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2013/10/10 理事会声明「特定秘密保護法案に反対する理事会声明」

特定秘密保護法案に反対する理事会声明

神奈川県保険医協会

第26期第6回理事会


 政府が今秋の臨時国会で提案・成立を企図する特定秘密保護法案の政府原案が明らかになった。その概要は、日本の安全保障に関する(1)防衛、(2)外交、(3)外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止、(4)テロ活動防止-の4分野の機密情報を行政機関の長が「特定秘密」に指定。また、その「特定秘密」を取り扱える者の「適正評価」や、機密情報漏えいに対する厳罰化も定められている。

 同法案概要に対するパブリックコメントは、募集期間がわずか2週間足らずだった。しかし、それにも拘わらず、異例の9万件を超す意見が寄せられた。そのうち賛成は13%にも満たず、逆に「国民の知る権利や報道の自由が侵害」、「現行法令で十分」、「むしろ、情報公開を進めるべき」と反対する意見や、パブコメ期間が短いことの批判は、7万9000件近くの実に87%に及んだ。圧倒的多数の国民が、今回の秘密法制の動きに対する不安や危惧の念を持っていることが明らかになった。また、日弁連や新聞協会なども相次いで反対を表明している。

 特に危惧する点は、(1)国会議員の国政調査権さえ及ばない「特定秘密」の範囲が不明確で、また、指定の客観的な合理性が担保されていないこと。また、行政の不正の隠ぺいや原発など不都合な情報まで恣意的に拡大利用されかねないこと、(2)「特定秘密」を取り扱う職員の「適正評価」調査においては、薬物・精神疾患・飲酒・信用状態や経済状況などの項目が挙げており、「公私の団体に照会して必要な事項の報告を求める」とし、医療者や医療機関が、守秘義務のある患者のプライバシー情報の提供を強要されかねないこと。それから、調査は当該職員はじめ家族や親族、同居者にまで及んでおり、憲法の基本的人権に明らかに抵触すること、(3)漏えいの罰則も、現行の国家公務員法の守秘義務違反が懲役1年や、自衛隊法の防衛秘密漏えい懲役5年に比べ著しく厳罰化し、不正取得が懲役10年、そそのかし(教唆)や扇動でも懲役5年と、健全な取材報道や市民オンブズマンの調査活動さえ違反行為とみなし、国民の知る権利が大きく制約されかねない内容であることだ。

 その他、「特定秘密」の指定期間は5年となっているが、何度も更新でき永久秘密も可能である点も問題である。現在でも防衛秘密は公文書管理法の対象外で、2011年までの僅か5年間で実に3万4300件の公務情報が廃棄され、歴史的な検証に付すことが出来ない現状が報じられている。また、1972年の沖縄返還に関わる日米密約、そして、近くは福島第一原発事故時のSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)情報の不開示などの事例を鑑みれば、国民にとって重大な情報が、「特定秘密」を盾にした行政の勝手な都合で、記録の破棄や情報隠ぺいが、これまで以上に横行しかねない。

 そして、このような防衛機密の立法化にあたっては、アメリカから強い圧力があるとも伝えられている。安倍政権が進める集団的自衛権行使に関する解釈改憲や、武器輸出三原則の緩和など一連の動きと相まって、日本が危険な軍事大国化への布石となる法案としても危惧の念を強くする。

 このように今回の特定秘密保護法案は、国民が求める情報公開による政府の信頼回復に逆行するものに他ならない。我われは日本国憲法が保障する国民の「知る権利」、「基本的人権」、「報道の自由」を著しく侵害しかねない同法に強く反対することをここに表明する。

2013年10月10日

 

特定秘密保護法案に反対する理事会声明

神奈川県保険医協会

第26期第6回理事会


 政府が今秋の臨時国会で提案・成立を企図する特定秘密保護法案の政府原案が明らかになった。その概要は、日本の安全保障に関する(1)防衛、(2)外交、(3)外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止、(4)テロ活動防止-の4分野の機密情報を行政機関の長が「特定秘密」に指定。また、その「特定秘密」を取り扱える者の「適正評価」や、機密情報漏えいに対する厳罰化も定められている。

 同法案概要に対するパブリックコメントは、募集期間がわずか2週間足らずだった。しかし、それにも拘わらず、異例の9万件を超す意見が寄せられた。そのうち賛成は13%にも満たず、逆に「国民の知る権利や報道の自由が侵害」、「現行法令で十分」、「むしろ、情報公開を進めるべき」と反対する意見や、パブコメ期間が短いことの批判は、7万9000件近くの実に87%に及んだ。圧倒的多数の国民が、今回の秘密法制の動きに対する不安や危惧の念を持っていることが明らかになった。また、日弁連や新聞協会なども相次いで反対を表明している。

 特に危惧する点は、(1)国会議員の国政調査権さえ及ばない「特定秘密」の範囲が不明確で、また、指定の客観的な合理性が担保されていないこと。また、行政の不正の隠ぺいや原発など不都合な情報まで恣意的に拡大利用されかねないこと、(2)「特定秘密」を取り扱う職員の「適正評価」調査においては、薬物・精神疾患・飲酒・信用状態や経済状況などの項目が挙げており、「公私の団体に照会して必要な事項の報告を求める」とし、医療者や医療機関が、守秘義務のある患者のプライバシー情報の提供を強要されかねないこと。それから、調査は当該職員はじめ家族や親族、同居者にまで及んでおり、憲法の基本的人権に明らかに抵触すること、(3)漏えいの罰則も、現行の国家公務員法の守秘義務違反が懲役1年や、自衛隊法の防衛秘密漏えい懲役5年に比べ著しく厳罰化し、不正取得が懲役10年、そそのかし(教唆)や扇動でも懲役5年と、健全な取材報道や市民オンブズマンの調査活動さえ違反行為とみなし、国民の知る権利が大きく制約されかねない内容であることだ。

 その他、「特定秘密」の指定期間は5年となっているが、何度も更新でき永久秘密も可能である点も問題である。現在でも防衛秘密は公文書管理法の対象外で、2011年までの僅か5年間で実に3万4300件の公務情報が廃棄され、歴史的な検証に付すことが出来ない現状が報じられている。また、1972年の沖縄返還に関わる日米密約、そして、近くは福島第一原発事故時のSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)情報の不開示などの事例を鑑みれば、国民にとって重大な情報が、「特定秘密」を盾にした行政の勝手な都合で、記録の破棄や情報隠ぺいが、これまで以上に横行しかねない。

 そして、このような防衛機密の立法化にあたっては、アメリカから強い圧力があるとも伝えられている。安倍政権が進める集団的自衛権行使に関する解釈改憲や、武器輸出三原則の緩和など一連の動きと相まって、日本が危険な軍事大国化への布石となる法案としても危惧の念を強くする。

 このように今回の特定秘密保護法案は、国民が求める情報公開による政府の信頼回復に逆行するものに他ならない。我われは日本国憲法が保障する国民の「知る権利」、「基本的人権」、「報道の自由」を著しく侵害しかねない同法に強く反対することをここに表明する。

2013年10月10日