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ゼロの会声明 「国民的支持のない2兆円の『定額給付金』をやめ 高齢者医療の窓口負担ゼロの実行を求める」

 国民的支持のない2兆円の『定額給付金』をやめ

高齢者医療の窓口負担ゼロの実行を求める

  

医療費の窓口負担「ゼロの会」

責任者 池川 明


 政府は2兆円の定額給付金の支給を決め、支給方法など地方自治体に丸投げをした。当初の景気対策が生活支援へと政策目的が変わり、所得制限を設けず制度ではないと閣内からも異論が出され、混迷を深めるなか事態は進行している。地方自治体も当惑を隠せず、松沢神奈川県知事も苦言を呈している。国民の間からは「必要ない」63%(朝日新聞調査)、「評価しない」58%(共同通信調査)と、評価が低い。

 われわれは、不評のこの施策を転換し、2兆円の財源を、怨嗟の的となり迷走を続ける後期高齢者医療制度の窓口負担の解消にあてることを提言する。

 

 格差社会の進行は、高齢者とりわけ独居世帯に影を落としている(『格差社会』橘木俊詔著)。事実、北九州市など全国各地で、高齢者の孤独死が相次ぎ、神奈川県内でも川崎区では2年前に孤独死が5件連続している。高齢者の多くは基礎疾患を抱え、複数の医療機関に通院している患者も少なくない。この間の高齢者の受診抑制は統計数値からもはっきりとしており、病気治療が経済的に難しくなっていることが窺われる。

 

 この4月からはじまった後期高齢者医療制度は、医療費規模10.8兆円で、この1割を患者負担としている。つまり、1.1兆円である。患者は入院・通院ともに窓口負担の1割(一定以上の所得者は3割)を支払うが、その総額が1.1兆円ということだ。

 今回実施予定の定額給付金2兆円を、後期高齢者医療の窓口負担解消へ振り向けることにより高齢者は財布を気にせずに治療することが可能となる。

 

 高齢者の不安は、健康・医療であるが、窓口負担があり受診に抑制がかかっている。窓口負担がなくなることで安心して医療が受けられることになり、生活に安心感が得られる。これが今国民が何よりも求めていることではないだろうか。映画『シッコ』に描かれたように、欧州の窓口負担は実質ゼロである。われわれは病気の際に、経済的に心配せずに医療が受けられるこのような社会を目指している。窓口負担を解消し、その分を国・企業・国民でどのように負担し分担するかは、国民的な議論によると考える。そのために、われわれは窓口負担があるために受診を抑制したり断念せざるを得ない今の現状を、まず第一に改めさせたいのである。

 

 定額給付金2兆円による窓口負担解消は、単年度の一時的措置にしかならないが、医療財源と負担の在り方に関する、今後の議論に一石を投じていくことは確実である。

 社会保障国民会議は「改革」により医療費・社会保障費は増えるとの財政試算を公表。これまでの経済に医療をあわせる方針から、あるべき医療に財政をあわせる方向へと画期的な変化を見せた。しかし、このままの患者負担割合で医療費規模を増大させると、窓口での支払いが増えるため、今よりさらに患者が受診できなくなることが危惧される。

 国民の幸福に寄与し、好循環につながる施策への転換に舵を切るよう、与党の英断を強く期待する。

2008年11月21日