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2013/12/25 政策部長談話「実質▲1.26%改定に抗議する マイナス改定のサイクルとの訣別を求める」

実質▲1.26%改定に抗議する

マイナス改定のサイクルとの訣別を求める

神奈川県保険医協会

政策部長  桑島 政臣


 次期診療報酬改定の改定率が、消費税補填分を除き、実質▲1.26%(ネット)で決着した。中医協実態調査にみる、医療機関の自費診療・保険外への依存傾向が高まる中、今回の「マイナス改定」のもつ意味は非常に重いと考える。われわれは、医療界の多くの思いと違える結果に強く抗議する。

 改定率は消費税補填分を1.36%と日医、厚労省の主張を認めたものの、本体は0.1%、薬価は▲1.36%でネットの実質は▲1.26%となった。財務省の本体マイナス改定方針を覆した、厚労大臣ならびに自民党関係議連の努力は多とするが、改定率はネットでみるものであり、数字は厳然としている。内実は、一般報道の「0.1%増改定」とは全く異なっているのである。

 今回の決着は、改定の「枠外」での財政措置が講じられ、消費税8%の増収5.1兆円を原資に、社会保障充実分5千億円から「7対1病床からの移行分」に公費200億円、病床機能の分化・強化への「新たな財政支援制度(基金)」に公費900億円を充てるとした。改定率換算で前者は0.15%で診療報酬の経過措置(本来は▲0.15%となるものへの補填で差し引き0%で改定率に影響しない)、後者は0.65%で計0.8%相当となる。つまり、これは一体改革分の主な対応は、「診療報酬」化をしないことが明確にされたのである。2015年10月予定の消費税10%段階での社会保障充実分は消費税1%相当2.8兆円となるが、これも同様となる。増税分は医療機関のランニングコストである診療報酬へは回らないことになる。

 更には、うがい薬の単剤使用の保険外し、初収載の後発医薬品の価格設定方式変更で▲77億円、▲0.07%(財務省)が「枠外」改定として重なることになる。

 従来計算式から変更となった消費税補填分1.36%は、本体では医科2,200億円、歯科250億円の規模となる。これは初診・再診料の基本診療料を主に個別項目と合わせ配点となる。これを、医科で初診料・再診料、入院基本料の基本診療料に全て充当されるとし仮に計算すると、各々13点のアップとなり、歯科は初診料、再診料が各々7点のアップとなる。これが点数配分をみる一つの指標となる。

 今次改定は、緩やかなゲートキーパーの導入による地域包括ケアのネットワーク(医療・介護の連携)作りがなされる。かかりつけ医の役割に着目し、「主治医機能」評価の点数設計が検討されている。(1)複数疾病の診療、(2)薬剤服用の一元管理、(3)紹介、(4)介護保険への関与、(5)健康管理、(6)在宅医療、(7)24時間対応などが要件として出ている。既に包括評価で第一疾病は「定額」、第二疾病は「出来高」の話も春には出ていた。かつての「外来基本料」構想のアレンジを彷彿させる内容となっている。

 減収増益型改定の際に導入された「老人慢性疾患外来総合診療料」の選択制、急性増悪時の出来高算定などの利点や、低点数で診療所の役割を矮小化し廃止となった「後期高齢者診療料」の轍をふまえ、一律強制的な点数導入や、消費税補填分を流用・転用した点数設定などは絶対にすべきでない。

 振り返って、96年の医療保険審議会「建議書」で医療と経済の整合がうたわれて以降、実は実質マイナス改定が連綿と続いている。消費税5%となる97年は改定率0.38%だが消費税補填分0.77%を含んでおり実質は▲0.39%である。98年は初のマイナス改定で▲1.3%、00年は0.2%になるが、これは介護保険への老人医療の部分移行により実態が不明となっただけで、02年▲2.7%、04年▲1.0%、06年▲3.16%、08年▲0.82%と続く。政権交代後の10年0.19%、12年0.004%のプラスも、各々、後発品のある先発品の追加引き下げ(▲0.16%)とビタミン剤の保険外し(▲0.12%)の「枠外」の薬価引き下げが行われ、実質は「ほぼ0%」と「マイナス改定」である。これが、本当の姿である。

 「医療崩壊」がいわれて久しいが、医療再建はまだまだ途上であり、訪問診療ビジネスなど昨今はモラルの綻びも社会問題化した、貧すれば鈍す、である。医療の再生産の日々の保障が診療報酬である。

 医療費の増加は、国民の負担と言い募る前に、患者負担を解消し、受診時の経済的「痛み」をなくすべきである。

 われわれは、医療再建のため、診療報酬のマイナス改定のサイクルから脱却し、実質プラス改定を実現する方向を改めて強く要望する。

2013年12月25日

 

