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政策部長談話 「改定率2.2%は一体改革分 約束を守る政治と診療報酬引き上げを 主治医機能の発揮は、再診料の評価が土台に」

改定率2.2%は一体改革分 約束を守る政治と診療報酬引き上げを

主治医機能の発揮は、再診料の評価が土台に

 

神奈川県保険医協会

政策部長  桑島 政臣


 財務大臣が、消費増税が必ずしも診療報酬引き上げを約束しない旨を口にしたと報じられている。しかし、消費税増税と社会保障改革は一体であり、使途は数字的にも明示されてきている。これまでの数字から診療報酬の改定率2.2%は所与であり、これに通常改定分が政治折衝で重なると理解するのが自然である。新たに浮上した財政再建のための3兆円の圧縮と、経済浮揚のための1兆円捻出の計4兆円の工面と算段は、一体改革で「約束」され敷かれたルールとは別枠の話である。われわれは消費税増税に伴う改定率の遵守と、通常分のプラス改定を強く求める。

 

 政府は消費税8%導入時の増収額は5.1兆円とし、社会保障の充実分5,000億円、増税に伴う社会保障4経費増分2,000億円と、首相の増税判断直後に示しており、充実分5,000億円から医療に1,000億円(医療費ベース4,000億円)をあてるとしている。これは診療報酬の改定率で1%である。

 また消費税8%段階の医療機関の消費税「損税」の対応は、従来を踏襲し診療報酬への補填とすることが決まっており、中医協では初診料、再診料など基本診療料を中心に個別項目と組み合わせ補填すると既になっている。当会は従来計算式により4,500億円と7月に指摘したところ、中医協では医療費の最新数値を踏まえ補填額は5,000億円、改定率で1.2%相当と8月に明らかにされている。この必要額は増税に伴う社会保障4経費増分2,000億から1,200億円強があてられることになる。

 つまり、一体改革分として改定率2.2%(=1%+1.2%)は織り込み済みの話である。

 

 この前提の上に、通常改定の話となる。薬価引き下げ分の財源を技術料(診療報酬本体)へ移転するだけであれば通常分は改定率0%となる。この場合、通常分と一体改革分の合計で2.2%となる。通常分が実質プラス改定、つまり薬価引き下げ分以上の幅の本体プラス改定率の場合は合計で2.2%+α%となる。これが道理である。これを不明瞭にした議論がいま意図的にされている感が強い。

 経済財政諮問会議が過日、診療報酬本体のプラス改定率のみを取り上げ、抑制を提案したが、考えるべきはネット(実質)の改定率であり、この間の0.004%という限りなくゼロに近い改定率も、後発医薬品に関わる薬価の枠外引き下げ操作による、見せかけのものでしかない。

 当会が既に指摘したように、中医協医療経済実態調査で診療所は医科、歯科ともに保険収益を下げ、自費依存傾向を高め、保険収益では十分な経営が出来ない構造となっている。特に医科は00年の再診料引き下げを境に自費率が高まっている。既に病院、有床診療所の経営難は明白である。自費率の上昇は受診抑制へも連動する。通常改定分の実質プラス改定は必然である。70~74歳の2割負担化が濃厚だが、これで浮く国庫2,000億円は、改定財源と考えれば改定率2%相当となる。条件はある。

 11年度の国民医療費は「人口」1人あたりは3%程度増えているが、実際の「患者」1人あたり医療費は入院、外来とも横ばいで変化なく、外来も一般と高齢者で差がない(社会医療診療行為別調査)。国民医療費でみるべきは、65歳以上の医療費が64歳以下の「4倍」と従来の5倍から倍率が縮小したことである。これは64歳以下で病人が増えていることを意味している。マイナス改定は患者の治療内容を保障する医療費を削ることである。これでは患者の治療は守られない。

 医療は不確実性が特徴であり、同じ治療や薬でも、人によって効果や結果が違う。製造物や商品とは違い、機械的な効率化が難しい分野であり経費削減ももはや限界である。禁煙や減塩のほうがはるかに健康度をあげ医療費を下げる良策である。盛んな主治医機能の論議も「土台」となる再診料の高い評価、現在は皆無に等しい「診察」部分の経済評価の解決があってこそ、である。

 われわれは約束通り改定率2.2%の遵守と、実質プラスα%上乗せを改めて求める。

2013年11月18日