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2025/5/7 政策部長談話「脱保険の橋頭堡となる危険性大 選定療養によるOTC類似薬の保険外しを警鐘する」

 

脱保険の橋頭堡となる危険性大

選定療養によるOTC類似薬の保険外しを警鐘する
 

神奈川県保険医協会

政策部長  磯崎 哲男

 


 

◆三党協議が財務省提案をトレースする危険

 OTC(市販薬)類似医薬品の保険適用除外に関し、自民・公明・維新の三党協議が417日にあった。与党は「丁寧に検討を進める必要がある」とし、患者や医療現場への影響を考慮した見識を示した。ただ、維新へゼロ回答は避け、「類似の効能を有する代替可能なOTC医薬品が存在する医療用医薬品」について検討すべきと具体的課題を示した。併せて、受診を前提とせずにOTC類似薬を保険から外すと、「病気の発見が遅れてしまう」と指摘し、「必要な受診が確保される形で制度設計を行う必要」があるとした。受診を阻害せずに保険適用除外をする、つまり方法論として選定療養の活用が浮上してくる。これは従来、財務省が提唱してきたもので423日の財政制度等審議会財政制度分科会でも提案されている。これは、医療周辺サービスを適用とした選定療養の乱用であり、脱保険の梃となりかねない。この危険性を警鐘するとともに、制度理念、治療影響、患者負担の3点から保険適用除外に強く反対する。

  

◆選定療養の乱用、OTC類似薬の保険外しへの財務省の虎視眈々と「渡りに舟」の維新提案

 選定療養は、部分的に合法化された混合診療(保険外併用療養)の一類型である。差額ベッドなど患者が選択する医療周辺サービスを対象とし、保険導入を前提としないものである。

 近年、この乱用が酷い。多焦点眼内レンズやプログラム医療機器(保険適用期間終了後)、間歇スキャン式持続血糖測定器、精子の凍結及び融解、長期収載品と、医療の「本丸」である医療技術や医療用医薬品へと次々と適用メニューを拡大させ歯止めがない。

 OTC類似薬への選定療養の適用の提案は昨年の財政審制度分科会(11月13日)でも提案されているが、遡れば2020年のコロナ禍の最中、堂々と制度分科会(108日)に提案されている。このアイディアは2019111日の財政審制度分科会の「参考資料」に忍ばされ初出となるが、大元は同年の規制改革推進会議の医療・介護WG(1218日)でプレゼンをした慶應大学の印南一路教授である。

 この導入を財務省は狙ってきており、昨年の長期収載品への導入により、医療用医薬品に触手が伸び、部分決壊し、維新の執拗な国会質問と予算通過の三党合意で、環境整備ができた格好となっている。

  

◆長期収載品は事実上、「低薬価品は保険外」の状態 

 長期収載品は後発品との価格差の1/4が差額料金で追加負担とされた。巷の少額の追加負担との理解と違い、実は大きな矛盾が生じている。差額料金を実額計算とせず、点数計算ルールの適用としたため、薬価15円以下の品目は、すべて薬価算定1点(10円)、差額料金1点(10円)となり、対象品目の約25%が薬価を超える患者負担額となっている。事実上、保険適用除外である。

 財務省の提案は、OTC類似薬を丸々、保険適用除外とし処方料、処方箋料は算定として保険外併用療養の仕組みに収め、受診との切断を生じさせないようにするものだ。が、保険適用除外分を薬価の1/2とか1/4とし、この長期収載品の仕組みを転用し差額分を点数ルール計算とすれば、薬価の低いものは保険適用除外の状態かそれに近い水準となる。ゆめゆめ、この方法の安易な採用は禁物である。

  

◆地域別診療報酬への適用拡大の危険と混乱の招来 

 医師の地域偏在対策とし、財務省は地域別診療報酬とし、都市部など医師過多地域の1点単価10円を9円へ下げ、医師の誘導を図ることを執拗に主張している。都市部は物価・光熱費や賃金が高く、これが導入されると保険収入10%減で、医療機関は殆どが立ちいかなくなる。ただ、ここへ選定療養を適用し、単価1円分を差額料金で徴収可能とすれば医療経営上は従来どおりとなる。長期収載品と同じ仕組みなら、過去の歯科差額問題のような法外な差額徴収もブロックでき、患者の反発も少ない、となる。

