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医療運動部会ニュース 「外来管理加算『5分ルール』根拠が完全に消滅 厚労省“中医協資料は根拠でない”!と自己否定」

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医療運動部会ニュース08年7月4日号

(PDF形式・172KB)

外来管理加算質問答弁書(閣議決定)で確答

 外来管理加算の「診察時間」5分ルールの根拠となった中医協(07年12月7日)提出の資料を、厚労省みずからが「根拠ではない」と否定していたことが、このほど判明した。これにより5分の根拠が完全に消滅した。

 5分ルールは07年12月7日の中医協に提出した、内科診療所における平均診療時間あたりの医療機関数のグラフを根拠に「5分以上の医療機関が9割」との原医療課長発言に基づき、議論の結論をみたもの。これ以外に根拠資料は一切、提示されておらず、このグラフの出典は「時間外診療に関する実態調査」と、保団連の情報開示請求により6月に明らかになっている。

 ところが、この外来管理加算の時間要件について08年2月29日に大久保勉参議院議員が提出した質問主意書への総理大臣からの「答弁書」で、「中医協の議論を踏まえて設定したものであり・・・時間外診療に関する実態調査の結果に基づく平均診療時間を根拠としたものではない」(!?)と3月11日と回答していた。そして5分の設定については「中医協の議論を踏まえて設定した」としていた。

 つまり、議論内容が根拠であり、それを根拠に議論されたグラフは“根拠ではない”としているのである。立論が成り立たない、自家撞着となっている。

 質問主意書への答弁書は、関係省庁が作成し閣議決定の上、回答されるもので、この内容は重い。懇談の席での官僚発言より格が上だ。いずれにせよ、5分ルールは完全に根拠が消失したことになる。

時間外調査の目的外使用を、認識?

 問題のグラフの出典は3月時点では明らかになっておらず、この答弁書で「時間外診療に関する実態調査」に触れている点は不可解だった。しかし、この間の経緯から、調査の目的外使用への明確な認識があり、逃げを打った感がある。

異例!厚労省医療課が抗議文! 保団連へ公印なしの配達証明届く

7/3森光課長補佐「見解の相違」と平行線

 6月21日、厚生労働省医療課から保団連に対し抗議文が配達証明郵便で届いた。内容は、外来管理加算問題に関し「厚生労働省、調査データを不正流用」と題した保団連ホームページの記載、全国保険医新聞の「別件調査が『5分ルール』の根拠に」などの記事について、「誤った情報発信に強く抗議し、貴会が誤りを認め、速やかにホームページを修正し、新聞及びホームページにおいて訂正文を掲載することを」求めるもの。公印も無ければ、課長名も連絡窓口、電話番号も未記載の文書で、責任の所在が不明なものとなっている。

 医療課の主張は、依頼文書の『時間外診療に関する実態調査ご協力のお願い』で「今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に・・」と触れているため、同一文書で調査票を「上記以外の目的に使用することは一切ありません」と断っていても目的外使用、不正流用にあたらないというもの。

 これに対し、保団連は6月25日に反論を舛添厚労大臣、水田保険局長、原医療課長に送付。そもそも調査は、みずほ情報総研への委託調査であり、併封された同総研の依頼文書では時間外診察の体制把握が目的と限定しているなど、抗議文が事実誤認に基づく点を指摘。あわせて森光課長補佐へ、森光氏自身が求めた文書での質問状に対する誠意ある回答を求めた。

 しかし回答期限7月3日正午までに返事がなかったため、午後に保団連役員団は厚労省を直接訪問。森光課長補佐は、抗議文の事実誤認を認めず「見解の相違」と終始した。

時間量での診療評価、裁量権否定が問題の本質

無形技術の時間要件撤廃を

 外来管理加算は、原医療課長が「何もしない加算」と愚弄したが、不合理な診療報酬体系の中で、内科系の無形技術を何とか評価した点数である。知識、経験に裏付けられた診察、診断技能の評価や、看護師による待合室患者のトリアージ、看護師による栄養指導やコメディカルの技術・労働評価を含んでいる。短時間での的確な診察・診断を考えれば、時間の長さを評価の基準とするのは愚の骨頂である。診療実態を無視した、診療妨害、裁量権否定が問題の本質だ。

