療報酬改定よりも前に気づいていたのであれば改定自体を延期してでも十分な議論を尽くした上で改定に踏み切るべきだったのではないか。長く続く低診療報酬に対し我々が求める診療報酬10%引き上げもされない中、医療機関は苦境に立たされている。

 次に、2016年度診療報酬改定後による補てん状況の調査結果では、歯科診療所で前回調査から補てん率が101.6%から92.3%まで下がり、100%を大きく下回った。病院85.0%、一般診療所111.2%、保険薬局88.3%と、その他は大きな変動はないものの、依然として低い補てん率で、なおかつばらつきがある実態が浮き彫りになった。病院では設備投資による損税負担が非常に大きい。一般診療所は全体的に院外処方が増えていることもあって補てん率が100%を上回っているが科別の差が大きく、日頃より懸命な経費節減により損税負担を被りながらも利益確保に努めている。しかし、それも限界に近づいており、来年10月に消費税率が10%に引き上げられれば、経営が立ち行かなくなる医療機関が続出する。

 また、我々が今年4月に全国の会員医療機関を対象に実施した「消費税負担額概算調査」(有効回答数:603件。医科無床診療所396件、医科有床診療所37件、歯科診療所170件)によると、医科無床診療所が平均2.79%、医科有床診療所が平均4.01%、歯科診療所が平均2.31%と、診療科目や事業形態などによるばらつきは見られるものの一定の損税負担を被っている事が判明した。このような状況下でまんべんなく損税負担を解消するのは不可能だ。

 過去3度にわたり補てんを重ねてきたが(①平成元年:0.76%、②平成9年:0.77%、③平成26年:1.36%)、これ以上診療報酬による補てんでは損税問題を解消できないのは明らかだ。そもそも損税問題がなければこうした議論や調査は不要であり、より適正な診療報酬のあり方について議論するゆとりが生まれる。我々は厚労省に対し、既に限界の見えている診療報酬による補填はやめ、早急にゼロ税率をはじめとした損税問題の抜本的解決策を講じるよう求める。

2018年8月1日

消費税分科会における厚生労働省のずさんなデータ分析に抗議する

消費税損税問題、診療報酬による補填は無理、ゼロ税率で解消を!

神奈川県保険医協会

税対経営部長 馬場 一郎


 7月25日に開かれた中医協の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」において、2016年度診療報酬改定後の補てん状況の調査結果が報告された。同時に2015年11月に報告された2014年度診療報酬改定後の補てん状況の調査結果のデータに誤りがあったことも報告され、診療側委員からは昨年11月までに判明していれば2018年度診療報酬改定時に補正できた可能性も指摘された。損税負担に対する診療報酬による補てんでは限界があり、今回の厚労省のずさんなデータ分析に対して強く抗議する。

 まず今回修正された2014年の補てん状況の調査結果を見ると、病院全体で▲19.46ポイント(※102.36%→82.9%)と大きく下方修正。当時、厚労省が示した「マクロでは概ね補填されていることが確認された」との見解と食い違う結果となった。つまり、少なくとも2014年診療報酬改定以降、4年以上にわたり十分な補てんがされていない事が判明した。データの誤りに気付いたのがどの時点か不明確だが、少なくとも2018年診療報酬改定よりも前に気づいていたのであれば改定自体を延期してでも十分な議論を尽くした上で改定に踏み切るべきだったのではないか。長く続く低診療報酬に対し我々が求める診療報酬10%引き上げもされない中、医療機関は苦境に立たされている。

 次に、2016年度診療報酬改定後による補てん状況の調査結果では、歯科診療所で前回調査から補てん率が101.6%から92.3%まで下がり、100%を大きく下回った。病院85.0%、一般診療所111.2%、保険薬局88.3%と、その他は大きな変動はないものの、依然として低い補てん率で、なおかつばらつきがある実態が浮き彫りになった。病院では設備投資による損税負担が非常に大きい。一般診療所は全体的に院外処方が増えていることもあって補てん率が100%を上回っているが科別の差が大きく、日頃より懸命な経費節減により損税負担を被りながらも利益確保に努めている。しかし、それも限界に近づいており、来年10月に消費税率が10%に引き上げられれば、経営が立ち行かなくなる医療機関が続出する。

 また、我々が今年4月に全国の会員医療機関を対象に実施した「消費税負担額概算調査」(有効回答数:603件。医科無床診療所396件、医科有床診療所37件、歯科診療所170件)によると、医科無床診療所が平均2.79%、医科有床診療所が平均4.01%、歯科診療所が平均2.31%と、診療科目や事業形態などによるばらつきは見られるものの一定の損税負担を被っている事が判明した。このような状況下でまんべんなく損税負担を解消するのは不可能だ。

 過去3度にわたり補てんを重ねてきたが(①平成元年:0.76%、②平成9年:0.77%、③平成26年:1.36%)、これ以上診療報酬による補てんでは損税問題を解消できないのは明らかだ。そもそも損税問題がなければこうした議論や調査は不要であり、より適正な診療報酬のあり方について議論するゆとりが生まれる。我々は厚労省に対し、既に限界の見えている診療報酬による補填はやめ、早急にゼロ税率をはじめとした損税問題の抜本的解決策を講じるよう求める。

2018年8月1日