 差額料金は制度上、「特別料金」というが、本来、自由料金である。よって健康保険では通知で料金の「目安」を示すに留まってきた。これを長期収載品の選定療養では療養担当規則を改定し、差額料金を「固定化」、国のコントロール可能とし、方法論として差額料金へ薬価点数の計算ルールを適用とした。

 これは荒業である。差額ベッドやほかの従来の差額料金は自由料金のままである。保険給付の部分適用除外に関して、差額料金が青天井の高額や、低廉なダンピング料金とならないよう管理可能とした。

 つまり、OTC類似薬への選定療養の適用となれば、いずれ技術料全般への選定療養化へ投網がかかる、射程圏内に入ることを意味し、皆保険制度が崩れる危険が高くなる。要注意である。

  

◆選定療養の限度なき拡大がなし崩し的に進行 

 201912月に規制改革会議に提案された「新選定療養(仮称)」は、その年の3月に印南教授らの「公的医療保険の給付範囲等の見直しに関する研究会」が報告書としてまとめた中の提案である。従来のアメニティーなどを対象とした選定療養とは別に、新たな類型として有効性・安全性が認められた医療技術・薬品であっても①医療の必要性が低い、②エビデンスが不十分、③費用対効果が低い、④保険適用範囲が薬事承認より狭い、ものを保険給付範囲から除外し、「新選定療養(仮称)」として整理・再編をするよう提案したものである。その中でOTC類似薬への選定療養の活用も仔細に説いている。

 しかし、その後の推移は、制度再編の議論もなく、なし崩し的にこの内容の実現が図られてきている。保険導入が前提の評価療養であった多焦点眼内レンズは長年「塩漬け」のまま、保険導入がない選定療養の類型に移動し、既にみたようにプログラム医療機器など順次拡大され、長期収載品も対象となっている。厚労省は毎年、選定療養の追加メニューの公募をしており、選定療養の拡大・乱用は限度がない。

 「新選定療養(仮称)」では、光熱費や室料の給付除外化、自費徴収化も、民間保険の活用とともに提案している。近年の光熱費の高騰や、病院数が最多の1985年までに建設された病院が建替え時期を迎えてもおり現実味を帯びている。入院基本料が実質10年以上、点数据え置きで現場は業を煮やしており、逆手に取られる危険がある。材料価格の高騰分の反映が改定財源の主となっている歯科も同様である。

  

◆2004年「混合診療」基本合意に逆行 保険外負担増大、必要な医療の給付外化は治療を破壊する 

 2004年1215日、規制改革担当相と厚労相による「いわゆる『混合診療』問題に係る基本的合意」がなされた。そこでは、過大な保険外負担の根本的見直しと切実な患者要望への迅速・的確な対応ができる改革をするとし、現在の保険外併用療養費の創設に至っている。

 この合意では、「一定のルールの下に、保険診療と保険外診療との併用を認め」、「これに係る保険導入手続を制度化するもの」だとし、「必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保する」という「国民皆保険制度の理念を基本に据えたもの」とされた。よって必要性のある医療は保険導入方向のベクトルで整理再編され、未承認薬や医療技術は「評価療養」とし、医学的根拠の乏しい制限回数超の医療行為や、快適性・利便性に関する医療周辺サービスは「選定療養」へと類型が峻別されたのである。

 ところが、いまは医療技術や医薬品が選定療養の対象となり、長期収載品が対象とされたことで保険給付の部分適用除外の「装置」に転換している。これに次いで、OTC類似薬の一部品目でも対象となれば、完全に保険外しの「打ち出の小槌」となり、技術料差額を可能とする「道具」へと展開する。

 こうなると、混合診療合意に逆行し、必要な医療は保険診療でという皆保険も形骸化する。

  

