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研究部・学術部、共同見解 「日本人間ドック学会と健康保健組合連合会が公表した 健康診断での新しい基準値に関する見解」

日本人間ドック学会と健康保健組合連合会が公表した

健康診断での新しい基準値に関する見解

 

神奈川県保険医協会研究部・学術部


 日本人間ドック学会と健康保健組合連合会が2014年4月4日に取りまとめ公表した健康診断での新しい基準値に関する報道をめぐり、医療現場や市民のあいだで混乱が引き起こされている。地域の第一線医療を担う当協会の会員からも「患者さんから生活習慣病の診療方針の変更を迫られたり、治療そのものを拒否された」、「患者さんへの対応に苦慮している」、などの意見が相次いで寄せられている。

 

 そもそもこの研究は疫学研究である。疫学研究自体は価値があり否定されるものではないが、研究で得られた結果は介入試験により検証されるべきである。また学会で定めている基準値は多くの臨床研究の蓄積により決められており、ひとつの研究のみで基準値が変わることはありえない。さらにこの研究からは対象になった集団が5年、10年後も健康でいられる、あるいは生活習慣の改善を含めた治療介入の必要はないということは言えない。すなわちこれらの数値は将来の健康を保証したものではない。

 

 近い将来、我が国は超高齢社会に突入する。年を重ねても健康で長生きし元気に生活を営むためには、社会全体でバックアップする必要がある。そのバックアップ体制の柱である特定健診を含めた健康診断に、根拠のない誤った解釈で新基準値の導入が検討されているのであれば非常に遺憾であり、看過できない問題である。定期的に医療機関を受診されている患者さんには医師から説明することが可能である。しかし医療機関を受診されていない市民の方々の誤解を払拭することは困難であり、必要な時に医療機関への受診の遅れが危惧される。これらの点を踏まえて、人間ドック学会及び健保連には解釈の見直しと医療従事者や市民に対する丁寧な説明などの取り組みを求めたい。

 

2014年6月4日