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高額療養費制度ってなに 負担上限が上がるとどうなるの?

medical_nyuuin_money_shinpai_man.png 高額療養費制度は、医療費が高額になったとき、自己負担が一定の上限までに抑えられる仕組みです。たとえば、手術や入院でひと月の医療費が100万円かかった場合、自己負担3割の方では30万円がかかることになります。しかし高額療養費制度の下では、例えば年収約370万円~約770万円であれば、自己負担の上限額は8万円とちょっとに抑えられ、上限額を超えた21万円ほどは公的保険から支払われます。

 高額療養費制度のおかげで、「お金が心配で治療をあきらめる」という事態を防ぐことができるため、医療へのアクセスを実質的に保障する仕組み、医療保険の中でもとりわけ重要な「最後の安心装置」です。

 

 今政府は高額療養費の負担上限額を増やす改革を進めようとしています。医療経済学者の二木立氏(日本福祉大学名誉教授)は、「すでに多額の自己負担をしている高額療養費制度利用患者のみの負担を大幅に増やし、健康な人を含めた医療保険加入者の保険料負担をわずかに減らすという『最悪のコストシフティング』」であると指摘します。また日本の国民皆保険制度を日本社会の統合を維持するための"最後の砦"と評し、国民皆保険制度の機能低下によって、社会が壊れることを危惧。高所得者を狙い撃ちにした保険料と窓口負担の二重の高額負担は医療保険制度への不信を生むと共に、負担が比較的少ない低所得者へ等への差別意識を生み、 "社会連帯"を弱め、分断を促進する―と警鐘を鳴らしています。[1]

 

 もし自己負担上限が大きく引き上げられれば、重い病気にかかったとき家計が直撃され、生活の不安が広がります。この制度は単なる払い戻しの仕組みではなく、今病気やけがをしていない方にとっても、年配の方や若い方にとっても、誰もが安心して治療を受けられる社会を守る基盤です。

 わずかな保険料負担の軽減のために失ってはいけない、大切な制度と言えるのではないでしょうか。

 


 

[1] 二木立 . 国民皆保険制度の現状と改革課題―高額療養費制度の見直しの問題点にも触れながら― . 月刊/保険診療 . 20261月号 ,通巻1629p.42-44

 

medical_nyuuin_money_shinpai_man.png 高額療養費制度は、医療費が高額になったとき、自己負担が一定の上限までに抑えられる仕組みです。たとえば、手術や入院でひと月の医療費が100万円かかった場合、自己負担3割の方では30万円がかかることになります。しかし高額療養費制度の下では、例えば年収約370万円~約770万円であれば、自己負担の上限額は8万円とちょっとに抑えられ、上限額を超えた21万円ほどは公的保険から支払われます。

 高額療養費制度のおかげで、「お金が心配で治療をあきらめる」という事態を防ぐことができるため、医療へのアクセスを実質的に保障する仕組み、医療保険の中でもとりわけ重要な「最後の安心装置」です。

 

 今政府は高額療養費の負担上限額を増やす改革を進めようとしています。医療経済学者の二木立氏(日本福祉大学名誉教授)は、「すでに多額の自己負担をしている高額療養費制度利用患者のみの負担を大幅に増やし、健康な人を含めた医療保険加入者の保険料負担をわずかに減らすという『最悪のコストシフティング』」であると指摘します。また日本の国民皆保険制度を日本社会の統合を維持するための"最後の砦"と評し、国民皆保険制度の機能低下によって、社会が壊れることを危惧。高所得者を狙い撃ちにした保険料と窓口負担の二重の高額負担は医療保険制度への不信を生むと共に、負担が比較的少ない低所得者へ等への差別意識を生み、 "社会連帯"を弱め、分断を促進する―と警鐘を鳴らしています。[1]

 

 もし自己負担上限が大きく引き上げられれば、重い病気にかかったとき家計が直撃され、生活の不安が広がります。この制度は単なる払い戻しの仕組みではなく、今病気やけがをしていない方にとっても、年配の方や若い方にとっても、誰もが安心して治療を受けられる社会を守る基盤です。

 わずかな保険料負担の軽減のために失ってはいけない、大切な制度と言えるのではないでしょうか。

 


 

[1] 二木立 . 国民皆保険制度の現状と改革課題―高額療養費制度の見直しの問題点にも触れながら― . 月刊/保険診療 . 20261月号 ,通巻1629p.42-44