◆早期発見早期治療を崩すOTC類似薬の保険外し 医療現場からは怨嗟の的 

 OTC類似薬の保険適用除外の維新提案へは、▽早期発見早期治療の機会を逃し重症化を招く、▽第一線医療を台無しにする、▽患者負担を増大させ受診抑制を助長する等、切実な声が渦巻いている1

 近視眼的な保険料減額のための医療費減少の方便としてOTC類似薬の保険適用除外では、医療が崩れ本末転倒である。政策に値しない。医療費はここ20数年、診療報酬のマイナス改定の連続で医療機関経営は逼迫し、医療の質と量の維持が困難さを極めている。健康保険は患者の8割が利用する医療費は全体の2割にすぎず低額であり2、OTC類似薬と称される医療用医薬品を保険適用除外すれば、圧倒的多くの患者が薬剤負担で治療に困り経済負担が大幅に増す。これ以上の愚策はない。

 われわれは、OTC類似薬の保険外しに改めて反対するとともに、その方法として選定療養(保険外併用療養費)の活用は皆保険制度を破綻させる先鞭、禁じ手であることを強く訴える。

2025年5月7日

1:神奈川県保険医新聞2025415日号「現場の声 OTC類似医薬品の保険適用除外/重病 見落とすリスク/見落とさないため診療するのでは?」

神奈川県保険医新聞2025425日号「現場の声 OTC類似医薬品の保険適用除外/医療へのアクセス不平等に 通年性アレルギー負担は莫大」

2:神奈川県保険医協会・政策部長談話「第一線の地域医療を崩壊させる OTC類似医薬品の保険適用除外の策動に反対する」(2025312日)

2025/3/12 政策部長談話「第一線の地域医療を崩壊させる OTC類似医薬品の保険適用除外の策動に反対する」 | 神奈川県保険医協会とは | いい医療.com

 

【参考資料】

◇OTC類似薬の保険適用の在り方の見直し(財政制度等審議会財政制度分科会(2025.4.23)資料より)

 スクリーンショット 2025-05-07 165346.png

 

 

◇「公的医療保険の持続可能性について 給付範囲の見直し等の提案」 (2019.12.18)

スクリーンショット 2025-05-07 165448.png

 

 

 

脱保険の橋頭堡となる危険性大

選定療養によるOTC類似薬の保険外しを警鐘する
 

神奈川県保険医協会

政策部長  磯崎 哲男

 


 

◆三党協議が財務省提案をトレースする危険

 OTC(市販薬)類似医薬品の保険適用除外に関し、自民・公明・維新の三党協議が417日にあった。与党は「丁寧に検討を進める必要がある」とし、患者や医療現場への影響を考慮した見識を示した。ただ、維新へゼロ回答は避け、「類似の効能を有する代替可能なOTC医薬品が存在する医療用医薬品」について検討すべきと具体的課題を示した。併せて、受診を前提とせずにOTC類似薬を保険から外すと、「病気の発見が遅れてしまう」と指摘し、「必要な受診が確保される形で制度設計を行う必要」があるとした。受診を阻害せずに保険適用除外をする、つまり方法論として選定療養の活用が浮上してくる。これは従来、財務省が提唱してきたもので423日の財政制度等審議会財政制度分科会でも提案されている。これは、医療周辺サービスを適用とした選定療養の乱用であり、脱保険の梃となりかねない。この危険性を警鐘するとともに、制度理念、治療影響、患者負担の3点から保険適用除外に強く反対する。

  

◆選定療養の乱用、OTC類似薬の保険外しへの財務省の虎視眈々と「渡りに舟」の維新提案

 選定療養は、部分的に合法化された混合診療(保険外併用療養)の一類型である。差額ベッドなど患者が選択する医療周辺サービスを対象とし、保険導入を前提としないものである。

 近年、この乱用が酷い。多焦点眼内レンズやプログラム医療機器(保険適用期間終了後)、間歇スキャン式持続血糖測定器、精子の凍結及び融解、長期収載品と、医療の「本丸」である医療技術や医療用医薬品へと次々と適用メニューを拡大させ歯止めがない。

