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混合診療問題ニュース15 「がんの検査・リハビリなど28項目 混合診療へ」

「回数制限+自費」方式 6/29中医協で論議

患者要望で選択可能と結論!? 無条件の実施を提案 

 6月15日、中医協診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会は、医療保険で制限回数がある診療行為に関し、制限回数を超える部分について混合診療(=「保険給付との併用」)の対象とする28項目を選別。6月29日の中医協基本問題小委員会に報告書を上げることを確認した。選別された項目は腫瘍マーカー(がんの検査)、細菌培養同定検査など、臨床現場での汎用検査や、リハビリテーション、精神科専門療法など(右表参照)。尚、この間、検討対象とされていたHbA1c(糖尿病の検査)や眼底検査、人工透析、在宅医療、手術の自動縫合器など113項目は「患者要望よりも医療上の必要性の観点が優先され実施される蓋然性が高く引き続き審議すべき項目」と分類。ヘリコバクターピロリの除菌は「現時点では、制限回数を超える場合に悪影響が懸念される項目」と分類された。

 また、これら混合診療を認める項目には、必要な要件・条件はつけず、今後も患者要望を定期的にフォローアップし対象拡大を検討するとしている。

 

回数制限、超過部分の自費化は規定路線  給付削減の“新たな武器”

 この間、制限回数のある医療行為は、審議のたびに類型名目と類型項目が二転、三転。今回の類別に落ち着き28項目を患者要望に基づく混合診療の対象とした。しかしながら、上記に見るようにHbA1cなど113項目は「医療上の必要性から実施される」としており、制限回数そのものが医療上の必要性を無視していることを、厚労省みずからが認めている。患者要望に基づくといっても、医療上、必要なものは実施するが、必要ないものは医療機関で実施する道理はなく、これも矛盾している。もともと、この制限回数という手法は2002年4月の診療報酬改定で医療保険に大幅に導入されたもの。処置やリハビリ、再診料などは類似の回数が増えると医療保険の支払いが減額される手法がとられている。この制限回数は、厚労省にとって医療保険の給付を抑制・削減し、その部分を全額自費の患者負担とする“新たな武器”となる。この日の議論で、麦谷医療課長は「患者から金をとってもいい項目を選んでもらいたい」と率直に発言している。

 

 ■ 混合診療を認めることが「適当」、とした項目一覧(05年6月15日中医協・分科会)

 

診療行為 回数制限概要
悪性腫瘍特異物質治療管理料(AFP,IAP,BTA)         月1回
悪性腫瘍特異物質治療管理料(腫瘍マーカー) 月1回
血液化学検査(1,25ジヒドロキシビタミンD3) 治療開始後1月2回、3月1回                              
腫瘍マーカー(PSA精密測定は除外) がんの確定までに月1回
感染症血清反応(ヘリコバクター・ピロリ抗体) 1項目+陰性の際に1回
感染症血清反応(ヘリコバクター・ピロリ抗体精密測定) 1項目+陰性の際に1回
感染症血清反応(HIV-1抗体価) 輸血・輸注につき1回
感染症血清反応(HIV-1,2抗体価) 輸血・輸注につき1回
細菌培養同定検査等(消化管からの検体・ピロリ) 1項目+陰性の際に1回
細菌培養同定検査等(迅速ウレアーゼ試験) 1項目+陰性の際に1回
細菌培養同定検査等(尿素呼気試験) 1項目+陰性の際に1回
微生物核酸同定・定量検査(SARSコロナウイルス核酸) 診断確定まで1回+1回
病理組織顕微鏡検査(ヘリコバクター・ピロリの鏡検法) 1項目+陰性の際に1回
残尿測定検査 月2回
骨塩定量検査 4カ月に1回
ノンストレステスト 1週間に1回
補聴器適合検査 月2回
リハビリテーション(理学・作業・言語聴覚療法) 1日合計4単位
理学療法(個別療法) 1日3単位
理学療法(集団療法) 1日2単位(月8単位限度)
作業療法(個別療法) 1日3単位
作業療法(集団療法) 1日2単位(月8単位限度)
言語聴覚療法(個別療法) 1日3単位
言語聴覚療法(集団療法) 1日2単位(月8単位限度)
摂食機能療法 月4回
精神科デイ・ケア 初回から3年後は週5日限度
精神科ナイト・ケア 初回から3年後は週5日限度
精神科デイ・ナイト・ケア 初回から3年後は週5日限度  

