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2026/3/3 理事長・医療運動部会長声明「第一線医療の士気を削ぐ告示案に抗議  真に医療機関の窮状打開となる診療報酬改定を求める」

第一線医療の士気を削ぐ告示案に抗議

真に医療機関の窮状打開となる診療報酬改定を求める


神奈川県保険医協会

理事長  田辺 由紀夫

医療運動部会長  二村 哲

 


 

 2026年度診療報酬改定率は本体プラス3.09%、薬価等マイナス0.87%、全体で2.22%のプラス改定で決着し、本体は30年ぶりの3%台となった。しかし賃上げ分1.70%、物価対応分0.76%、過去の経営悪化分0.44%など多くの使途が限定され、医療の充実分(通常改定分)は僅か0.25%と、前回改定での 0.18%と変わらない。また在宅医療の適正化等でマイナス0.15%とされ、主に内科診療所へのダメージは大きい。
これでは地域医療の第一線を担う診療所は、確実に衰退する。間近に控える正式告示や運用通知による診療所の窮状打開を強く求める。

 2026年2月13日には中医協による答申がなされ、点数告示案が示された。プラス改定の配分・内訳から想像できた部分もあるが、それでも実際の点数配分の衝撃は大きい。医科の初診料は据え置き、再診料は僅か1点のプラス、歯科の初診料は5点アップしたが再診料は医科同様に1点のプラス、歯科の汎用点数である歯科疾患管理料は10点マイナスとなった。24年度の無床診療所の法人経常利益の最頻値は0.0%~1.0%、医業収支は4割が赤字であり※1、過去の経営悪化分の補填としてはあまりにも不十分である。

 物価対応料は病院への比重が高いとされていたが、医科診療所は初・再診で僅か2点(27年6月から4点)、歯科は初診3点(同6点)、再診1点(同2点)と、この間の光熱水費や検体集配費用等の物価上昇に対応できる水準ではない。これら僅かなプラスも、一般名処方加算のマイナス2点でほぼ帳消しとなる。

 本体改定率の半分以上が賃上げ分とされ、ベースアップ評価料が大幅に引き上げられた。これは全て従業員に還元されるものであり、そもそもあらゆる原資のない状況下で医院経営の安定や設備投資等には一切使用できない。当然ながら、医療従事者の賃上げは必要不可欠だが、診療所の当該点数の届出は5割にも届いておらず、本来は基本診療料の大幅引き上げで担保すべきである。

 また医療DX関連の加算が再編され、電子処方箋の発行体制や電磁的な診療情報の共有・活用体制の有無で点数が変わることになった。これら診療報酬以外にも、オンライン資格確認やマイナ保険証への一本化が進められ、さらには電子カルテの義務化方針が打ち出されるなど、医療行為と直接関係のない分野での変革が続いている。当会には「これからのデジタル化、保険改定についてゆくことができず、閉院することといたしました」と、閉院を決断した会員もいる。

 これらの状況を踏まえ、2月26日の当会理事会では、今後の医院経営への悪影響を危惧する声が出された。近年は改定の都度、使途が限りなく限定され、いつでも診療報酬の引き剥がしができる建付け・設計とされている。医院経営の裁量権が実質奪われており、医療機関の経営安定とは程遠い改定が続いている。

 地域医療は、当然ながら病院だけでは成り立たない。初診患者の8割、外来患者の7割を診る診療所が、病院と連携しながら医療全体を支えている。今回の告示案では、第一線の医療を担う診療所の士気を削ぎ、近い将来地域医療の崩壊につながっていく。正式告示や運用通知が今後控えているが、わずかながらでも地域医療の崩壊に歯止めをかける点数設定、運用を期待したい。

2026年3月3日

  

※1:2025年10月27日 第120回社会保障審議会医療部会「医療法人の経営状況(R7.7月末時点)

  

第一線医療の士気を削ぐ告示案に抗議

真に医療機関の窮状打開となる診療報酬改定を求める


神奈川県保険医協会

理事長  田辺 由紀夫

医療運動部会長  二村 哲

 


 

 2026年度診療報酬改定率は本体プラス3.09%、薬価等マイナス0.87%、全体で2.22%のプラス改定で決着し、本体は30年ぶりの3%台となった。しかし賃上げ分1.70%、物価対応分0.76%、過去の経営悪化分0.44%など多くの使途が限定され、医療の充実分(通常改定分)は僅か0.25%と、前回改定での 0.18%と変わらない。また在宅医療の適正化等でマイナス0.15%とされ、主に内科診療所へのダメージは大きい。
これでは地域医療の第一線を担う診療所は、確実に衰退する。間近に控える正式告示や運用通知による診療所の窮状打開を強く求める。

 2026年2月13日には中医協による答申がなされ、点数告示案が示された。プラス改定の配分・内訳から想像できた部分もあるが、それでも実際の点数配分の衝撃は大きい。医科の初診料は据え置き、再診料は僅か1点のプラス、歯科の初診料は5点アップしたが再診料は医科同様に1点のプラス、歯科の汎用点数である歯科疾患管理料は10点マイナスとなった。24年度の無床診療所の法人経常利益の最頻値は0.0%~1.0%、医業収支は4割が赤字であり※1、過去の経営悪化分の補填としてはあまりにも不十分である。

 物価対応料は病院への比重が高いとされていたが、医科診療所は初・再診で僅か2点(27年6月から4点)、歯科は初診3点(同6点)、再診1点(同2点)と、この間の光熱水費や検体集配費用等の物価上昇に対応できる水準ではない。これら僅かなプラスも、一般名処方加算のマイナス2点でほぼ帳消しとなる。

 本体改定率の半分以上が賃上げ分とされ、ベースアップ評価料が大幅に引き上げられた。これは全て従業員に還元されるものであり、そもそもあらゆる原資のない状況下で医院経営の安定や設備投資等には一切使用できない。当然ながら、医療従事者の賃上げは必要不可欠だが、診療所の当該点数の届出は5割にも届いておらず、本来は基本診療料の大幅引き上げで担保すべきである。

 また医療DX関連の加算が再編され、電子処方箋の発行体制や電磁的な診療情報の共有・活用体制の有無で点数が変わることになった。これら診療報酬以外にも、オンライン資格確認やマイナ保険証への一本化が進められ、さらには電子カルテの義務化方針が打ち出されるなど、医療行為と直接関係のない分野での変革が続いている。当会には「これからのデジタル化、保険改定についてゆくことができず、閉院することといたしました」と、閉院を決断した会員もいる。

 これらの状況を踏まえ、2月26日の当会理事会では、今後の医院経営への悪影響を危惧する声が出された。近年は改定の都度、使途が限りなく限定され、いつでも診療報酬の引き剥がしができる建付け・設計とされている。医院経営の裁量権が実質奪われており、医療機関の経営安定とは程遠い改定が続いている。

 地域医療は、当然ながら病院だけでは成り立たない。初診患者の8割、外来患者の7割を診る診療所が、病院と連携しながら医療全体を支えている。今回の告示案では、第一線の医療を担う診療所の士気を削ぎ、近い将来地域医療の崩壊につながっていく。正式告示や運用通知が今後控えているが、わずかながらでも地域医療の崩壊に歯止めをかける点数設定、運用を期待したい。

2026年3月3日

  

※1:2025年10月27日 第120回社会保障審議会医療部会「医療法人の経営状況(R7.7月末時点)