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医療機関の現状―神奈川県保険医新聞「物価高騰と地域医療」に寄せられた声

物価・経済動向、人件費増など医療機関をめぐる様々な状況の中、地域の開業医が経営する医院経営はどうなっているのか。神奈川県保険医新聞「物価高騰と地域医療」に寄せられた会員医療機関の声をご紹介します。

 

 

金属代・人件費・オン資導入  途方に暮れる経費増
個人年金取り崩しでしのぐ

 

【県内の歯科医院の声】

 歯科医院を開業して26年経った。最初の2~3年は患者数が少なく経営が大変だったが、経費を抑えて収入を上げる努力をして経営を安定化させることができた。暫くは経営に特別な困難はなかった。そのうち私も高齢になり、医院も老朽化し、新しい歯科医院が周りに乱立し、患者数は少しずつ減り、収入も減ったが、何とか対応してきた。しかし、昨今の歯科材料費、光熱費、家賃、人件費等の高騰で、節約しても経費はどんどんかかるようになり、危機感を覚えている。最近は個人年金を取り崩したりしてしのぐ有り様だ。私が若ければ最新治療をどんどん取り入れることも考えられるが、それにしても最新設備を揃える貯蓄もない。そろそろ潮時かもと考えることもある。
 経費増大の顕著な事例をいくつか挙げたい。歯科で使う金属代が極端に上がり、原価割れが生じている。歯科金属を買うと、経費の関係で他の材料を買えなくなり、治療内容にも影響している。
 オンライン資格確認の導入も堪えた。導入の補助金はあったが、ネット環境を整える等の事前準備にかなりの額がかかり、結局数十万の自己投資が必要だった。ランニングコストも毎月1万数千円かかる。そしてオンライン請求の義務化。これもお金がかかった。今度はWindows10のサポート終了に伴い、レセコン自体を交換しなければならないと、ベンダーから告知された。約200万円かかると言われ、途方に暮れている。
 人件費増大も大きな痛手だ。社会としては良いことなのかもしれないが、63円という神奈川の最低賃金の上げ幅は当院では安く見積もっても年間25万円の増加になる。公定価格の診療報酬は勝手に値上げできない。ベースアップ評価料は縛りが多く、定期報告等の手続きが煩雑。私の能力ではやりきれず、算定は諦めた。なぜ基本診療料に加算しないのか理解に苦しむ。
 当院は最新設備、最新治療を行っているわけではない。しかし「当院以外の歯科医院には行けない」と仰る患者さんもそれなりにいる。有難いことです。もちろん、地域の医院にはそれぞれに健康管理を預ける患者さんがいらっしゃるのだろう。しかし昨今の物価高騰や人件費増加等の波にもまれ、閉院せざるを得ない医院は既に増えている。その医院を頼りにしている患者さんが一番困るのではないか。
 国は何を守るべきか。医療、介護、福祉、これらをしっかり守ることが、国としての基盤を強固にするのではないか。
 保険医協会は、これらをぶれずに主張していくべきだと考える。

 神奈川県保険医新聞 2025年10月15日号に掲載

 

 

 

物価・経済動向、人件費増など医療機関をめぐる様々な状況の中、地域の開業医が経営する医院経営はどうなっているのか。神奈川県保険医新聞「物価高騰と地域医療」に寄せられた会員医療機関の声をご紹介します。

 

 

金属代・人件費・オン資導入  途方に暮れる経費増
個人年金取り崩しでしのぐ

 

【県内の歯科医院の声】

 歯科医院を開業して26年経った。最初の2~3年は患者数が少なく経営が大変だったが、経費を抑えて収入を上げる努力をして経営を安定化させることができた。暫くは経営に特別な困難はなかった。そのうち私も高齢になり、医院も老朽化し、新しい歯科医院が周りに乱立し、患者数は少しずつ減り、収入も減ったが、何とか対応してきた。しかし、昨今の歯科材料費、光熱費、家賃、人件費等の高騰で、節約しても経費はどんどんかかるようになり、危機感を覚えている。最近は個人年金を取り崩したりしてしのぐ有り様だ。私が若ければ最新治療をどんどん取り入れることも考えられるが、それにしても最新設備を揃える貯蓄もない。そろそろ潮時かもと考えることもある。
 経費増大の顕著な事例をいくつか挙げたい。歯科で使う金属代が極端に上がり、原価割れが生じている。歯科金属を買うと、経費の関係で他の材料を買えなくなり、治療内容にも影響している。
 オンライン資格確認の導入も堪えた。導入の補助金はあったが、ネット環境を整える等の事前準備にかなりの額がかかり、結局数十万の自己投資が必要だった。ランニングコストも毎月1万数千円かかる。そしてオンライン請求の義務化。これもお金がかかった。今度はWindows10のサポート終了に伴い、レセコン自体を交換しなければならないと、ベンダーから告知された。約200万円かかると言われ、途方に暮れている。
 人件費増大も大きな痛手だ。社会としては良いことなのかもしれないが、63円という神奈川の最低賃金の上げ幅は当院では安く見積もっても年間25万円の増加になる。公定価格の診療報酬は勝手に値上げできない。ベースアップ評価料は縛りが多く、定期報告等の手続きが煩雑。私の能力ではやりきれず、算定は諦めた。なぜ基本診療料に加算しないのか理解に苦しむ。
 当院は最新設備、最新治療を行っているわけではない。しかし「当院以外の歯科医院には行けない」と仰る患者さんもそれなりにいる。有難いことです。もちろん、地域の医院にはそれぞれに健康管理を預ける患者さんがいらっしゃるのだろう。しかし昨今の物価高騰や人件費増加等の波にもまれ、閉院せざるを得ない医院は既に増えている。その医院を頼りにしている患者さんが一番困るのではないか。
 国は何を守るべきか。医療、介護、福祉、これらをしっかり守ることが、国としての基盤を強固にするのではないか。
 保険医協会は、これらをぶれずに主張していくべきだと考える。

 神奈川県保険医新聞 2025年10月15日号に掲載