 

(2005年6月16日)

 

「回数制限+自費」方式 6/29中医協で論議

患者要望で選択可能と結論!? 無条件の実施を提案 

 6月15日、中医協診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会は、医療保険で制限回数がある診療行為に関し、制限回数を超える部分について混合診療(=「保険給付との併用」)の対象とする28項目を選別。6月29日の中医協基本問題小委員会に報告書を上げることを確認した。選別された項目は腫瘍マーカー(がんの検査)、細菌培養同定検査など、臨床現場での汎用検査や、リハビリテーション、精神科専門療法など(右表参照)。尚、この間、検討対象とされていたHbA1c(糖尿病の検査)や眼底検査、人工透析、在宅医療、手術の自動縫合器など113項目は「患者要望よりも医療上の必要性の観点が優先され実施される蓋然性が高く引き続き審議すべき項目」と分類。ヘリコバクターピロリの除菌は「現時点では、制限回数を超える場合に悪影響が懸念される項目」と分類された。

 また、これら混合診療を認める項目には、必要な要件・条件はつけず、今後も患者要望を定期的にフォローアップし対象拡大を検討するとしている。

 

回数制限、超過部分の自費化は規定路線  給付削減の“新たな武器”

 この間、制限回数のある医療行為は、審議のたびに類型名目と類型項目が二転、三転。今回の類別に落ち着き28項目を患者要望に基づく混合診療の対象とした。しかしながら、上記に見るようにHbA1cなど113項目は「医療上の必要性から実施される」としており、制限回数そのものが医療上の必要性を無視していることを、厚労省みずからが認めている。患者要望に基づくといっても、医療上、必要なものは実施するが、必要ないものは医療機関で実施する道理はなく、これも矛盾している。もともと、この制限回数という手法は2002年4月の診療報酬改定で医療保険に大幅に導入されたもの。処置やリハビリ、再診料などは類似の回数が増えると医療保険の支払いが減額される手法がとられている。この制限回数は、厚労省にとって医療保険の給付を抑制・削減し、その部分を全額自費の患者負担とする“新たな武器”となる。この日の議論で、麦谷医療課長は「患者から金をとってもいい項目を選んでもらいたい」と率直に発言している。

 

 ■ 混合診療を認めることが「適当」、とした項目一覧(05年6月15日中医協・分科会)

 

診療行為 回数制限概要
悪性腫瘍特異物質治療管理料(AFP,IAP,BTA)         月1回
悪性腫瘍特異物質治療管理料(腫瘍マーカー) 月1回
血液化学検査(1,25ジヒドロキシビタミンD3) 治療開始後1月2回、3月1回                              
腫瘍マーカー(PSA精密測定は除外) がんの確定までに月1回
感染症血清反応(ヘリコバクター・ピロリ抗体) 1項目+陰性の際に1回
感染症血清反応(ヘリコバクター・ピロリ抗体精密測定) 1項目+陰性の際に1回
感染症血清反応(HIV-1抗体価) 輸血・輸注につき1回
感染症血清反応(HIV-1,2抗体価) 輸血・輸注につき1回
細菌培養同定検査等(消化管からの検体・ピロリ) 1項目+陰性の際に1回
細菌培養同定検査等(迅速ウレアーゼ試験) 1項目+陰性の際に1回
細菌培養同定検査等(尿素呼気試験) 1項目+陰性の際に1回
微生物核酸同定・定量検査(SARSコロナウイルス核酸) 診断確定まで1回+1回
病理組織顕微鏡検査(ヘリコバクター・ピロリの鏡検法) 1項目+陰性の際に1回
残尿測定検査 月2回
骨塩定量検査 4カ月に1回
ノンストレステスト 1週間に1回
補聴器適合検査 月2回
リハビリテーション(理学・作業・言語聴覚療法) 1日合計4単位
理学療法(個別療法) 1日3単位
理学療法(集団療法) 1日2単位(月8単位限度)
作業療法(個別療法) 1日3単位
作業療法(集団療法) 1日2単位(月8単位限度)
言語聴覚療法(個別療法) 1日3単位
言語聴覚療法(集団療法) 1日2単位(月8単位限度)
摂食機能療法 月4回
精神科デイ・ケア 初回から3年後は週5日限度
精神科ナイト・ケア 初回から3年後は週5日限度
精神科デイ・ナイト・ケア 初回から3年後は週5日限度  

 

(2005年6月16日)