 OTC類似薬への選定療養の適用の提案は昨年の財政審制度分科会(11月13日)でも提案されているが、遡れば2020年のコロナ禍の最中、堂々と制度分科会(108日)に提案されている。このアイディアは2019111日の財政審制度分科会の「参考資料」に忍ばされ初出となるが、大元は同年の規制改革推進会議の医療・介護WG(1218日)でプレゼンをした慶應大学の印南一路教授である。

 この導入を財務省は狙ってきており、昨年の長期収載品への導入により、医療用医薬品に触手が伸び、部分決壊し、維新の執拗な国会質問と予算通過の三党合意で、環境整備ができた格好となっている。

  

◆長期収載品は事実上、「低薬価品は保険外」の状態 

 長期収載品は後発品との価格差の1/4が差額料金で追加負担とされた。巷の少額の追加負担との理解と違い、実は大きな矛盾が生じている。差額料金を実額計算とせず、点数計算ルールの適用としたため、薬価15円以下の品目は、すべて薬価算定1点(10円)、差額料金1点(10円)となり、対象品目の約25%が薬価を超える患者負担額となっている。事実上、保険適用除外である。

 財務省の提案は、OTC類似薬を丸々、保険適用除外とし処方料、処方箋料は算定として保険外併用療養の仕組みに収め、受診との切断を生じさせないようにするものだ。が、保険適用除外分を薬価の1/2とか1/4とし、この長期収載品の仕組みを転用し差額分を点数ルール計算とすれば、薬価の低いものは保険適用除外の状態かそれに近い水準となる。ゆめゆめ、この方法の安易な採用は禁物である。

  

◆地域別診療報酬への適用拡大の危険と混乱の招来 

 医師の地域偏在対策とし、財務省は地域別診療報酬とし、都市部など医師過多地域の1点単価10円を9円へ下げ、医師の誘導を図ることを執拗に主張している。都市部は物価・光熱費や賃金が高く、これが導入されると保険収入10%減で、医療機関は殆どが立ちいかなくなる。ただ、ここへ選定療養を適用し、単価1円分を差額料金で徴収可能とすれば医療経営上は従来どおりとなる。長期収載品と同じ仕組みなら、過去の歯科差額問題のような法外な差額徴収もブロックでき、患者の反発も少ない、となる。

 差額料金は制度上、「特別料金」というが、本来、自由料金である。よって健康保険では通知で料金の「目安」を示すに留まってきた。これを長期収載品の選定療養では療養担当規則を改定し、差額料金を「固定化」、国のコントロール可能とし、方法論として差額料金へ薬価点数の計算ルールを適用とした。

 これは荒業である。差額ベッドやほかの従来の差額料金は自由料金のままである。保険給付の部分適用除外に関して、差額料金が青天井の高額や、低廉なダンピング料金とならないよう管理可能とした。

 つまり、OTC類似薬への選定療養の適用となれば、いずれ技術料全般への選定療養化へ投網がかかる、射程圏内に入ることを意味し、皆保険制度が崩れる危険が高くなる。要注意である。

  

◆選定療養の限度なき拡大がなし崩し的に進行 

 201912月に規制改革会議に提案された「新選定療養(仮称)」は、その年の3月に印南教授らの「公的医療保険の給付範囲等の見直しに関する研究会」が報告書としてまとめた中の提案である。従来のアメニティーなどを対象とした選定療養とは別に、新たな類型として有効性・安全性が認められた医療技術・薬品であっても①医療の必要性が低い、②エビデンスが不十分、③費用対効果が低い、④保険適用範囲が薬事承認より狭い、ものを保険給付範囲から除外し、「新選定療養(仮称)」として整理・再編をするよう提案したものである。その中でOTC類似薬への選定療養の活用も仔細に説いている。

 しかし、その後の推移は、制度再編の議論もなく、なし崩し的にこの内容の実現が図られてきている。保険導入が前提の評価療養であった多焦点眼内レンズは長年「塩漬け」のまま、保険導入がない選定療養の類型に移動し、既にみたようにプログラム医療機器など順次拡大され、長期収載品も対象となっている。厚労省は毎年、選定療養の追加メニューの公募をしており、選定療養の拡大・乱用は限度がない。

