保険医の生活と権利を守り、国民医療の
向上をめざす

神奈川県保険医協会とは

開業医を中心とする保険医の生活と権利を守り、
国民の健康と医療の向上を目指す

TOP > 神奈川県保険医協会とは > 私たちの考え > 2008/9/19 理事会声明「藤原・中医協委員の良識ある奮闘に心から敬意を表し『5分ルール』撤廃へ、全国の医療者からの激励を乞う」

2008/9/19 理事会声明「藤原・中医協委員の良識ある奮闘に心から敬意を表し『5分ルール』撤廃へ、全国の医療者からの激励を乞う」

藤原・中医協委員の良識ある奮闘に心から敬意を表し

「5分ルール」撤廃へ、全国の医療者からの激励を乞う

 

神奈川県保険医協会 理事会


 医療現場を震撼させた、今次診療報酬改定による外来管理加算「5分ルール」の導入は、影響額▲200億円の厚労省の試算と違い、各種調査で▲800億円(日医調査)、▲700億円(保団連調査)と大幅な乖離が明らかとなり、厚労省の失態およびに改定の正当性さえも問われる事態となっている。

 このような下、診療側の藤原淳・中医協委員が7月9日、8月27日と中医協で、5分の根拠、時間外調査の不正流用、「診療」時間から「診察」時間へのすり替えと、連続して問題を俎上に載せ追及をされている。われわれは"過ちは改めるにしかず"と、奮闘されている藤原委員に心から敬意を表すとともに、全国の医療者から藤原委員への多くの激励をお願いするものである。

 

 この「5分ルール」は、平均診療時間5分以上の医療機関が9割との根拠のない厚労省の提案により導入された。しかも診療を診察と誤魔化して通知に規定され、診察内容の例文まで提示するなど臨床現場を愚弄する内容となった。

 臨床実態を反映しないこのルールにより多くが外来管理加算を算定できなくなり、既に導入4ヶ月で診療所、中小病院は経営的に大きな打撃を受けている。つまり、日増しに第一線医療の疲弊が大きくなっているのである。

 厚労省はこの外来管理加算を操作し、診療所を▲200億円として病院に財源移転するとしたが、▲200億円/9万診療所=▲22万円(年間)の減収どころか、当協会の調査では平均▲163万円と8倍弱にも及んでいる。各医療団体の調査報告も同様である。

 いずれ、全国的な実態数値も各種統計ではっきりとするが、この厚労省の試算と現場実態との大幅な乖離は、診療報酬改定の正当性や改定率の遵守が鋭く問われる責任問題である。

 

 更には、医師の説明内容や患者の理解力、患者の納得度、治療の緊急性などで一律的ではない、診療を時間量という外形基準で経済評価する「5分ルール」は、医療に無知な暴論でしかない。コメディカルの技術・労働評価を捨象し、医師の診察のみ評価対象にし、しかも診察内容まで厚労省が指示する異例ぶりは、医療者の士気を確実に奪っている。

 

 この5分ルールは裁量権否定による医療費削減策という新機軸であり、これから続く新たな局面の嚆矢となっている。原課長と交代した佐藤・医療課長は、時間評価は意義があった、問題は時間の多寡だと就任時に述べ、撤回する意向は全く見せていない。

 

 このような中、全力で問題の解決に立ち向かっている藤原委員の行動は、医療者に勇気と希望を与えている。是非、撤回が成就するよう期待するとともに、われわれは最大限の協力を厭わない。
藤原委員への全国の支援と激励を強くお願いするものである。

2008年9月19日

 

藤原・中医協委員の良識ある奮闘に心から敬意を表し

「5分ルール」撤廃へ、全国の医療者からの激励を乞う

 

神奈川県保険医協会 理事会


 医療現場を震撼させた、今次診療報酬改定による外来管理加算「5分ルール」の導入は、影響額▲200億円の厚労省の試算と違い、各種調査で▲800億円(日医調査)、▲700億円(保団連調査)と大幅な乖離が明らかとなり、厚労省の失態およびに改定の正当性さえも問われる事態となっている。

 このような下、診療側の藤原淳・中医協委員が7月9日、8月27日と中医協で、5分の根拠、時間外調査の不正流用、「診療」時間から「診察」時間へのすり替えと、連続して問題を俎上に載せ追及をされている。われわれは"過ちは改めるにしかず"と、奮闘されている藤原委員に心から敬意を表すとともに、全国の医療者から藤原委員への多くの激励をお願いするものである。

 

 この「5分ルール」は、平均診療時間5分以上の医療機関が9割との根拠のない厚労省の提案により導入された。しかも診療を診察と誤魔化して通知に規定され、診察内容の例文まで提示するなど臨床現場を愚弄する内容となった。

 臨床実態を反映しないこのルールにより多くが外来管理加算を算定できなくなり、既に導入4ヶ月で診療所、中小病院は経営的に大きな打撃を受けている。つまり、日増しに第一線医療の疲弊が大きくなっているのである。

 厚労省はこの外来管理加算を操作し、診療所を▲200億円として病院に財源移転するとしたが、▲200億円/9万診療所=▲22万円(年間)の減収どころか、当協会の調査では平均▲163万円と8倍弱にも及んでいる。各医療団体の調査報告も同様である。

 いずれ、全国的な実態数値も各種統計ではっきりとするが、この厚労省の試算と現場実態との大幅な乖離は、診療報酬改定の正当性や改定率の遵守が鋭く問われる責任問題である。

 

 更には、医師の説明内容や患者の理解力、患者の納得度、治療の緊急性などで一律的ではない、診療を時間量という外形基準で経済評価する「5分ルール」は、医療に無知な暴論でしかない。コメディカルの技術・労働評価を捨象し、医師の診察のみ評価対象にし、しかも診察内容まで厚労省が指示する異例ぶりは、医療者の士気を確実に奪っている。

 

 この5分ルールは裁量権否定による医療費削減策という新機軸であり、これから続く新たな局面の嚆矢となっている。原課長と交代した佐藤・医療課長は、時間評価は意義があった、問題は時間の多寡だと就任時に述べ、撤回する意向は全く見せていない。

 

 このような中、全力で問題の解決に立ち向かっている藤原委員の行動は、医療者に勇気と希望を与えている。是非、撤回が成就するよう期待するとともに、われわれは最大限の協力を厭わない。
藤原委員への全国の支援と激励を強くお願いするものである。

2008年9月19日