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2016/2/22 政策部長談話 「『拡大治験』による混合診療の『放散』『蔓延』を危惧 未承認薬の一気通貫の併用療養体制を警鐘する」

「拡大治験」による混合診療の「放散」「蔓延」を危惧

未承認薬の一気通貫の併用療養体制を警鐘する

神奈川県保険医協会

政策部長  桑島 政臣


 1月22日、薬機法の省令改定により、治験計画の適格基準外の患者への未承認薬使用が「拡大治験」として制度化された。致死的・重篤で有効な治療薬のない患者への「人道的」救済の側面を持つ一方、治験薬の多額な患者負担が前提である。これにより、未承認薬は、①「臨床研究計画」のない、「患者申出療養」での使用、②治験計画外での使用、といずれも厳格な科学的検証の「枠組み」を外れた、保険外併用療養(混合診療)の、一気通貫の使用が可能となる。慎重運用の釘が刺されているが、安易な未承認薬使用の混合診療の放散、蔓延を危惧し、強く警鐘をする。

◆「人道的」の名の下での「拡大治験」の制度化と集積データの行方への疑問

 医薬品・医療機器は、実用化・製品化にあたり、薬機法(旧薬事法)に基づく臨床試験の「治験」を経、その有効性・安全性の科学的検証結果を基に製薬企業等が国に承認申請をし、承認後、製品化・上市・販売となる。また、治験は保険外併用療養の対象であり、保険診療との混合診療が認められている。治験はⅠ相・Ⅱ相・Ⅲ相、どの段階も保険外併用療養の「評価療養」の対象である。

 今回の「拡大治験」とは、人道的見地からの治験とされ、「日本再興戦略(2014)」に盛られた「日本版コンパッショネート・ユース」の制度化であり、これまで医薬食品局の「迅速検討会」の報告書や、厚生科学審議会での「アクセス制度」創設提言などの、紆余曲折を経ての落着である。

 この制度のポイントは、未承認薬の①効能・効果、用法・用量が設定された後の「主たる治験」(Ⅲ相試験)の実施後の実施(抗ガン剤はⅡ相試験実施中から可)、②「主たる治験」に悪影響を及ぼさない、③致死的・重篤な疾患で有効な治療薬が存在しない、④治験薬の品質の確保など被験者の安全性の確保の観点から「治験の枠内」での実施、⑤治験薬等の費用の患者(被験者)負担、⑥主たる治験のプロトコル(治験実施計画)と同等の治験計画を基に「安全性」に主眼を置き「プラセボ群」を置かない、実薬単群非盲検試験が基本―となっている。これにより、制度化の隘路だった治験薬の企業負担と品質の担保が、解消することになった。企業コストの過重化と個人輸入の弊害が排される。

 主たる治験と違い、「有効性」の科学的検証を欠くため、関係する検査は省略、プラセボ群との比較をする二重盲検試験も行わない。よって、集積データは「参考資料」の扱いでしかない。プラセボ群を置かないため、「確実」な未承認の実薬使用となる。この関連での治験の歪みが既に懸念されている。

 また、この制度化を機に、実施中の治験はPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のホームページに公開されることになる。よって、主治医を通じ、治験実施企業への照会、治験実施医療機関の治験責任医師への依頼により、「拡大治験」の実施となる。「治療目的」の治験薬使用である。

 つまり、未承認薬の治験がスタートすれば、年齢、身長体重、検査値、治療歴、再発などで治験の参加基準に満たない患者(被験者)であっても、患者が治験薬の費用を負担し「拡大治験」として混合診療が可能となる。集積されるデータは、別途、企業の販売促進の際の、広告に利用が可能となる。

 ここでいう未承認薬は、米・英・仏・独・豪・加の海外で承認された日本国内未承認薬や抗癌剤に限定はされない。世界初や再生医療製品など、国内で未承認のものは全て対象となる。当面、先駆け審査指定応募品や、希少疾病薬などが対象と挙げられてはいるが、厚労省もこのことは認めている。

