神奈川県保険医協会とは
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2026/3/2 政策部長談話「薬剤5割負担の梃、「一部保険外療養」に反対する 市販薬(OTC)を口実の差額負担拡大は健保法附則に背く」
薬剤5割負担の梃、「一部保険外療養」に反対する
市販薬(OTC)を口実の差額負担拡大は健保法附則に背く
神奈川県保険医協会
政策部長 磯崎 哲男
◆高市首相の健康医療安全保障に適うのか疑問
市販薬(OTC)との代替性を口実に、77成分約1,100 品目の医療用医薬品について、患者の薬剤負担を約5割とする計画がある。近く、法案として国会に提出される。しかし、患者負担は健保法附則で3割が限度と小泉内閣当時に定められている。これを突破するため「一部保険外療養」の創設で調整が
進められている。名は体を表す。保険適用されているものを部分的に保険外とする仕組みである。患者負担を実質的に拡大する「打ち出の小槌」の登場だ。「安心して医療をうける」ことが難しくなる。
総選挙を経て、医療・社会保障に理解と見識のある議員が返り咲き、与党内で慎重論が出ているとの報道もあり期待したい。何よりも、昨年10 月の高市首相の所信表明で掲げた国家戦略、「健康医療安全保障」に適うのか疑問である。国民の命と健康の保護、医療体制の脆弱性への対応重視の方針の下、診療報酬本体改定率を3.09%と30 年ぶりの大幅プラスを英断したことは記憶に新しい。
汎用医薬品の5割負担の梃となる、「一部保険外療養」の創設に反対する。
◆苦心して対象医薬品を抽出しても、保険料は1人月▲24 円のみ 制度の信頼を損ねるだけ
首相の「健康医療安全保障」は、骨太方針の高齢者増加分の「目安対応」を変えた立役者の一人、自見はなこ参院議員が最近、自身の国会レポートで紹介している。医療関係者の多くの目にも触れている。
この薬剤負担の問題は「OTC類似薬の保険外し」と称され議論されてきた。市販薬と成分が類似の医薬品を医療保険から外し、保険料を下げるという主張が政治の舞台で執拗になされ、厚労省の医療保険部会でも議論となり、一定の結論をみたものである。
市販薬と成分が同じでも、医療用医薬品とは含有量や規格、投与用量、投与経路が異なり必ずしも同一ではない。添加物や複数成分の含有や効能効果の相違もある。医療保険部会では厚労省が明瞭・明晰な資料を提示し議論に託した。結果的に、成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医薬品を機械的に抽出し、薬価の25%を保険外とする制度を提案。保険分75%の3 割負担で22.5%と保険外25%の合計で47.5%、つまり約5割負担となるとした。これによる医療費の削減効果は900 億円としている。
医療費900 億円の約半分が保険料。被保険者8千万人で換算すると一人年間578 円で月額48 円。現役世代は労使折半で24円の減額でしかない※。患者になった際は薬剤5割で家計負担が嵩むだけである。
◆セルフメディケーションは医療ではない
医療保険部会(2025.11.6)の資料は、市販薬は殆ど医療用医薬品との代替性が臨床上ないことを教えていた。臨床上の必要性や使途を無視して、市販薬で代替はできないのである。
そもそも、市販薬というのは「医療用類似」市販薬であり、本家は医療用医薬品である。国民は自己判断で便宜的に市販薬を服用するが、医療ではない。風邪症状と思い込み感染症の受診が遅れる、症状が重篤化しての受診となる、早期発見・早期治療の機会を逃す、重症化し医療経済的にも不経済となる。セルフメディケーションといえば聞こえが良いが、体調不和の早期手当を超えず、リスクが多い。本道は医療機関への受診である。
◆一部保険外療養は新体系、保険外併用療養とは別のもよう
医療保険部会(2025.12.25)では、選択性のある先発品の選定療養と違うと指摘があった。当初、保険外併用療養(部分的混合診療)の第4類型との報道もあったが、「一部保険外療養」と報じられており、別建ての新設体系となるとみられる。創設されると医薬品以外も対象とされていく危険性が高い。
復帰した橋本岳衆議院議員は選挙中、社会保険料の引き下げの改革議論に対し苦衷を露わにし、登院に際し「給付を受ける立場の人への配慮も重要だ」とした。「「給付の役割」への目配りが薄いと、バランスのよい議論は望めない」(朝日新聞26.3.1「序破急 社会保障、勇気ある証言者」)。与党の「良心」と「見識」の発揮を強く期待したい。一部保険外療養に改めて反対する。
2026年3月2日
◆「一部保険外療養」の仕組み
