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政策部長談話 「森林を壊す、文書発行乱発の診療報酬改定の是正を求める」

森林を壊す、文書発行乱発の

診療報酬改定の是正を求める

 

神奈川県保険医協会

政策部長  森 壽生


 この10月より「診療報酬点数の算定区分つき」領収書発行(「区分つき領収書」が義務化となった。すでに4月から経過措置期間を置き先行実施され、今月「完全」義務化となったのだが、現場での疑問の声は尽きない。

 

 今回、義務化された「区分つき領収書」とは、診察、在宅、投薬、検査、など診療報酬点数の算定ルールに定められた大分類ごとに料金明示をしたもののことである。これは、従来の金額領収書とは違い、記載項目数が多く書式も大きくなるため、レジスターなどの対応する機器の購入・買い替え、領収書書式の変更・発注を余儀なくされている。中には、急遽、手書きで対応している医療機関もあり、医療機関に過度な負担を強いるものとなっている。

 

 この区分つき領収書は、厚労省官僚いわく「患者自身が医療機関をチェックできる」とされ、また中医協委員が医療事故を防ぐ意味もあると食い下がり、義務化の運びとなっている。

 

 しかしながら、調査によれば7割の患者が区分つき領収書の発行を望んでおらず、ほとんどが「不要」、「金額がわかればよい」としている(『山口県保険医協会報(06年9月20日号)』)。しかも、「患者の視点」の強調とは裏腹に、「詳細が書かれていても見ない」、「待ち時間が長くなる」「発行に時間がかかる」「領収書が大きすぎて邪魔」「ゴミになる」などの弊害が全国各地の医療現場で指摘されているのである。

 

 われわれは領収書の発行自体は積極的に行なわれるべきだと考えており、事実、多くの医療機関は実行してきた。われわれがいう領収書は「金額」領収書であり、これで十分だと考える。

 

 民法上の規定からいっても厚労省が決めた区分つき領収書は、過剰な記載を求めるものであり、行政指導としても行き過ぎである。法律的には発行義務の規定はどこにもなく、世間一般のそれは商慣行であり、医療機関はその慣行に倣っているにすぎないのである。

 

 この行き過ぎ以上に、歯科ではこの4月から22の診療項目で文書提供が義務付けられ、8時間の診療のうち実に1時間30分以上も、文書作成に手間取られるという狂騒が続けられている。診療よりも文書作成に時間が割かれ、患者とのコミュニケーションを阻害する、この施策も本末転倒である。患者からも無駄が指摘され続けている。先の国会でも再三、取り上げられ、文書提供の根拠としている患者満足度も、厚生労働省が歯科学会のとある調査を恣意的に集計し我田引水で結論を導いたことが明確に指摘されており、何ら根拠のないことが明白になっている。これら膨大な文書発行を強要する施策は環境保護の世界的な流れにも逆行してもいる。

 

 このような、現場混乱と治療患者数の抑制を狙った、今次診療報酬改定の文書発行乱発施策の是正措置を即刻、とるよう我々は強く要望する。奇しくも、IT化によるオンライン請求義務化もなされたが、文書発行是正の現場の声を、治療内容のデジタル化、IT化による行政当局の一括管理のテコに利用することがないよう併せて強く釘をさすものである。

2006年10月11日