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政策部長談話 「薬局へ処方変更権を与える診療報酬改定 法律無視、診療侵害の企図に異を唱える」

薬局へ処方変更権を与える診療報酬改定

法律無視、診療侵害の企図に異を唱える

 

神奈川県保険医協会

政策部長  桑島 政臣


 次期診療報酬に向けた改定骨子案の中に、後発医薬品の経済性のみを最優先した処方内容の変更権を、法律改定なしで薬局に与える内容が盛られている。これは看過できない診療侵害であり、責任の所在が不明になるなど問題性が大きい。これに異を唱えるとともに中医協での再考を求めるものである。

 

 医薬品は医師の処方に基づき、薬剤師が調剤することが薬剤師法で既定されている。

 

 公表されている改定骨子案では、後発医薬品(ジェネリック)重視の観点から、(1)数量ベースで医薬品使用割合が25%以上と30%以上の薬局を重点的にプラス評価する、(2)処方箋に「変更不可」の記載がない場合に、処方医の確認をとらずに患者の同意のみで、薬剤料が同額以下の後発医薬品に薬局が変更できる、(3)その際、処方箋に記載された当初の医薬品と含量規格の異なる後発医薬品、別剤形の後発医薬品に変更できる、(4)この変更の際、事後に医療機関に報告すればよい、(5)療養担当規則で保険医に後発医薬品の使用考慮と患者への選択機会の提供を努力義務とする-と盛られている。

 ここには医学的観点からの理由はなく、経済的な視点にとどまらず、後発医薬品の使用の当然視、絶対視があり、危険である。2009年12月15日、米国の後発品メーカー主催のシンポで、後発品が70%のシェアを持つ米国の現状を同社が引き、政府主導の必要性を説いており、非常に危惧を覚える。

 

 後発品は先発品と成分が同一といっても、賦形剤や結合剤に用いる乳糖やブドウ糖などの添加物が異なり、成分の含有量が違うほか、製造方法も違うので、全く同一の物質ではない。また製造ラインが既存ラインの転用のため夾雑物の混入することがあり、そのことの報告体制や回収システムもなく安全性・品質に問題がある。その選択と使用にあたっては患者負担への配慮もさることながら慎重にすべきである。われわれは後発品を全面否定するものではないが、質と安全性の担保のため最低限、市販後の第4相試験を行うべきであると考えている。

 

 今回の後発品に関する改定骨子の問題は、処方内容の変更を薬局薬剤師に認めるということである。医師の専権である処方権を、薬剤師法の法律改定もせずに、診療報酬改定で薬剤師に与えるということであり、法の原則に反している。「変更不可」記載のなしで処方医の同意と解するのは、無理がある。

 また、処方医に確認せずに、規格や剤形を変更し別の医薬品に変更するとなると、医薬品の数や形や色、形状(錠剤・粉薬・水薬)が変化し、患者の医薬品の管理や飲み馴れないなどの不都合の発生や、事故やトラブルを非常に危惧する。例えば、アレルギー体質をもつ患者に、乳糖が賦形剤に添加されている後発品が変更調剤された場合の事故などはすぐ想起される。法的に未整理な下での責任の所在についても薬剤師が負うのかどうか疑問が尽きない。

 

 安全より安価が強調されるのは本末転倒である。医療的観点が第一義であるべきだ。再考を強く求める。

2010年1月22