 「新選定療養(仮称)」では、光熱費や室料の給付除外化、自費徴収化も、民間保険の活用とともに提案している。近年の光熱費の高騰や、病院数が最多の1985年までに建設された病院が建替え時期を迎えてもおり現実味を帯びている。入院基本料が実質10年以上、点数据え置きで現場は業を煮やしており、逆手に取られる危険がある。材料価格の高騰分の反映が改定財源の主となっている歯科も同様である。

  

◆2004年「混合診療」基本合意に逆行 保険外負担増大、必要な医療の給付外化は治療を破壊する 

 2004年1215日、規制改革担当相と厚労相による「いわゆる『混合診療』問題に係る基本的合意」がなされた。そこでは、過大な保険外負担の根本的見直しと切実な患者要望への迅速・的確な対応ができる改革をするとし、現在の保険外併用療養費の創設に至っている。

 この合意では、「一定のルールの下に、保険診療と保険外診療との併用を認め」、「これに係る保険導入手続を制度化するもの」だとし、「必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保する」という「国民皆保険制度の理念を基本に据えたもの」とされた。よって必要性のある医療は保険導入方向のベクトルで整理再編され、未承認薬や医療技術は「評価療養」とし、医学的根拠の乏しい制限回数超の医療行為や、快適性・利便性に関する医療周辺サービスは「選定療養」へと類型が峻別されたのである。

 ところが、いまは医療技術や医薬品が選定療養の対象となり、長期収載品が対象とされたことで保険給付の部分適用除外の「装置」に転換している。これに次いで、OTC類似薬の一部品目でも対象となれば、完全に保険外しの「打ち出の小槌」となり、技術料差額を可能とする「道具」へと展開する。

 こうなると、混合診療合意に逆行し、必要な医療は保険診療でという皆保険も形骸化する。

  

◆早期発見早期治療を崩すOTC類似薬の保険外し 医療現場からは怨嗟の的 

 OTC類似薬の保険適用除外の維新提案へは、▽早期発見早期治療の機会を逃し重症化を招く、▽第一線医療を台無しにする、▽患者負担を増大させ受診抑制を助長する等、切実な声が渦巻いている1

 近視眼的な保険料減額のための医療費減少の方便としてOTC類似薬の保険適用除外では、医療が崩れ本末転倒である。政策に値しない。医療費はここ20数年、診療報酬のマイナス改定の連続で医療機関経営は逼迫し、医療の質と量の維持が困難さを極めている。健康保険は患者の8割が利用する医療費は全体の2割にすぎず低額であり2、OTC類似薬と称される医療用医薬品を保険適用除外すれば、圧倒的多くの患者が薬剤負担で治療に困り経済負担が大幅に増す。これ以上の愚策はない。

 われわれは、OTC類似薬の保険外しに改めて反対するとともに、その方法として選定療養(保険外併用療養費)の活用は皆保険制度を破綻させる先鞭、禁じ手であることを強く訴える。

2025年5月7日

1:神奈川県保険医新聞2025415日号「現場の声 OTC類似医薬品の保険適用除外/重病 見落とすリスク/見落とさないため診療するのでは?」

神奈川県保険医新聞2025425日号「現場の声 OTC類似医薬品の保険適用除外/医療へのアクセス不平等に 通年性アレルギー負担は莫大」

2:神奈川県保険医協会・政策部長談話「第一線の地域医療を崩壊させる OTC類似医薬品の保険適用除外の策動に反対する」(2025312日)

2025/3/12 政策部長談話「第一線の地域医療を崩壊させる OTC類似医薬品の保険適用除外の策動に反対する」 | 神奈川県保険医協会とは | いい医療.com

 

【参考資料】

◇OTC類似薬の保険適用の在り方の見直し(財政制度等審議会財政制度分科会(2025.4.23)資料より)

 スクリーンショット 2025-05-07 165346.png

 

 

◇「公的医療保険の持続可能性について 給付範囲の見直し等の提案」 (2019.12.18)

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