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混合診療問題ニュース26 「厚労省いい加減 リハビリ問題 解釈一転」

厚労省いい加減 リハビリ問題 解釈一転

消炎鎮痛処置で、継続可能?!維持期リハは自由診療にも該当せず??

 リハビリの日数上限打ち切り問題について、給付日数上限を超えたリハビリの医療現場での取り扱いについて、また不可思議「解釈」が厚労省から示された。11月22日に医療課のリハビリ担当から当協会が得た「自費診療に移行」について、11月28日に保険局医療課企画法令係長に再確認をしたところ、「日数上限を超えたリハビリは消炎鎮痛処置で算定」と、全く別の回答をした。 

 また企画法令係長は、1)再診料と外来管理加算あるいは消炎鎮痛処置で算定をし保険診療の継続は可能、2)リハビリを実施し消炎鎮痛処置での算定は「不正請求」にあたらない、3)日数上限を超えた「維持期リハビリ」は介護保険の対象と整理した、4)「維持期リハビリ」を医療現場で実施した場合は自費徴収が可能、5)これは「療養の給付」、混合診療ルールに抵触しない、6)なぜなら維持期リハビリは「自由診療」にはあたらないからだ―と回答した。

 医療を行ない自費で料金を徴収する場合に「自由診療」となるが、これにあたらないとする解釈は、「維持期リハビリ」は医療ではないと言っているのと同じ。この点について質すと、「医療の定義を言う立場ではなく、定かではない」と係長は言及を避けた。

 

厚労省医療課、見解不統一?猫の目解釈?

 この問題の発端は11月10日の水田保険局長の国会答弁。日数上限を超えたリハは自由診療に切り替わる旨の、健保法を無視した見解を示した。この件について医療課は「厚労省の統一見解」として11月22日、1)日数上限以降のリハビリは自費に切り替わる、2)リハビリを実施し再診料のみの算定で保険診療を継続することは不可、3)日数上限で保険診療は終了、4)高血圧など別の疾患の治療は保険診療で継続は可能、5)同一日に自費のリハビリと別疾患の保険診療を行なうことは不可、6)自費と保険の実施日が違えばOKと回答していた。

 

理解不能、企画法令係長の解釈 

 企画法令係長は、電話による質疑応答の中で、制限日数を超えたリハビリを、1)消炎鎮痛処置等で保険診療を継続することもできるし、自費徴収で行なうこともできる、2)別疾患の治療を保険診療で行い、同日に行なったリハビリを自費徴収することも、別の日に自費徴収するのも法的に問題がない―と回答。

 保険診療で行なえるものを自費料金で行えば、当然「自由診療」となり、上記の例は混合診療のルールに触れ、従来は法的に問題となってきている。

 また係長は、健保法第55条の「給付調整」を度々、引き合いにだし「維持期リハビリは介護保険で給付すると整理された」「医療保険の対象ではない」と強弁。通常この種類の調整は、具体的取り決めや項目を周知する「給付調整通知」で明示するのだが、この点を質すと「通知は出していない」と返答した。

 更に、回数超リハビリの自費徴収と医療保険の混合を認めた、保険外併用療養費の仕組みで、まがりなりにも法的矛盾を解消しないのは何故かとの問いに対し明言を避けている。

 尚、これらについて何らかの通知を出す可能性を示唆した。

 

消炎鎮痛の算定も疑念は晴れず 赤字必至

 今回、消炎鎮痛処置か、外来管理加算での算定について、企画法令係長から不正請求にあたらないとの“お墨付き”回答を得たが、代替請求として個別指導でペナルティーを与えられる可能性を現場感覚としては否定できない。過去に類似事例があるからだ。また、そもそも1日1,800円でやっていたリハビリを350円と1/5の費用の処置での算定は経営的には継続困難。医療の質や安全、安心には適正な費用の下支えがないと無理である事実を無視した内容だ。

 

県内 脳血管疾患のリハビリ中止1,756名

 当協会では、厚労省基準で脳血管疾患リハビリを実施する県内の医療機関、66施設を対象に、日数上限によるリハビリの中止患者に関する調査を10月末から実施。現在までに1,756名が中止となっていることが明らかとなっている。この数字は全国でもっとも多い。そのうち、そもそも介護保険の対象とならない40歳未満の中止患者が40名を含んでいる。このほか、心大血管疾患、呼吸器疾患、運動器疾患のリハビリ中止患者も多数おり、問題は深刻。一刻も早い、日数上限の撤廃、維持期リハビリの診療報酬での評価が切望される。

 (2006年11月30日)

厚労省いい加減 リハビリ問題 解釈一転

消炎鎮痛処置で、継続可能?!維持期リハは自由診療にも該当せず??