 昨年8月、患者申出療養の国会審議後、国立がん研究センターが、未承認薬等の金額を発表したが、ひと月100万円程度から300万円クラスが多くを占めている。「主たる治験」の治験薬は企業負担だが、「拡大治験」は患者負担となる。対象は目安のある海外承認薬だけではない。開発中の治験薬は公定薬価と違い、企業の積算により多額となる。主たる治験とは別に用立てするため、数の制約もある。

◆倫理指針に外れる、「治験」未実施での未承認薬使用の合法化とセット

 一方、患者申出療養はどうか。これは人員や実績、施設基準の高いハードルを満たす「臨床研究中核病院」で、プロトコル(実施計画)の策定により、患者が申し出た医療技術・療養の実施を混合診療(保険外併用療養)で行うものである。

 ただ、患者申出療養は、これまで「臨床研究の倫理指針」に則り、プロトコル策定が前提で、厳格な管理の下、未承認等の医薬品・医療機器を使用する医療技術を先進医療として混合診療を認めてきたものを大転換し、「例外的」に「臨床研究の形式」での実施が「難しい」場合は「臨床研究計画を含まない実施計画」の策定でも構わないという、詐術、誤魔化しを弄し、制度化されたものである。

 対象の医療は、①先進医療の施設基準を満たさない医療機関での同様の医療提供、②実施計画で適格基準外(対象外)となった患者への同様の医療提供、③実施計画の策定が出来なかった医療提供、とともに④「国内未承認・海外承認医薬品等の使用」となっており、日本版コンパッショネート・ユースから外れる部分で治験の対象外の部分と、中医協資料等で図示されている。

 つまり、治験がスタートしていない未承認薬の使用を、臨床研究中核病院を介し、治験計画も臨床研究計画もなしで、混合診療が可能となる。共同研究の形をとれば、中核病院以外にも広がる。

 よって、未承認薬を使用する混合診療(保険外併用療養)が、治験実施前は「患者申出療養」のスキームで、治験が走り出せば「拡大治験」のスキームで、患者が望めば多額の負担で可能となる。

 いずれの制度も、医学的安全性の配慮や検討、インフォームド・コンセントの重視をうたっているが、実際の運用でその保証はない。

 現に、先進医療においてさえ、金沢大学のカフェイン併用化学療法は臨床研究計画の適格基準外の多くの患者に実施し、大学病院のホームページで宣伝広告をしていたが、倫理違反や刑事訴訟が明るみとなるまで、25年の長きわたり「先進医療」でありつづけ、問題発覚後も半年にわたり先進医療から「取り消し」されず放置されている。厚労省の医学的、保険財政的な監査が機能してこなかった。類例はLAK療法での保険外併用療養の不当請求など他にもあり、数少なくはない。

ゆえに未承認薬の使用を謳ったり、メディアと結んだ間接的宣伝による、患者の「集客」は否定できず、運用での歪曲は非常に懸念される。重篤な有害事象の発生による「主たる治験」の中止や、有効性なしとの結論が出た場合など、多額の治験薬負担を背負う「自己責任」医療となる。

◆「人道」の名に悖る成長戦略と一体導入の「拡大治験」 

 今回、「人道的見地からの治験」の名の下、「拡大治験」が制度化されたが、当初の議論は希少疾病で治験に至らないなど企業側が二の足を踏み、有効薬のない致死的・重篤な患者の救済スキームの考案であったはずだ。しかし、今回、成長戦略上の措置、実用化までの承認期間の半減(12か月→6か月)を目指す「先駆け審査指定制度」創設と合わせて提案されている。革新的な医薬品・医療機器・再生医療等製品を世界に先駆け実用化する、「戦略市場創造プラン」としてである。