実質▲1.26%改定に抗議する

マイナス改定のサイクルとの訣別を求める

神奈川県保険医協会

政策部長  桑島 政臣


 次期診療報酬改定の改定率が、消費税補填分を除き、実質▲1.26%(ネット)で決着した。中医協実態調査にみる、医療機関の自費診療・保険外への依存傾向が高まる中、今回の「マイナス改定」のもつ意味は非常に重いと考える。われわれは、医療界の多くの思いと違える結果に強く抗議する。

 改定率は消費税補填分を1.36%と日医、厚労省の主張を認めたものの、本体は0.1%、薬価は▲1.36%でネットの実質は▲1.26%となった。財務省の本体マイナス改定方針を覆した、厚労大臣ならびに自民党関係議連の努力は多とするが、改定率はネットでみるものであり、数字は厳然としている。内実は、一般報道の「0.1%増改定」とは全く異なっているのである。

 今回の決着は、改定の「枠外」での財政措置が講じられ、消費税8%の増収5.1兆円を原資に、社会保障充実分5千億円から「7対1病床からの移行分」に公費200億円、病床機能の分化・強化への「新たな財政支援制度(基金)」に公費900億円を充てるとした。改定率換算で前者は0.15%で診療報酬の経過措置(本来は▲0.15%となるものへの補填で差し引き0%で改定率に影響しない)、後者は0.65%で計0.8%相当となる。つまり、これは一体改革分の主な対応は、「診療報酬」化をしないことが明確にされたのである。2015年10月予定の消費税10%段階での社会保障充実分は消費税1%相当2.8兆円となるが、これも同様となる。増税分は医療機関のランニングコストである診療報酬へは回らないことになる。

 更には、うがい薬の単剤使用の保険外し、初収載の後発医薬品の価格設定方式変更で▲77億円、▲0.07%(財務省)が「枠外」改定として重なることになる。

 従来計算式から変更となった消費税補填分1.36%は、本体では医科2,200億円、歯科250億円の規模となる。これは初診・再診料の基本診療料を主に個別項目と合わせ配点となる。これを、医科で初診料・再診料、入院基本料の基本診療料に全て充当されるとし仮に計算すると、各々13点のアップとなり、歯科は初診料、再診料が各々7点のアップとなる。これが点数配分をみる一つの指標となる。

 今次改定は、緩やかなゲートキーパーの導入による地域包括ケアのネットワーク(医療・介護の連携)作りがなされる。かかりつけ医の役割に着目し、「主治医機能」評価の点数設計が検討されている。(1)複数疾病の診療、(2)薬剤服用の一元管理、(3)紹介、(4)介護保険への関与、(5)健康管理、(6)在宅医療、(7)24時間対応などが要件として出ている。既に包括評価で第一疾病は「定額」、第二疾病は「出来高」の話も春には出ていた。かつての「外来基本料」構想のアレンジを彷彿させる内容となっている。

 減収増益型改定の際に導入された「老人慢性疾患外来総合診療料」の選択制、急性増悪時の出来高算定などの利点や、低点数で診療所の役割を矮小化し廃止となった「後期高齢者診療料」の轍をふまえ、一律強制的な点数導入や、消費税補填分を流用・転用した点数設定などは絶対にすべきでない。

 振り返って、96年の医療保険審議会「建議書」で医療と経済の整合がうたわれて以降、実は実質マイナス改定が連綿と続いている。消費税5%となる97年は改定率0.38%だが消費税補填分0.77%を含んでおり実質は▲0.39%である。98年は初のマイナス改定で▲1.3%、00年は0.2%になるが、これは介護保険への老人医療の部分移行により実態が不明となっただけで、02年▲2.7%、04年▲1.0%、06年▲3.16%、08年▲0.82%と続く。政権交代後の10年0.19%、12年0.004%のプラスも、各々、後発品のある先発品の追加引き下げ(▲0.16%)とビタミン剤の保険外し(▲0.12%)の「枠外」の薬価引き下げが行われ、実質は「ほぼ0%」と「マイナス改定」である。これが、本当の姿である。

 「医療崩壊」がいわれて久しいが、医療再建はまだまだ途上であり、訪問診療ビジネスなど昨今はモラルの綻びも社会問題化した、貧すれば鈍す、である。医療の再生産の日々の保障が診療報酬である。

 医療費の増加は、国民の負担と言い募る前に、患者負担を解消し、受診時の経済的「痛み」をなくすべきである。

 われわれは、医療再建のため、診療報酬のマイナス改定のサイクルから脱却し、実質プラス改定を実現する方向を改めて強く要望する。

2013年12月25日