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マイナンバーは百害あって一利なし 医院経営セミナーを開催しました

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 神奈川県保険医協会・税対経営部は2015年6月30日、「マイナンバー制度の実務的対応」をテーマに医院経営セミナーを開催。講師に馬車道法律事務所の小賀坂徹氏を迎え、10月以降に郵送される「通知カード」に記載されるマイナンバーの具体的な対処法を解説、101名が参加しました。

 

 はじめに、2016年1月から運用開始されるマイナンバー制度の概要を解説。10月以降、住民票のあるすべての国民と在留外国人に「通知カード」(12桁の個人番号が記載)と「個人番号カード交付申請書」が送付される。「通知カード」だけでは本人確認ができないため、行政や事業者等が個人番号の提供を受ける際には、身元確認が必要になると説明。

 

 次に、政府が掲げる同制度のメリット、(1)国民の利便性の向上、(2)行政の効率化、(3)公平・公正な社会の実現―について、氏は「これらの利便性に対し、個人情報を国家に一元管理され、自らの意思と無関係に重要な個人情報が政府に把握される」と、その危険性を指摘しました。また、内閣府ホームページのマイナンバー取扱い事業者向け動画を上映し、「事業者にとってメリットは少なく、個人情報管理上の非常に重い責任だけが課せられる」と指弾しました。

 

 続いて、院長としてマイナンバー制度の具体的な対応を4項目に分け、(1)<従業員からの個人番号の取得>事業者は給与所得の源泉徴収票の作成等で、マイナンバー関係の事務を行うために、まず利用目的を周知した上で、従業員から個人番号を「通知カード」で確認。さらに身分証明(運転免許証等)で本人確認を行う。また、従業員が扶養控除の対象となる場合、扶養親族の個人番号も収集することになる。この場合は、扶養親族の本人確認は、当該従業員が行う。(2)<利用・提供>マイナンバーは法律が定めた範囲内でのみ利用することができ、それ以外は利用できない。医療機関では院長本人と従業員等の社会保障・税に関する手続書類の役所等への提出に必要。(3)<保管・廃棄>法令で定められた保管期間(税関係は7年)を経過した場合、速やかに該当者の個人番号廃棄又は削除しなければならない。廃棄の方法は、焼却、溶解、シュレッダーなど復元不可能な手段が必要。(4)<安全管理措置>安全に管理するために、(1)基本方針の策定、(2)取扱規定等の策定、(3)組織的安全管理措置(組織体制の整備・運用、情報漏洩事案に対する整備)、(4)人的安全管理措置(取扱事務担当者の教育・監督)、(5)物理的安全管理措置(管理区域の明確化と入退室管理、持ち込み機器の制限、キャビネットの設置・施錠)、(6)技術的安全管理措置(事務取扱者の識別ID・パスワードなど外部の不正アクセス防止措置)等、具体的な安全管理措置が必要-と解説しました。

 

 医療情報は、マイナンバー法の審議段階で対象範囲から除外されていたが、今国会に提出された改定法案で、「預貯金口座」、「特定健診情報」、「予防接種履歴」を対象に追加することが提案されおり、法案が成立した場合、特定健診の受診者の個人番号の収集、記載、管理等の責務が求められる可能性もあり、一層高い個人情報管理体制を強要されかねないと指摘しました。

 

 最後に、これほど重大な内容であるにもかかわらず、国民の理解がほとんど進んでいない中で年金情報

流出もあり、対象範囲の拡大は「百害あって一利なし。恐ろしいとしか言いようがない」と締めくくりました。

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 神奈川県保険医協会・税対経営部は2015年6月30日、「マイナンバー制度の実務的対応」をテーマに医院経営セミナーを開催。講師に馬車道法律事務所の小賀坂徹氏を迎え、10月以降に郵送される「通知カード」に記載されるマイナンバーの具体的な対処法を解説、101名が参加しました。

 

 はじめに、2016年1月から運用開始されるマイナンバー制度の概要を解説。10月以降、住民票のあるすべての国民と在留外国人に「通知カード」(12桁の個人番号が記載)と「個人番号カード交付申請書」が送付される。「通知カード」だけでは本人確認ができないため、行政や事業者等が個人番号の提供を受ける際には、身元確認が必要になると説明。

 

 次に、政府が掲げる同制度のメリット、(1)国民の利便性の向上、(2)行政の効率化、(3)公平・公正な社会の実現―について、氏は「これらの利便性に対し、個人情報を国家に一元管理され、自らの意思と無関係に重要な個人情報が政府に把握される」と、その危険性を指摘しました。また、内閣府ホームページのマイナンバー取扱い事業者向け動画を上映し、「事業者にとってメリットは少なく、個人情報管理上の非常に重い責任だけが課せられる」と指弾しました。

 

 続いて、院長としてマイナンバー制度の具体的な対応を4項目に分け、(1)<従業員からの個人番号の取得>事業者は給与所得の源泉徴収票の作成等で、マイナンバー関係の事務を行うために、まず利用目的を周知した上で、従業員から個人番号を「通知カード」で確認。さらに身分証明(運転免許証等)で本人確認を行う。また、従業員が扶養控除の対象となる場合、扶養親族の個人番号も収集することになる。この場合は、扶養親族の本人確認は、当該従業員が行う。(2)<利用・提供>マイナンバーは法律が定めた範囲内でのみ利用することができ、それ以外は利用できない。医療機関では院長本人と従業員等の社会保障・税に関する手続書類の役所等への提出に必要。(3)<保管・廃棄>法令で定められた保管期間(税関係は7年)を経過した場合、速やかに該当者の個人番号廃棄又は削除しなければならない。廃棄の方法は、焼却、溶解、シュレッダーなど復元不可能な手段が必要。(4)<安全管理措置>安全に管理するために、(1)基本方針の策定、(2)取扱規定等の策定、(3)組織的安全管理措置(組織体制の整備・運用、情報漏洩事案に対する整備)、(4)人的安全管理措置(取扱事務担当者の教育・監督)、(5)物理的安全管理措置(管理区域の明確化と入退室管理、持ち込み機器の制限、キャビネットの設置・施錠)、(6)技術的安全管理措置(事務取扱者の識別ID・パスワードなど外部の不正アクセス防止措置)等、具体的な安全管理措置が必要-と解説しました。

 

 医療情報は、マイナンバー法の審議段階で対象範囲から除外されていたが、今国会に提出された改定法案で、「預貯金口座」、「特定健診情報」、「予防接種履歴」を対象に追加することが提案されおり、法案が成立した場合、特定健診の受診者の個人番号の収集、記載、管理等の責務が求められる可能性もあり、一層高い個人情報管理体制を強要されかねないと指摘しました。

 

 最後に、これほど重大な内容であるにもかかわらず、国民の理解がほとんど進んでいない中で年金情報

流出もあり、対象範囲の拡大は「百害あって一利なし。恐ろしいとしか言いようがない」と締めくくりました。