 患者の多額の治験薬負担、混合診療の仕組みの利用は、「人道的」の名に悖る。

 患者申出療養の発端、「選択療養」を提案した規制改革会議の委員で再生医療関連の会社アンジェスMGの創業者は、兼務する政府の健康戦略参与会合に「適格基準外の患者への実施」が可能となったとする資料を昨年7月提示しているが、この委員は承認された臨床研究中核病院の教授である。日本再興戦略2014は再生医療の重視と保険外併用療養の拡大を謳っていた。利益相反も甚だしい。

 そもそも2004年の混合診療騒動を経て、未承認薬・適応外薬検討会議が設けられ、年4回の検討で随時、保険収載希望の未承認薬等の把握と治験のテーブルに載せるよう企業への要請が制度化されたが、累計の数字で要望754、企業要請265、治験実施等40と、要望の1/20に過ぎない。2010年からは新薬創出加算が導入され、新薬・適応外薬の研究開発のため、薬価を後発品上市迄の間は下げずに維持し、収益を回すことが制度化されてもいるが、その実効への批判が財務省サイドから出ている。

 医薬品はシーズ(種)の発見のための基礎研究、非臨床的研究、臨床研究、臨床試験、治験、承認申請、追加的試験・安全性確認試験、薬事承認後試験、保険収載(薬価基準)、市販後臨床試験の順で、研究開発・検証・販売・再検証と進む。医療保険制度は、臨床研究段階から、倫理指針や薬事法・GCP(「医薬品の臨床試験の実施基準に関する省令」)の下で、併用を認め、保険財源の投入をしている。有効性・安全性の確立した医療技術・医薬品・医療機器での混合診療と様相が違い、研究・開発途上の「危険度」の高い医療を、保険外併療養とし、今回の拡大治験、患者申出療養では「安全性規制の緩和」、「医療保険制度の歪曲」を拡散させていく。

 果たして、致死的・重篤な患者への「福音」となるのか。このことを強く警鐘する。

2016年2月22日

(参考)

「拡大治験」と「患者申出療養」の関係(薬事・食品衛生審議会薬事分科会資料(2015.9.17)を加工)

「拡大治験」による混合診療の「放散」「蔓延」を危惧

未承認薬の一気通貫の併用療養体制を警鐘する

神奈川県保険医協会

政策部長  桑島 政臣


 1月22日、薬機法の省令改定により、治験計画の適格基準外の患者への未承認薬使用が「拡大治験」として制度化された。致死的・重篤で有効な治療薬のない患者への「人道的」救済の側面を持つ一方、治験薬の多額な患者負担が前提である。これにより、未承認薬は、①「臨床研究計画」のない、「患者申出療養」での使用、②治験計画外での使用、といずれも厳格な科学的検証の「枠組み」を外れた、保険外併用療養(混合診療)の、一気通貫の使用が可能となる。慎重運用の釘が刺されているが、安易な未承認薬使用の混合診療の放散、蔓延を危惧し、強く警鐘をする。

◆「人道的」の名の下での「拡大治験」の制度化と集積データの行方への疑問

 医薬品・医療機器は、実用化・製品化にあたり、薬機法(旧薬事法)に基づく臨床試験の「治験」を経、その有効性・安全性の科学的検証結果を基に製薬企業等が国に承認申請をし、承認後、製品化・上市・販売となる。また、治験は保険外併用療養の対象であり、保険診療との混合診療が認められている。治験はⅠ相・Ⅱ相・Ⅲ相、どの段階も保険外併用療養の「評価療養」の対象である。

 今回の「拡大治験」とは、人道的見地からの治験とされ、「日本再興戦略(2014)」に盛られた「日本版コンパッショネート・ユース」の制度化であり、これまで医薬食品局の「迅速検討会」の報告書や、厚生科学審議会での「アクセス制度」創設提言などの、紆余曲折を経ての落着である。

