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政策部長談話 「癌治療への給付重点化と軽医療外しの情報操作に抗議する」

癌治療への給付重点化と軽医療外しの情報操作に抗議する

 

                         神奈川県保険医協会

                         政策部長  森 壽生


 医療保険の免責制度に与党が反対し、見送りの公算が高くなる中、10月25日、日本癌治療学会で濃沼信夫東北大学大学院教授が、癌患者の経済的負担の軽減のため優先度の低い医療を給付対象外とする制度改革を訴えた。濃沼教授は実態調査で、癌患者の経済的負担が平均130万円であり、民間保険でそれを何とか賄っているとし、医療を必要度に応じ3分類し優先度の低い医療(鼻かぜ、有効な治療法のない消化器・呼吸器の病態)を保険給付外とする、米国のOregon Health Plan(メディケイドで適用)を紹介。この制度を日本に導入すれば、医療給付費の16.2%(4.9兆円)が保険給付外に該当し、優先度の高い医療への保険財源のシフトが可能となるとしている。

 濃沼教授は、10年近く厚生官僚として務めた後に、大学院教授に転身し、厚生労働省の研究班のメンバーとして活躍してきている。専門は医療管理学であり、紹介されたオレゴンプランは、医療費抑制策として、いわくつきのものである。

 確かに、癌は死亡率第1位であるが、2位、3位は心臓血管障害で合計ではイーブンか凌いでおり、癌だけを特別扱いする理由はない。

 濃沼教授は、医療保険財源を限られた枠内に抑えるという前提に立ち、その中で病気の軽重で医療保険の適用に差をつけることを提案しているが、これは命の重みに差をつけることであり、憲法25条に抵触する問題と考える。そもそも「保険財源をどの疾病の患者に投入すれば効率的か」といった立場からの論議自体、医師には受け入れられない発想である。

 癌患者をはじめとする患者の過重な経済負担は、3割負担そのものによる問題であり、医療保険者の黒字基調の財政状況のもと、負担率を元に戻せば解決することである。

 われわれは、このような為にする議論・提案を厳しく批判するものである。

2005年11月24日