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提言 「セカンドオピニオン」

セカンドオピニオンへの提言

 

神奈川県保険医協会

政策部


■はじめに

 次期診療報酬改定に向け、セカンドオピニオン(SO)の自由料金化(=保険外負担、つまり混合診療)を検討中であると、厚生労働省の麦谷医療課長から今年2月22日、都内の講演で明らかにされた。

 これは、主治医が患者にセカンドオピニオンを勧め、必要なデータ等を渡した場合に、主治医には診療報酬で支払うが、患者がデータを持って別の医療機関にセカンド・オピニオンを求めた場合、その部分は患者の保険外負担とするもの。昨年末の混合診療に関する「基本合意」で、制度上、保険診療と保険外診療を組み合わせが可能となったことを踏まえての提案と、説明している。

 

■SO特定療養費化と内保連の変化 SOは現行制度でも可能 

 現在、フリーアクセスのもとカルテ開示(医療情報の開示)が進展しており、現行制度で患者が主治医からカルテのコピーをもらい、別の医療機関にセカンドオピニオンを求めることは可能である。実際に、セカンドオピニオンを提供している医療機関も存在している。

 問題は費用補償と1件当たりの時間である。現在は、診察料(初診料、再診料)以外には診療報酬では評価されていない。いわば、無料相談である。自由診療での実施や、予約診療(特定療養費)として自費徴収も中にはあるが、九州中央病院など、多くは保険診療の枠内で実施している。

 ゆえに、02年、04年と、この間、内保連の診療報酬改定での新設要望項目のトップは、セカンドオピニオンであり、しかも02年には、標準30分で960点との内科系医療技術の定量化をはかり、新設要望をしていた。

 しかし、昨年の混合診療を巡る騒動の中、内保連が一旦はポジティブリストの提出を拒否したものの、最終的には12月10日に提出したポジティブリストにセカンドオピニオンが盛り込まれたことから、今回の麦谷課長発言へとなっている。中医協の議論を飛び越えてのアドバルーン的な発言は越権行為でもあるが、04年改定で既に特定療養費としての導入が実際、検討されていただけに捲土重来の感が強い。04年改定では30分以上セカンドオピニオンを提供した場合に、初診料に加え差額料金を徴収することが検討されており、これがベースと見られる。

 

■医療費抑制のための米国のSO

 セカンドオピニオンの先進国である米国は、医療費抑制の手段として、民間保険会社が費用対効果の比較対照のためセカンドオピニオンを導入した。しかし、医療費抑制にはつながらず、試行錯誤を経て、よりよい治療と納得を得るためのセカンドオピニオンとして定着した。現在はセカンドオピニオン提供のサイトもあり、患者はオンラインで申し込み、自分の検査データを郵送し、インターネットで医師からセカンドオピニオンの提供を受けている。患者は当然の権利としてセカンドオピニオンを行使している。

 今回、麦谷医療課長の講演では、セカンドオピニオンの混合診療化とともに、検査結果やカルテなどの診療情報を、患者が自宅から医療機関のホームページにIDを打ち込めば、自分で見られるサービスを提供した場合に診療報酬で評価(新設点数)することも提案している。これは、再診回数の抑制を狙ったものだが、検査データの活用によるセカンドオピニオンの入手という、米国のセカンドオピニオンの現状を念頭に置いたものと考えられる。 

 これにより、医療水準の高い病院に患者を集中させ、医療水準の低い病院に流れていた医療費を抑制できるとする厚労省の企図もチラついている。

 

■医療情報の開示、インフォームドコンセント、セカンドオピニオン

 主治医の説明が理解できない、あるいは疑問を持った場合に、患者が別の専門医の意見を聞くのがセカンドオピニオンである。よって、主治医から十分に時間をかけて説明を受け、内容を理解し、最終的に患者が自分の意思で病気の治療方法に同意する-インフォームドコンセント(IC)と、セカンドオピニオンは切っても切れない関係にある。また、このような患者主体の医療を推し進めるため、医療情報の開示はSO、ICと同様、大切なツールである。

 これを、混合診療で解決することは、経済力の格差がイコール、医療内容の格差につながることとなり、憲法25条が規定する国民の権利を脅かし、国の責務をないがしろにする。またセカンドオピニオンの混合診療化が実現すれば、それを担う医師の選別、階層化が進行していく。米国でさえもセカンドオピニオンは、保険が適用されているのである。

 いつでも、どこでも、だれでもが医療にかかれる、日本医療の特性・長所は世界一の健康度評価となって結実している。われわれは、皆保険の日本の医療制度のもと、安心と信頼の医療を構築するためには、セカンドオピニオンは無論のこと、前提となるインフォームドコンセントも医療保険での評価・点数化を基本とすべきであると考える。

2005年5月9日