 この制度のポイントは、未承認薬の①効能・効果、用法・用量が設定された後の「主たる治験」(Ⅲ相試験)の実施後の実施(抗ガン剤はⅡ相試験実施中から可)、②「主たる治験」に悪影響を及ぼさない、③致死的・重篤な疾患で有効な治療薬が存在しない、④治験薬の品質の確保など被験者の安全性の確保の観点から「治験の枠内」での実施、⑤治験薬等の費用の患者(被験者)負担、⑥主たる治験のプロトコル(治験実施計画)と同等の治験計画を基に「安全性」に主眼を置き「プラセボ群」を置かない、実薬単群非盲検試験が基本―となっている。これにより、制度化の隘路だった治験薬の企業負担と品質の担保が、解消することになった。企業コストの過重化と個人輸入の弊害が排される。

 主たる治験と違い、「有効性」の科学的検証を欠くため、関係する検査は省略、プラセボ群との比較をする二重盲検試験も行わない。よって、集積データは「参考資料」の扱いでしかない。プラセボ群を置かないため、「確実」な未承認の実薬使用となる。この関連での治験の歪みが既に懸念されている。

 また、この制度化を機に、実施中の治験はPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のホームページに公開されることになる。よって、主治医を通じ、治験実施企業への照会、治験実施医療機関の治験責任医師への依頼により、「拡大治験」の実施となる。「治療目的」の治験薬使用である。

 つまり、未承認薬の治験がスタートすれば、年齢、身長体重、検査値、治療歴、再発などで治験の参加基準に満たない患者(被験者)であっても、患者が治験薬の費用を負担し「拡大治験」として混合診療が可能となる。集積されるデータは、別途、企業の販売促進の際の、広告に利用が可能となる。

 ここでいう未承認薬は、米・英・仏・独・豪・加の海外で承認された日本国内未承認薬や抗癌剤に限定はされない。世界初や再生医療製品など、国内で未承認のものは全て対象となる。当面、先駆け審査指定応募品や、希少疾病薬などが対象と挙げられてはいるが、厚労省もこのことは認めている。

 昨年8月、患者申出療養の国会審議後、国立がん研究センターが、未承認薬等の金額を発表したが、ひと月100万円程度から300万円クラスが多くを占めている。「主たる治験」の治験薬は企業負担だが、「拡大治験」は患者負担となる。対象は目安のある海外承認薬だけではない。開発中の治験薬は公定薬価と違い、企業の積算により多額となる。主たる治験とは別に用立てするため、数の制約もある。

◆倫理指針に外れる、「治験」未実施での未承認薬使用の合法化とセット

 一方、患者申出療養はどうか。これは人員や実績、施設基準の高いハードルを満たす「臨床研究中核病院」で、プロトコル(実施計画)の策定により、患者が申し出た医療技術・療養の実施を混合診療(保険外併用療養)で行うものである。

 ただ、患者申出療養は、これまで「臨床研究の倫理指針」に則り、プロトコル策定が前提で、厳格な管理の下、未承認等の医薬品・医療機器を使用する医療技術を先進医療として混合診療を認めてきたものを大転換し、「例外的」に「臨床研究の形式」での実施が「難しい」場合は「臨床研究計画を含まない実施計画」の策定でも構わないという、詐術、誤魔化しを弄し、制度化されたものである。

 対象の医療は、①先進医療の施設基準を満たさない医療機関での同様の医療提供、②実施計画で適格基準外(対象外)となった患者への同様の医療提供、③実施計画の策定が出来なかった医療提供、とともに④「国内未承認・海外承認医薬品等の使用」となっており、日本版コンパッショネート・ユースから外れる部分で治験の対象外の部分と、中医協資料等で図示されている。

 つまり、治験がスタートしていない未承認薬の使用を、臨床研究中核病院を介し、治験計画も臨床研究計画もなしで、混合診療が可能となる。共同研究の形をとれば、中核病院以外にも広がる。

