神奈川県保険医協会

理事会声明 「医療崩壊を加速させる診療報酬引き下げに断固反対する」

医療崩壊を加速させる診療報酬引き下げに断固反対する

 

 財務省は10月25日、財政制度等審議会・財政制度分科会で、来年の診療報酬改定について2%半ば以上のマイナス改定を主張した。

 そもそも厚労省は概算要求で6300億円の自然増を見込み、それを5000億円に圧縮するため1300億円の削減を検討していた。そこへ官邸サイドから待機児童対策や介護人材の待遇改善の指示が新たに飛び込み、その費用が500億円とも言われ、1300億削減に上乗せされた結果、1800億円を削減する動きになっている。

 その削減対象の筆頭に診療報酬が挙げられ、同時に改定される介護報酬、障害報酬もターゲットにされている。

 概算要求をしていない項目を予算立てするのに自然増と同じ扱いにして、さも当然のように診療報酬にしわ寄せさせることは断じて許されないことである。

 高齢化等で医療費が増えていくことは当然のことである。そのための財源は国(公費)や企業(事業主)、国民で負担をしていくことが筋である。しかしこの間事業主負担の割合が減っている。平成8年では国民医療費の24.4%を事業主負担であったが、最新の平成27年のデータでは、20.6%であり4%もシェアを落としている。国民医療費40兆円の4%といえば1兆6000億円に相当する。

 小泉政権時代の大幅な社会保障削減で、診療報酬引き下げが行われ、医療崩壊を引き起こした。3年で自然増を1兆5000億円に抑えるという安倍政権の施策は、本来の自然増が8000億から1兆円と考えれば、医療崩壊を招いた小泉政権時代よりひどく、医療壊滅を招きかねない施策である。

 高齢化による医療費増を財務省は指摘するが、後期高齢患者1人当たりの単価は、2001年から2015年にかけて医科で4.5%、歯科では28.1%ものマイナスとなっている。特に医師・歯科医師の基本的技術料である初再診料に至っては、医科マイナス23.3%、歯科マイナス22.7%となっているのだ。

 つまり、一人あたりの医療費単価は大幅に下がる中で、高齢患者の診療にあたっているのであり、その分、医療現場の疲弊が高まっているのである。

 また、福祉医療機構の2016年度病院経営状況分析では、一般病院の経常利益率が0.7%と1%を割り込み、2015年度のほぼ半分に落ち込むなど厳しい状況だ。

 現に当会が実施している診療報酬引き上げを求める院長署名には、厳しい医療環境の中でスタッフの賃金引上げ等の労働環境改善に苦慮する声が数多く寄せられている。

 政府は現場で起こっている状態をしっかり認識し、診療報酬を引き下げる施策をとるべきではない。

 神奈川県保険医協会は、診療報酬の引き下げに断固反対し、10%以上の大幅引き上げを強く求めるものである。

 

2017年10月26日

神奈川県保険医協会 第28期第7回理事会