・2025.12.25 医療保険部会資料より
◆医療用医薬品と代替性のある市販薬は極めて少ない
・2025.11.6 医療保険部会資料より
薬剤5割負担の梃、「一部保険外療養」に反対する
市販薬(OTC)を口実の差額負担拡大は健保法附則に背く
神奈川県保険医協会
政策部長 磯崎 哲男
◆高市首相の健康医療安全保障に適うのか疑問
市販薬(OTC)との代替性を口実に、77成分約1,100 品目の医療用医薬品について、患者の薬剤負担を約5割とする計画がある。近く、法案として国会に提出される。しかし、患者負担は健保法附則で3割が限度と小泉内閣当時に定められている。これを突破するため「一部保険外療養」の創設で調整が
進められている。名は体を表す。保険適用されているものを部分的に保険外とする仕組みである。患者負担を実質的に拡大する「打ち出の小槌」の登場だ。「安心して医療をうける」ことが難しくなる。
総選挙を経て、医療・社会保障に理解と見識のある議員が返り咲き、与党内で慎重論が出ているとの報道もあり期待したい。何よりも、昨年10 月の高市首相の所信表明で掲げた国家戦略、「健康医療安全保障」に適うのか疑問である。国民の命と健康の保護、医療体制の脆弱性への対応重視の方針の下、診療報酬本体改定率を3.09%と30 年ぶりの大幅プラスを英断したことは記憶に新しい。
汎用医薬品の5割負担の梃となる、「一部保険外療養」の創設に反対する。
◆苦心して対象医薬品を抽出しても、保険料は1人月▲24 円のみ 制度の信頼を損ねるだけ
首相の「健康医療安全保障」は、骨太方針の高齢者増加分の「目安対応」を変えた立役者の一人、自見はなこ参院議員が最近、自身の国会レポートで紹介している。医療関係者の多くの目にも触れている。
この薬剤負担の問題は「OTC類似薬の保険外し」と称され議論されてきた。市販薬と成分が類似の医薬品を医療保険から外し、保険料を下げるという主張が政治の舞台で執拗になされ、厚労省の医療保険部会でも議論となり、一定の結論をみたものである。
市販薬と成分が同じでも、医療用医薬品とは含有量や規格、投与用量、投与経路が異なり必ずしも同一ではない。添加物や複数成分の含有や効能効果の相違もある。医療保険部会では厚労省が明瞭・明晰な資料を提示し議論に託した。結果的に、成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医薬品を機械的に抽出し、薬価の25%を保険外とする制度を提案。保険分75%の3 割負担で22.5%と保険外25%の合計で47.5%、つまり約5割負担となるとした。これによる医療費の削減効果は900 億円としている。
医療費900 億円の約半分が保険料。被保険者8千万人で換算すると一人年間578 円で月額48 円。現役世代は労使折半で24円の減額でしかない※。患者になった際は薬剤5割で家計負担が嵩むだけである。
◆セルフメディケーションは医療ではない
医療保険部会(2025.11.6)の資料は、市販薬は殆ど医療用医薬品との代替性が臨床上ないことを教えていた。臨床上の必要性や使途を無視して、市販薬で代替はできないのである。
そもそも、市販薬というのは「医療用類似」市販薬であり、本家は医療用医薬品である。国民は自己判断で便宜的に市販薬を服用するが、医療ではない。風邪症状と思い込み感染症の受診が遅れる、症状が重篤化しての受診となる、早期発見・早期治療の機会を逃す、重症化し医療経済的にも不経済となる。セルフメディケーションといえば聞こえが良いが、体調不和の早期手当を超えず、リスクが多い。本道は医療機関への受診である。
◆一部保険外療養は新体系、保険外併用療養とは別のもよう
医療保険部会(2025.12.25)では、選択性のある先発品の選定療養と違うと指摘があった。当初、保険外併用療養(部分的混合診療)の第4類型との報道もあったが、「一部保険外療養」と報じられており、別建ての新設体系となるとみられる。創設されると医薬品以外も対象とされていく危険性が高い。
復帰した橋本岳衆議院議員は選挙中、社会保険料の引き下げの改革議論に対し苦衷を露わにし、登院に際し「給付を受ける立場の人への配慮も重要だ」とした。「「給付の役割」への目配りが薄いと、バランスのよい議論は望めない」(朝日新聞26.3.1「序破急 社会保障、勇気ある証言者」)。与党の「良心」と「見識」の発揮を強く期待したい。一部保険外療養に改めて反対する。
2026年3月2日
◆「一部保険外療養」の仕組み
・2025.12.25 医療保険部会資料より
◆医療用医薬品と代替性のある市販薬は極めて少ない
・2025.11.6 医療保険部会資料より