 リハビリの日数上限打ち切り問題について、給付日数上限を超えたリハビリの医療現場での取り扱いについて、また不可思議「解釈」が厚労省から示された。11月22日に医療課のリハビリ担当から当協会が得た「自費診療に移行」について、11月28日に保険局医療課企画法令係長に再確認をしたところ、「日数上限を超えたリハビリは消炎鎮痛処置で算定」と、全く別の回答をした。 

 また企画法令係長は、1)再診料と外来管理加算あるいは消炎鎮痛処置で算定をし保険診療の継続は可能、2)リハビリを実施し消炎鎮痛処置での算定は「不正請求」にあたらない、3)日数上限を超えた「維持期リハビリ」は介護保険の対象と整理した、4)「維持期リハビリ」を医療現場で実施した場合は自費徴収が可能、5)これは「療養の給付」、混合診療ルールに抵触しない、6)なぜなら維持期リハビリは「自由診療」にはあたらないからだ―と回答した。

 医療を行ない自費で料金を徴収する場合に「自由診療」となるが、これにあたらないとする解釈は、「維持期リハビリ」は医療ではないと言っているのと同じ。この点について質すと、「医療の定義を言う立場ではなく、定かではない」と係長は言及を避けた。

 

厚労省医療課、見解不統一?猫の目解釈?

 この問題の発端は11月10日の水田保険局長の国会答弁。日数上限を超えたリハは自由診療に切り替わる旨の、健保法を無視した見解を示した。この件について医療課は「厚労省の統一見解」として11月22日、1)日数上限以降のリハビリは自費に切り替わる、2)リハビリを実施し再診料のみの算定で保険診療を継続することは不可、3)日数上限で保険診療は終了、4)高血圧など別の疾患の治療は保険診療で継続は可能、5)同一日に自費のリハビリと別疾患の保険診療を行なうことは不可、6)自費と保険の実施日が違えばOKと回答していた。

 

理解不能、企画法令係長の解釈 

 企画法令係長は、電話による質疑応答の中で、制限日数を超えたリハビリを、1)消炎鎮痛処置等で保険診療を継続することもできるし、自費徴収で行なうこともできる、2)別疾患の治療を保険診療で行い、同日に行なったリハビリを自費徴収することも、別の日に自費徴収するのも法的に問題がない―と回答。

 保険診療で行なえるものを自費料金で行えば、当然「自由診療」となり、上記の例は混合診療のルールに触れ、従来は法的に問題となってきている。

 また係長は、健保法第55条の「給付調整」を度々、引き合いにだし「維持期リハビリは介護保険で給付すると整理された」「医療保険の対象ではない」と強弁。通常この種類の調整は、具体的取り決めや項目を周知する「給付調整通知」で明示するのだが、この点を質すと「通知は出していない」と返答した。

 更に、回数超リハビリの自費徴収と医療保険の混合を認めた、保険外併用療養費の仕組みで、まがりなりにも法的矛盾を解消しないのは何故かとの問いに対し明言を避けている。

 尚、これらについて何らかの通知を出す可能性を示唆した。

 

消炎鎮痛の算定も疑念は晴れず 赤字必至

 今回、消炎鎮痛処置か、外来管理加算での算定について、企画法令係長から不正請求にあたらないとの“お墨付き”回答を得たが、代替請求として個別指導でペナルティーを与えられる可能性を現場感覚としては否定できない。過去に類似事例があるからだ。また、そもそも1日1,800円でやっていたリハビリを350円と1/5の費用の処置での算定は経営的には継続困難。医療の質や安全、安心には適正な費用の下支えがないと無理である事実を無視した内容だ。

 

県内 脳血管疾患のリハビリ中止1,756名

 当協会では、厚労省基準で脳血管疾患リハビリを実施する県内の医療機関、66施設を対象に、日数上限によるリハビリの中止患者に関する調査を10月末から実施。現在までに1,756名が中止となっていることが明らかとなっている。この数字は全国でもっとも多い。そのうち、そもそも介護保険の対象とならない40歳未満の中止患者が40名を含んでいる。このほか、心大血管疾患、呼吸器疾患、運動器疾患のリハビリ中止患者も多数おり、問題は深刻。一刻も早い、日数上限の撤廃、維持期リハビリの診療報酬での評価が切望される。

 (2006年11月30日)