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医療運動部会ニュース08年7月4日号

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外来管理加算質問答弁書(閣議決定)で確答

 外来管理加算の「診察時間」5分ルールの根拠となった中医協(07年12月7日)提出の資料を、厚労省みずからが「根拠ではない」と否定していたことが、このほど判明した。これにより5分の根拠が完全に消滅した。

 5分ルールは07年12月7日の中医協に提出した、内科診療所における平均診療時間あたりの医療機関数のグラフを根拠に「5分以上の医療機関が9割」との原医療課長発言に基づき、議論の結論をみたもの。これ以外に根拠資料は一切、提示されておらず、このグラフの出典は「時間外診療に関する実態調査」と、保団連の情報開示請求により6月に明らかになっている。

 ところが、この外来管理加算の時間要件について08年2月29日に大久保勉参議院議員が提出した質問主意書への総理大臣からの「答弁書」で、「中医協の議論を踏まえて設定したものであり・・・時間外診療に関する実態調査の結果に基づく平均診療時間を根拠としたものではない」(!?)と3月11日と回答していた。そして5分の設定については「中医協の議論を踏まえて設定した」としていた。

 つまり、議論内容が根拠であり、それを根拠に議論されたグラフは“根拠ではない”としているのである。立論が成り立たない、自家撞着となっている。

 質問主意書への答弁書は、関係省庁が作成し閣議決定の上、回答されるもので、この内容は重い。懇談の席での官僚発言より格が上だ。いずれにせよ、5分ルールは完全に根拠が消失したことになる。

時間外調査の目的外使用を、認識?

 問題のグラフの出典は3月時点では明らかになっておらず、この答弁書で「時間外診療に関する実態調査」に触れている点は不可解だった。しかし、この間の経緯から、調査の目的外使用への明確な認識があり、逃げを打った感がある。

異例!厚労省医療課が抗議文! 保団連へ公印なしの配達証明届く

7/3森光課長補佐「見解の相違」と平行線

 6月21日、厚生労働省医療課から保団連に対し抗議文が配達証明郵便で届いた。内容は、外来管理加算問題に関し「厚生労働省、調査データを不正流用」と題した保団連ホームページの記載、全国保険医新聞の「別件調査が『5分ルール』の根拠に」などの記事について、「誤った情報発信に強く抗議し、貴会が誤りを認め、速やかにホームページを修正し、新聞及びホームページにおいて訂正文を掲載することを」求めるもの。公印も無ければ、課長名も連絡窓口、電話番号も未記載の文書で、責任の所在が不明なものとなっている。

 医療課の主張は、依頼文書の『時間外診療に関する実態調査ご協力のお願い』で「今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に・・」と触れているため、同一文書で調査票を「上記以外の目的に使用することは一切ありません」と断っていても目的外使用、不正流用にあたらないというもの。

 これに対し、保団連は6月25日に反論を舛添厚労大臣、水田保険局長、原医療課長に送付。そもそも調査は、みずほ情報総研への委託調査であり、併封された同総研の依頼文書では時間外診察の体制把握が目的と限定しているなど、抗議文が事実誤認に基づく点を指摘。あわせて森光課長補佐へ、森光氏自身が求めた文書での質問状に対する誠意ある回答を求めた。

 しかし回答期限7月3日正午までに返事がなかったため、午後に保団連役員団は厚労省を直接訪問。森光課長補佐は、抗議文の事実誤認を認めず「見解の相違」と終始した。

時間量での診療評価、裁量権否定が問題の本質

無形技術の時間要件撤廃を

 外来管理加算は、原医療課長が「何もしない加算」と愚弄したが、不合理な診療報酬体系の中で、内科系の無形技術を何とか評価した点数である。知識、経験に裏付けられた診察、診断技能の評価や、看護師による待合室患者のトリアージ、看護師による栄養指導やコメディカルの技術・労働評価を含んでいる。短時間での的確な診察・診断を考えれば、時間の長さを評価の基準とするのは愚の骨頂である。診療実態を無視した、診療妨害、裁量権否定が問題の本質だ。

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