神奈川県保険医協会

混合診療問題ニュース17 「協会が『株式会社バイオマスター』と診療所開設問題で懇談」

臨床データ、神奈川県は“未確認”と断言!

杜撰!バ社、計画書「初めて目にした」!?

 協会は7月22日、医療特区で診療所開設予定のバイオマスター社と懇談した。当日はバ社の社長・桑野隆滋氏が来所、協会は役員5名が対応した。約1時間半、事業概要や将来収支予測、再生医療技術などで質疑、意見交換をした。

 問題の23例の再生医療技術(脂肪由来幹細胞の応用)について、臨床データは神奈川県に提出していないと明言。医療特区の申請主体である神奈川県の安全性の確認が杜撰なものであることが発覚した。

 桑野社長は、再生医療の臨床研究23例は複数の国内の研究機関に委託し実施したが、機密保持契約の関係でデータは公開できない。特区認定で安全性・倫理性の確認が必要なため、研究機関に事情を話し、厚労省にはデータを提出したと明らかにした。また、近く公表できるよう努力しているとした。

 開設予定の診療所は、1)3?4床の有床診療所、2)医師4名で常勤1、2名。麻酔医は非常勤。看護師2名の常駐体制、3)提供する再生医療は豊胸とシワとり、4)患者は当座、週に1名(最大で週に3?4人)、5)治療費は100万?200万円、との構想を説明。あわせて、6)医療事故の際はバ社で負担、7)開院時点で安全管理委員会、倫理審査委員会、症例報告委員会(研究会)は設立する、8)近隣の医療機関の関係性は重視するとした。

 協会より採算性が脆弱な点を指摘すると、「診療所は1年目は赤字と宣言済み」、「あくまでも事業の一部」、再生医療支援事業(ノウハウ提供や脂肪抽出機器販売)を中心とする事業総体で採算をとると明言。診療所廃止も場合により、あるとした。

 更にはバ社の筆頭株主は(株)トランスサイエンス(株式比率20%)でオリックス・キャピタルは3番目(同8%)と明らかにし、バ社がある帝国ホテルタワービルに入っている?旭リサーチセンター(社長は規制改革会議議長代理・鈴木氏)との関係は否定した。

 また、神奈川県の特区申請の計画書(構造改革特区推進本部のホームページに7月20日掲載)について、懇談の席で初めて目にしたと述べ、計画の意義にバ社が県に強調した年配者の若返り志向による需要喚起が落ちていると自ら指摘した。
 

崩れる県の主張、株式会社参入の論拠

 今回の医療特区に関し、バ社は神奈川県商工労働部への相談は昨年末ギリギリの12月27日に行ったとしたが、診療所開設による経済効果は数字で提示していないこと、施設規模についても高価なクリーンルームが必要とだけ伝えただけで金額は示していないことも明らかにした。

 協会が6月22日の県商工労働部と懇談した際、民間医療機関でも実施が可能な再生医療を、あえて株式会社の診療所に実施させる理由を、施設や設備投資に巨費がかかり資金調達する上で、株式会社が優位と判断したと答えていた。今回の懇談で、もろくも、この論拠が全くなかったことも判明した。

 尚、02年12月25日設立のバ社は事業実績は2年余と実績も浅く、現在、年商150万円。これまでの事業概要を見ても、医療経営のノウハウの蓄積があるわけではない。横浜市に診療所開設の折には、本社を現在の帝国ホテルタワーから診療所に移転するとしている。

 

株式会社の高度先進医療への参入 厚労省は内閣府に「困難」と回答

 内閣府は7月22日、構造改革特区のメニューに、株式会社病院による高度先進医療の提供を加えることについて、厚労省は「困難」と回答したことを発表した。これは、7月14日に内閣府から厚労省に検討要請をしていたもの。現在、自由診療6分野に限定されている株式会社による医療機関経営の枠組みを、高度先進医療まで拡大するもので、6月24日に北海道旭川市と三井物産により提案されていた。

 高度先進医療は現在、“自由診療と医療保険との併用”(特定療養費制度)となっており、診察、検査、投薬、注射、入院など基礎的治療部分は医療保険で対応している。つまり、株式会社病院がこの分野に参入できるとなると、事実上、公的医療保険への参入となる。

 “自由診療と医療保険との併用”とはいわゆる「混合診療」のことであり、株式会社が混合診療を扱えるようになるという意味はイコール、医療保険への参入である。

 在日米国商工会議所の意見書や、米国政府からの要望書で、医療機関の株式による資金調達や株式会社の医療参入、高度医療の民間提供を許可するためのあらゆる提案、医療サービス分野における他の特区提案もこの背景にある。

  (2005年7月25日)