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混合診療問題ニュース18 「協会 医療特区問題で厚労省と懇談」

安全性の確認、専門家の非公式な意見だけ!

臨床データの提出はなし!バ社の作業マニュアルのみ

 協会は8月19日、医療特区での株式会社の診療所開設に“同意”を与えた厚労省の医政局と約1時間、懇談をした。当日は協会から役員2名と事務局が赴き、厚労省からは野崎・医政局総務課企画法令係長が対応した。

 懇談では、1)バイオマスター社から再生医療技術(脂肪由来幹細胞の応用)の23例の臨床データは厚労省に提出されていないこと、2)安全性・倫理性の確認について厚労省は、非公式に複数の有識者に意見を聴取した、3)その際、バ社から提出のあった標準作業手順書(マニュアル)を提示し、試薬の一覧など危険性を確認するほどではないので安全と判断した、4)厚労省の“同意”にあたり、具体的な定めはない、などが明らかになった。

 

少ない症例で、国のお墨付き?

医療特区は、実験医療の“隠れ蓑”

 協会からは、1)バ社との懇談で自ら「診療所は不採算」とし、脂肪由来幹細胞の分離・培養の機器やノウハウ提供、特許取得で利益をあげようとしていること、2)症例数23例で安全性を判断することに疑問符がつくこと、3)これまでの日本の医療は技術・医薬品の進歩を医療保険に導入するため膨大な費用と時間を、その安全性や有効性を確認のために費やしてきていること―を挙げ、今回の医療特区方式がまかり通れば、医療特区を“隠れ蓑”にし、少ない症例実績で安全性が国に確認され、しかも自由診療で“人体実験”をしながら利益を得ることが可能となると指摘。

 更には、米国が日本政府に対し、医療特区を先端医療に限定しないことや、医療保険(高度先進医療)への株式会社の参入を公式に求めていることを示し、ゆくゆくは、この医療特区方式により、先進的な技術や医薬品が自由診療に置き去りにされ、医療保険の空洞化に連動する危険性が高いと説いた。

 

厚労省 「今後も慎重姿勢は崩さない」

 重ねて協会より、1)厚労省内に倫理審査委員会を設置し特区申請のあった先端医療を監視下に置くこと、2)医療保険の共同指導にならい、厚労省主導で医療監視を実施すること、3)明らかになっていない臨床データの公開、4)バ社の医療に関し、事故・副作用や反倫理性が判明した時点で、速やかに内閣府に意見具申すること―を求めた。厚労省は、1)は自由裁量権の否定に連動するとし、2)は過度な行政介入への批判を免れないと、各々難色を示した。

 今回の懇談では、神奈川県の特区申請の前に、バ社の再生医療の安全性を厚労省は事前確認していないこと、単なる相談程度の話しかしていないことも判明。

 更には、特区申請後に、初めて厚労省から安全性確認のためバ社に資料提出を求めたこと、バ社からの提出書類は、1)試薬の一覧などが記してある再生医療技術の標準作業手順書(マニュアル)と、2)技術一般の説明書類であり、そこには症例総数、副作用・事故の有無、臨床試験後の期間などが記されているだけで、焦点の23例個々の症例内容や臨床データは求めていないことが明らかになった。

 また、安全性・倫理性の同意について、法令上、具体的な定めがないため、高度先進医療の有識者など非公式に意見を聞き、否定するだけの「危険性が確認されない」と判断し同意した。今後の確認方法は案件により別の形式もあると述べた。

 厚労省は、株式会社の危険性は十分承知している、医療保険への参入は反対であり、「今後も株式会社の医療参入については慎重であり続ける」、10も20も全国各地で医療特区の申請がでたら、「ゼロベースからの論議となる」と述べた。

 

次々と覆る県・バ社の発言!

 今回の懇談でバ社や神奈川県がこれまで述べていた、臨床データの提出は虚偽であること、安全性の確認は極めて問題が多いことが、より一層はっきりとした。

 協会は8月1日、神奈川県に対し、医療特区申請にあたり、内閣府に提出した資料を情報公開条例に基づき請求した。8月16日に開示された資料では、バイオマスターの美容外科医療の安全性・倫理性の確認に関する書類は一切なく、文言も一切ないことが判明した。県商工労働部は、形式要件として提出は求められていない、と答えている。

 協会は8月12日に、追加の情報開示請求をし、1)安全性・倫理性を神奈川県が確認したバ社提出の資料と、判断の尺度とした資料、2)バ社が医療特区での診療所開設にあたり神奈川県に提出した一切の資料、を求めている。

  (2005年8月27日)

 

安全性の確認、専門家の非公式な意見だけ!