 よって、未承認薬を使用する混合診療(保険外併用療養)が、治験実施前は「患者申出療養」のスキームで、治験が走り出せば「拡大治験」のスキームで、患者が望めば多額の負担で可能となる。

 いずれの制度も、医学的安全性の配慮や検討、インフォームド・コンセントの重視をうたっているが、実際の運用でその保証はない。

 現に、先進医療においてさえ、金沢大学のカフェイン併用化学療法は臨床研究計画の適格基準外の多くの患者に実施し、大学病院のホームページで宣伝広告をしていたが、倫理違反や刑事訴訟が明るみとなるまで、25年の長きわたり「先進医療」でありつづけ、問題発覚後も半年にわたり先進医療から「取り消し」されず放置されている。厚労省の医学的、保険財政的な監査が機能してこなかった。類例はLAK療法での保険外併用療養の不当請求など他にもあり、数少なくはない。

ゆえに未承認薬の使用を謳ったり、メディアと結んだ間接的宣伝による、患者の「集客」は否定できず、運用での歪曲は非常に懸念される。重篤な有害事象の発生による「主たる治験」の中止や、有効性なしとの結論が出た場合など、多額の治験薬負担を背負う「自己責任」医療となる。

◆「人道」の名に悖る成長戦略と一体導入の「拡大治験」 

 今回、「人道的見地からの治験」の名の下、「拡大治験」が制度化されたが、当初の議論は希少疾病で治験に至らないなど企業側が二の足を踏み、有効薬のない致死的・重篤な患者の救済スキームの考案であったはずだ。しかし、今回、成長戦略上の措置、実用化までの承認期間の半減(12か月→6か月)を目指す「先駆け審査指定制度」創設と合わせて提案されている。革新的な医薬品・医療機器・再生医療等製品を世界に先駆け実用化する、「戦略市場創造プラン」としてである。

 患者の多額の治験薬負担、混合診療の仕組みの利用は、「人道的」の名に悖る。

 患者申出療養の発端、「選択療養」を提案した規制改革会議の委員で再生医療関連の会社アンジェスMGの創業者は、兼務する政府の健康戦略参与会合に「適格基準外の患者への実施」が可能となったとする資料を昨年7月提示しているが、この委員は承認された臨床研究中核病院の教授である。日本再興戦略2014は再生医療の重視と保険外併用療養の拡大を謳っていた。利益相反も甚だしい。

 そもそも2004年の混合診療騒動を経て、未承認薬・適応外薬検討会議が設けられ、年4回の検討で随時、保険収載希望の未承認薬等の把握と治験のテーブルに載せるよう企業への要請が制度化されたが、累計の数字で要望754、企業要請265、治験実施等40と、要望の1/20に過ぎない。2010年からは新薬創出加算が導入され、新薬・適応外薬の研究開発のため、薬価を後発品上市迄の間は下げずに維持し、収益を回すことが制度化されてもいるが、その実効への批判が財務省サイドから出ている。

 医薬品はシーズ(種)の発見のための基礎研究、非臨床的研究、臨床研究、臨床試験、治験、承認申請、追加的試験・安全性確認試験、薬事承認後試験、保険収載(薬価基準)、市販後臨床試験の順で、研究開発・検証・販売・再検証と進む。医療保険制度は、臨床研究段階から、倫理指針や薬事法・GCP(「医薬品の臨床試験の実施基準に関する省令」)の下で、併用を認め、保険財源の投入をしている。有効性・安全性の確立した医療技術・医薬品・医療機器での混合診療と様相が違い、研究・開発途上の「危険度」の高い医療を、保険外併療養とし、今回の拡大治験、患者申出療養では「安全性規制の緩和」、「医療保険制度の歪曲」を拡散させていく。

 果たして、致死的・重篤な患者への「福音」となるのか。このことを強く警鐘する。

2016年2月22日

(参考)

「拡大治験」と「患者申出療養」の関係(薬事・食品衛生審議会薬事分科会資料(2015.9.17)を加工)