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理事会声明 「テロ等準備罪(共謀罪)法案の国会提出に反対します」

テロ等準備罪(共謀罪)法案の国会提出に反対します

 

 政府は、過去三度廃案となった共謀罪と同趣旨のテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案の今国会提出を予定しています。その理由を政府は、国際組織犯罪防止条約(国連越境組織犯罪防止条約・TOC条約)の批准のためにテロ等準備罪(共謀罪)の新設が不可欠であり、2020年の東京五輪のテロ対策として必要であると繰り返し説明してきました。しかし、TOC条約は本来マフィアなど国際的な組織犯罪の抑止が目的でテロ対策ではないこと、また、対象犯罪に越境性の条件がないことも理由として矛盾しています。そして何より既にテロ防止関連13条約を締結し国内法も整備されています。共謀罪の新設なしでTOC条約の締結が可能であると、多くの刑法学者らが指摘するところです。

 

 日本の刑法では既遂犯を処罰することを原則としています。例外として殺人予備罪、爆発物取締罰則、破壊活動防止法などの重大犯罪に限っては、既遂の以前の準備(予備)、共謀(陰謀)の段階で処罰対象です。これを幅広く一般犯罪の話し合い段階で処罰する共謀罪を新設することは、刑法体系の整合性を欠くことになりかねません。この間、特定秘密保護法、安保法制、そして金田法相による文書配布など、立憲主義や三権分立といった最高法規の日本国憲法が定めるルールを、蔑ろにする安倍政権の乱暴な政治手法については、大変憂慮しているところです。

 

 特に今回の共謀罪に関する政府説明では、「テロ等準備罪」の「等」が何をさすのか、対象となる「組織的犯罪集団」の定義、共謀「合意」の判断、「準備行為」の要件、それらすべてが曖昧です。これではテロと無縁な政治運動をはじめ、労働運動、平和・人権運動等を推進する健全な団体まで対象が及ぶ懸念がまったく排除されていません。このことは、権力監視やオンブズマン活動など日本の市民社会がもっている自浄能力を削ぎ、行政当局が犯した汚職などの組織犯罪の隠ぺいに際して、共謀罪が利用されかねないことを意味します。社会正義を尊び公正で民主的な社会発展を阻害しかねません。

 

 そして何より広く話し合いが犯罪対象とする共謀罪は、日本国憲法が保障する思想信条の自由、幸福追求、言論・表現や結社の自由など、現在と未来の国民に付与された基本的人権を、著しく侵害する怖れが濃厚です。プライバシー保護を差し置いて、通信傍受(盗聴)など将来の捜査手法の拡大を否定しない現状では、なおのこと権力濫用が危惧され看過できません。

 

 以上により、本会は共謀罪を新設する法案の国会提出に断固反対します。

 

2017年2月23日

 

神奈川県保険医協会 第27期第30回理事会