臨床データの提出はなし!バ社の作業マニュアルのみ

 協会は8月19日、医療特区での株式会社の診療所開設に“同意”を与えた厚労省の医政局と約1時間、懇談をした。当日は協会から役員2名と事務局が赴き、厚労省からは野崎・医政局総務課企画法令係長が対応した。

 懇談では、1)バイオマスター社から再生医療技術(脂肪由来幹細胞の応用)の23例の臨床データは厚労省に提出されていないこと、2)安全性・倫理性の確認について厚労省は、非公式に複数の有識者に意見を聴取した、3)その際、バ社から提出のあった標準作業手順書(マニュアル)を提示し、試薬の一覧など危険性を確認するほどではないので安全と判断した、4)厚労省の“同意”にあたり、具体的な定めはない、などが明らかになった。

 

少ない症例で、国のお墨付き?

医療特区は、実験医療の“隠れ蓑”

 協会からは、1)バ社との懇談で自ら「診療所は不採算」とし、脂肪由来幹細胞の分離・培養の機器やノウハウ提供、特許取得で利益をあげようとしていること、2)症例数23例で安全性を判断することに疑問符がつくこと、3)これまでの日本の医療は技術・医薬品の進歩を医療保険に導入するため膨大な費用と時間を、その安全性や有効性を確認のために費やしてきていること―を挙げ、今回の医療特区方式がまかり通れば、医療特区を“隠れ蓑”にし、少ない症例実績で安全性が国に確認され、しかも自由診療で“人体実験”をしながら利益を得ることが可能となると指摘。

 更には、米国が日本政府に対し、医療特区を先端医療に限定しないことや、医療保険(高度先進医療)への株式会社の参入を公式に求めていることを示し、ゆくゆくは、この医療特区方式により、先進的な技術や医薬品が自由診療に置き去りにされ、医療保険の空洞化に連動する危険性が高いと説いた。

 

厚労省 「今後も慎重姿勢は崩さない」

 重ねて協会より、1)厚労省内に倫理審査委員会を設置し特区申請のあった先端医療を監視下に置くこと、2)医療保険の共同指導にならい、厚労省主導で医療監視を実施すること、3)明らかになっていない臨床データの公開、4)バ社の医療に関し、事故・副作用や反倫理性が判明した時点で、速やかに内閣府に意見具申すること―を求めた。厚労省は、1)は自由裁量権の否定に連動するとし、2)は過度な行政介入への批判を免れないと、各々難色を示した。

 今回の懇談では、神奈川県の特区申請の前に、バ社の再生医療の安全性を厚労省は事前確認していないこと、単なる相談程度の話しかしていないことも判明。

 更には、特区申請後に、初めて厚労省から安全性確認のためバ社に資料提出を求めたこと、バ社からの提出書類は、1)試薬の一覧などが記してある再生医療技術の標準作業手順書(マニュアル)と、2)技術一般の説明書類であり、そこには症例総数、副作用・事故の有無、臨床試験後の期間などが記されているだけで、焦点の23例個々の症例内容や臨床データは求めていないことが明らかになった。

 また、安全性・倫理性の同意について、法令上、具体的な定めがないため、高度先進医療の有識者など非公式に意見を聞き、否定するだけの「危険性が確認されない」と判断し同意した。今後の確認方法は案件により別の形式もあると述べた。

 厚労省は、株式会社の危険性は十分承知している、医療保険への参入は反対であり、「今後も株式会社の医療参入については慎重であり続ける」、10も20も全国各地で医療特区の申請がでたら、「ゼロベースからの論議となる」と述べた。

 

次々と覆る県・バ社の発言!

 今回の懇談でバ社や神奈川県がこれまで述べていた、臨床データの提出は虚偽であること、安全性の確認は極めて問題が多いことが、より一層はっきりとした。

 協会は8月1日、神奈川県に対し、医療特区申請にあたり、内閣府に提出した資料を情報公開条例に基づき請求した。8月16日に開示された資料では、バイオマスターの美容外科医療の安全性・倫理性の確認に関する書類は一切なく、文言も一切ないことが判明した。県商工労働部は、形式要件として提出は求められていない、と答えている。

 協会は8月12日に、追加の情報開示請求をし、1)安全性・倫理性を神奈川県が確認したバ社提出の資料と、判断の尺度とした資料、2)バ社が医療特区での診療所開設にあたり神奈川県に提出した一切の資料、を求めている。

  (2005年8月27日)